2月6日(木)、図書館にて読書会イベントを実施しました。今回の内容は「ショートショートの神様」として有名な、星新一さんの作品を読んで、その感想と解釈を話し合うというものでした。
最初に読んだ作品は『悪魔』です。釣りをしに湖まで来たエヌ氏。魚がかかったと思い釣り上げるとそれはなんと悪魔の入った小さな壺。出てきた悪魔は願いを何でも叶えると言うが…というお話です。参加者の感想としては、欲を持ちすぎると大変なことになる、というものや、欲張ることは良いけれど、欲張りすぎはだめなので線引きが必要、などがありました。
また、この物語には作者のどんなメッセージが込められているのか、この悪魔は一体何者なのか、何がしたかったのか、もし自分がエヌ氏だったらどうしていたかなど、様々なことを話し合いました。途中「『小さな』とあるが、この壺は実際どれくらいの大きさだと思うか」という話題になったのですが、意外にも皆の想像したその壺の大きさや、さらにはそこから出てくる悪魔の大きさ・姿もそれぞれ異なり、些細な描写でさえも人それぞれ感じ方は違ってくることを実感しました。
次に読んだのは星新一さんの代表作としても呼び声の高い『ボッコちゃん』です。バーのマスターが趣味で作った人間そっくりのロボット、ボッコちゃん。感情もなく、言われたことを繰り返すことしかできないが、そのきれいな見た目が人気で、ロボットであるとも気づかない客たちはボッコちゃんによく酒をおごっていた。マスターはボッコちゃんが飲んだその酒をこっそり回収し、使い回していたのだが、これが全く予想外の結末を引き起こす…というあらすじです。参加者たちからは、ボッコちゃんはオウム返ししかしていないので、一体客たちは「誰と」会話しているのだろうか、という疑問や、どうして周りの人たちは気づかなかったのか不思議に思った、などの感想がありました。
このお話はある種のバッドエンドなのですが、それをそう気づかせないどこかノスタルジックな雰囲気や、機械的な冷たさを感じるという意見も出ました。最後の、マスターが客たちに酒をおごるシーンで、酒を商売道具としか見ていないというマスターは、なぜこの時自分も一緒に酒を飲んだのか?実はボッコちゃんに何があったか全部知っていたのではないか?という考察も出ました。そういった視点でみると地の文にある何気ない普通の説明も、少し違ったふうに読め、新たな発見が生まれました。
【図書館】イベント部活動報告
