1年生

『ブービーとすべりだい』
高畠 じゅん子/作 高畠 純/絵 講談社
ブタのブービーはすべり台がすべれません。すべり台にのぼると、みんなの顔が小さく見えてこわくなるのです。カラスやネコが励ましてくれますが、なかなか勇気が出ません。お母さんに相談すると、ひざですべり台をしてくれました。ブービーはうれしくて何度もすべりました。そして、次の日すべり台にもう一度挑戦します。
できないことや苦手なことに挑戦するのは、勇気がいりますよね。そんな時、友達やおうちの人に励ましてもらったことがあると思います。ブービーと自分を重ねていたのか、みんな静かに引き込まれるように聞き入っていました。
2年生

『はじめてのたまご売り』
ラスカル/文 イザベル・シャトゥラール/絵 中井珠子/訳 BL出版
にわとりのオリビアは、ねえさんたちが産んだたまごをパリの市まで売りに出かけます。田舎を出発して、バスに乗り、TGV(超特急)に乗り、地下鉄に乗り……しかし、おしゃれな街、パリに魅了されてしまったオリビアはたまご市のことなどすっかり忘れて、おしゃれに着飾り、パリ見物へ。こうして、オリビアは月に1度のたまご市をのがしてしまいます。しかたがないので、3食付きのホテルに泊まって、次の市を待つことにします。そして、いよいよたまご市の日。市が開かれるバスティーユ広場に行くと……?
おしゃれな絵画のようなイラストが、「世界でいちばん美しいパリ」の魅力を存分に表現していて、オリビアと一緒にパリ見物をしている気分に浸れます。みんな、オリビアのようにのんびりゆったり聞いてくれていました。
3年生

1冊目は
『しろねこしろちゃん』
森 佐智子/文 MAYA MAXX/絵 福音館書店
猫のしろちゃんは、お母さんも他の兄弟もみんな真っ黒なのに自分だけ真っ白。「いやになっちゃうな。どうしてぼくだけしろいんだろう。」体をわざと汚して黒くなろうとしますが、すぐにお母さんにきれいにされてしまいます。ある日、お父さんが帰ってくることになります。しろちゃんは自分だけ白いのがはずかしくて、家出をしますが……?
ほっとする結末に、心があたたまる絵本です。
2冊目は
『タンゲくん』
片山 健/作 福音館書店
野良猫のタンゲくんは、ある時から「わたし」の家に居ついてしまいます。あたりまえのように「わたし」のひざに座り、「わたし」のふとんの上で眠ります。そうじきを怖がり、満月の夜には家中を狂ったように走り回ります。そんなタンゲくんは、外で会っても知らんぷりしたり、隠れたり。名前を呼んでも逃げて行ってしまいます。
猫らしいマイペースなタンゲくんと「わたし」の心和む友情が描かれた絵本です。猫を飼っている人は、よくわかるところがあるかもしれませんね。
4年生

1冊目は
『もとこども』
富安陽子/作 いとう ひろし/絵 ポプラ社
大人はみーんな〈もとこども〉。じいちゃんもママも、近所のねえちゃんも、虫も鳥も動物も。よのなかは〈こども〉と〈もとこども〉でできている。
当たり前のことですが、子どもにとっては想像するのがなかなか難しいかもしれません。お父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんはどんな子どもだったんだろう?自分はどんな大人になろうかな?親子で会話を楽しみながら読んでほしい一冊です。
2冊目は
『それゆけ!さかなくん!』
ルーシー・カズンズ/作 なぎ・ともこ/訳 偕成社
「メイシ―ちゃん」の作者、ルーシー・カズンズさんの絵本です。
小さなさかなくんが海の仲間を紹介していきます。あかくん、あおくん、きいろさん、ぽちぽちくんにしましまくん……たくさんのユニークな魚が出てきます。色鮮やかなイラストで、思わず楽しくなる絵本です。
英語に日本語訳が併記してあり、今回は英語で読んでいただきました。英語でのやりとりを楽しんでいた子どもたちでした。
5年生

『島ひきおき』
山下明生/文 梶山俊夫/絵 偕成社
作者の山下明生さんのふるさと、広島県にある敷島という無人島にまつわる言い伝えを元に作られたそうです。鬼が引いてきた島だから引島、それが敷島になったそうです。
昔、広い海の真ん中の小さな島に鬼が住んでいました。家族も友達もおらず、ひとりぼっちで毎日寂しく過ごしていました。ある嵐の日、助けを求めに島に漁師たちがやって来ます。「あんたらといっしょにくらしたいが、どうしたらええんかのお」と尋ねる鬼に、漁師たちは「島をひっぱってきんさったら、いっしょにくらせるでございましょうが」と口からでまかせを言います。
これを信じた鬼は、島を引っ張って海の中を歩き、人間の住む村を訪ねて行きますが……?
寂しがり屋で純粋な鬼は、ただ人間と一緒に遊びたいだけでした。しかし、人間にとって鬼は「おそろしい」存在です。みな、あの手この手で鬼を村から追い出そうとします。
鬼の気持ちを思い、「せつなくなった」と感想をくれました。
6年生

1冊目は
『みんなともだち』
中川ひろたか/作 村上康成/絵 童心社
作者の中川ひろたかさんは元保育士で、この絵本は保育園の卒業を描いています。
「みんなともだち ずっとともだち おとなになっても ずっとともだち」とリズムの良い文章が続きます。作者の作曲で歌もあり、よむよむさんが歌ってくださいました。
「歌ってもらったのがよかった」と楽しんでいた子どもたちでした。
2冊目は
『ルリユールおじさん』
いせ ひでこ/作 理論社
ルリユールとは製本・装幀職人のことで、出版業と製本業の兼業が長い間法的に禁止されていたフランスで発展した職業です。
舞台はパリ。大切にしていた植物図鑑が壊れてしまったソフィーは、ルリユールおじさんが本を直してくれると聞き、お店を探します。
本をばらばらにして、再び糸でかがって、のりでかためて、カルトン(ボール紙)にくっつけて……細かな工程が丁寧な絵とともに描かれています。おじさんの手は木のこぶのようで、まさに職人の手。おじさんの父もまたルリユールで、「魔法の手」を持つ職人でした。
世界で1冊のソフィーの新しい植物図鑑が出来上がっていく様子と、ソフィーとおじさんとの交流、おじさんの父の思い出が、とても丁寧に描かれています。
もうすぐ卒業を迎える6年生。読み聞かせの後、いろいろな形でいろいろな人がつながっていることをよむよむさんに教えてもらい、心に残ったようでした。