「よむよむ」による朝の読み聞かせ

図書室

1年生
「おにたのぼうし」
作)あまんきみこ    ポプラ社

節分の夜のことです。どのうちからもまめをまく音がして、おにの子のおにたは、いくところがありません。
つのをかくす古いむぎわらぼうしをかぶって、まちを歩いていきました。
ようやく小さな橋をわたったところに、まめのにおいのしない家をみつけました。
そこには、おんなのことおかあさんがすんでいました。おかあさんは病気でした。
てんじょうのはりの上で、ふたりのようすをみていたおにたは、おんなのこをよろこばせてやりたいと思います。

 

表紙の絵では 上半身はだかのおにたが麦わら帽子をかぶっているので 夏の物語かな・・・と 思っていたのですが 
実は 節分の夜のお話だったんですね。
おんなのこを思いやるおにたの気持ちが、せつなくいじらしく、いわさきちひろさんの絵とともに、いつまでもこころにのこります。

1年生には少し難しいお話かな、とも思いましたが ちょっと不思議な物語に興味を持ってくれたようで 
イスを寄せて集まって 集中して聞いてくれていました。

2年生
「セーターになりたかった毛糸玉」

作)津田 直美     ブロンズ新社

セーターになりたいとあこがれていた毛糸玉は、編まれててぶくろになりました。
かなしむ毛糸玉ですが、男の子に気にいれられて、気をもちなおします。ところがある日、男の子とも離ればなれになって……

  

絵本も小さく 少し長いお話なので 絵を電子黒板に映して読みました。
やはり お話の展開とともに 大きな画面で絵をしっかり見られるので みんなすごく集中して聞いてくれていました。

3年生
「アナベルのふしぎな毛糸玉」
作)マック・バーネット    あすなろ書房

アナベルのけいとは、ふしぎなけいと。編んでも編んでもなくならない。
自分の服を編んでも、クラスみんなの服を編んでも、町中の動物たちの服を編んでもなくならなかった。そこで…。

 

しっとりとした音楽をBGMに読みました。後半 文章が少なくなり 文字のないページもあるのですが 
そんな時にはBGMがあると へんな間延びもなく 物語の世界に浸れると思います。

お話の不思議さにツッコミも入れながら 楽しんで聞いてくれていました。
イラストは「なんでやねん」などの絵本でおなじみの ジョン・クラッセンです。

4年生
「はるがきた」
作)ジーン・ジオン    主婦の友社

2月3日といえば「節分」 これは すぐにみんな言ってくれましたが、その次の日は? には なかなか声が上がりませんでした。
「立春」ですよね。今日は立春の季節に読むのが好きな絵本です。

 

すぐそこに来ているはずなのに、なかなか訪れない春。
街は灰色、人々も同じ様に暗くてしずんだ気持ちに……そんな時。
「ねえ、どうして春を待ってなきゃいけないの?
 待ってなんかいないでさ、ぼくたちでまちを春にしようよ」
男の子の素敵なアイディアと人々の素晴らしい行動力で、あっという間に街が輝きはじめます。

名作『どろんこハリー』の著者コンビの絵本 ということで 「どろんこハリー」を最初にみんなに紹介したのですが、
なんと みんな知らない様子でした。
古い名作って なかなか手に取ってもらえないんだなぁ・・・。
「はるがきた」の初版はアメリカで1956年に出版されました。
長らく日本では翻訳本が出版されず幻の名作と言われていましたが、原画も元データも消滅する中 
現在の印刷技術によって、2011年に日本でも出版されたのです。
その後2022年に新版として出版されたものは サイズが少し小さく 表紙に英語の題名も載っていたり 色合いも少し違っています。



5年生
「OWL MOOL 月夜のみみずく」
作)ヨーレン      偕成社


月夜の雪の森で、わしみみずくに会った少女の胸の高鳴りと、大自然との交歓をみごとに描く詩の絵本。

  

一面の雪で、息を呑む景色。
ダイナミックな構図の絵がひたすら美しい絵本です。
父さんと一緒にみみずくに会いにでかけるこの夜を、ずっとずっと待っていた、そんな女の子の気持ちがよく伝わってきます。
寒くて大変なんだけれども、ちょっと背伸びして、みみずく探しのルールを心の中で繰り返す、そのわくわくした気持ち。
そしてとうとうみみずくが現れ――じっと見つめあうその瞬間の胸の高鳴り。
クライマックスでページいっぱいに描かれるみみずくの姿に 思わず「あっ」と息をのむみんなの空気も感じられました。



凛とした雰囲気で静かに語られる詩・・・というより 物語のようですが そのお話に寄り添うように ほんとに静かに ストーブの音だけが聞こえている、そんな教室で読んでいて 読み手としてもうれしかっです。

以前5年生の国語の教科書に載っていましたが 絵本の大きさであらためて読むと 味わい深い作品であることがよく伝わってきました。

6年生
「きみの行く道」
作)ドクター・スース     河出書房新社


子どもから大人まで、新しい人生をふみだそうという人に贈るユーモアと冒険に満ちた物語。
現代のマザーグースといわれるスース博士の、人生のヒントに満ちた作品。
1990年に発表され、子どもの絵本としてだけでなく、ニューヨークタイムズのベストセラーに2年間以上登場した世代を超えたミリオンセラーです。

 

6年生の読み聞かせには どんな絵本を読んだらいいのかとても悩みます。
励まされつつも現実の厳しさや恐ろしさがあることも あくまでも明るく伝えているこの絵本 もうすぐ小学校を卒業して中学生 
そんなはじめての人生の節目を迎える6年生に 何か伝わるものがあるといいな、と思って読みました。
ひとそれぞれ タイミングがあるので こういうことにピンとこない人もいたようでしたが 身を乗り出して聞いてくれている子もいて うれしかったです。


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