新しい学習指導要領では、児童生徒に「生きる力」を育むことを基本の考え方としています。「生きる力」を育むために目指すのは、何ができるようになるか(=育成すべき資質・能力の三つの柱)であり、我々指導者は、児童生徒の学び方に着目して、児童生徒が「主体的・対話的で深い学び」をしているかという視点から授業改善を図ることが大切とされています。また、一人1台端末環境の時代において、ICTを効果的に活用することで、育成すべき資質・能力の三つの柱を効果的に育むことができるとされています。
本校では、上記を受けて、教育課程に「『主体的・対話的で深い学び』を実現する授業づくりを推進する」こと、「ICT機器を活用した学習指導の充実を推進する」ことを位置付けています。
これらのことから、研究部では、「主体的・対話的で深い学び」とは児童生徒のどういった姿なのか、また、それを引き出すための授業づくりとはいったい何なのか、また、ICTを使うことでどんな力を付けられるのか、を明らかにすべく研究を行いました。
※令和3年度 研究授業
(1)小4組 遊びの指導「みんなであそぼう ~オリンピックあそび~」
(2)小5・6組 遊びの指導「みんなであそぼう」
(3)中2組 生活単元学習「ミュージカルをつくろう」
(4)中6組 国語
「記者になろう~調べたことを友達に伝えて、楽しんでもらおう~」
(5)高3・4組 国語「3ヒントクイズを作ってみよう」
(6)高7・8組 保健体育「ティーボール」
(7)小3組 遊びの指導「なかまとあそぼう」
(8)中3組 美術「トラを描こう」
(9)高5・6組 生活単元学習「物語を劇にしよう」
(10)高9・10・11組 作業学習「清掃」
2 研究成果と課題
(1)成果
研究部では、授業実践から、指導者が「主体的で深い学び」「対話的で深い学び」につなげるためのキーワードと、また、そのことで引き出される、児童生徒が主体的・対話的に深く学ぶ姿をそれぞれ三つ挙げました。
例えば、小3組の実践では、②ミッションゲームを題材に、協力してやり遂げる力をねらいました。①繰り返しの学習の中で、児童はやることが分かって取り組むことができました。また、失敗しても何度も挑戦したり友達同士で言葉を掛け合ったりしていました。指導者は協力する場面を具体的に考え、③④⑥タブレット端末のカメラアプリを使う活動を設定しました。児童はルールを理解して、友達と息を合わせたり誘ったりすることができました。集合写真を撮る際には、「○○君、右に動いて。」と、インカメラで撮っている自分たちの映像を見ながら友達を促していました。 ※丸数字と下線部は、それぞれ指導者側のキーワードとその具体例
そのほか多くの実践から、研究部では、上記のキーワードを、「主体的・対話的で深い学び」を引き出すためのポイントとして、またそれによる児童生徒の姿を、「主体的・対話的で深い学び」の具体的な姿として挙げました。
また、研究授業や日々の授業実践、学部研での検討を通して、多くのICTの効果的な活用の実践例を得ることができました。
(2)課題
研究を進めていく中で、㋐協力の場面があったが、協力しきれていない児童生徒もいたこと、㋑活動の際、多くの児童生徒が活動する中、何をすべきか分からず止まっていた児童生徒がいたこと、㋒児童生徒の実態から対話的で深い学びの設定が難しい、などの課題が挙がりました。㋐については、一人一人の具体的な活動(=個別目標)を想定すること、㋑については、一人一人が分かって動ける支援を準備すること、㋒については、目線を合わせる、友達を見たり息を合わせて活動したりする、などの協働的な学びを設定すること、を具体的な解決策として考えました。
3 まとめ
今後は、今年度得られた研究成果や課題を授業づくりに生かしていき、本校の更なる教育課程の改善・発展に取り組んでいきます。そして、児童生徒が「生きる力」を身に付けられるよう、教育活動をさらに充実・発展させていきたいと考えています。