4月8日(木)、第74回入学式を講堂にて挙行しました。九条家ゆかりの御門を開放し、御来賓や保護者の皆様に御臨席いただく中、これからの3年間、本校でたくましく成長してくれる入学生が、今日の春の日のような晴れやかな面持ちで本校に入学してくれました。

_

「校長式辞」を掲載いたします。

_

式辞   
 春の花が街を彩るこの良き日に、令和三年度京都府立鴨沂高等学校入学式を挙行するにあたり、
 本校PTA会長 山中(やまなか) 歌織(かおり) 様をはじめ御来賓の方々並びに、保護者の皆様の御臨席を賜り、高壇からではございますが、厚く御礼申し上げます。
 
 新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんの入学を祝福するとともに、心から歓迎いたします。皆さんは、本日から京都府立鴨沂高等学校の生徒として、学ぶこととなりました。本日の皆さんの喜びは、皆さんがこの三年間努力を積み重ねて来られた結果であることは申すまでもありませんが、今日まで皆さんを支えてくださった方々に、今一度、感謝の念を表し、高校生としての第一歩を踏み出してください。
 
 本校は、明治五年創立の我が国最初の公立女学校である「新英学校及び女(によ)紅(こう)場(ば)」に始まり、今年で創立百四十九年目を迎え、来年は百五十年目を迎えます。高校時代のさまざまな経験を通して、高い理想を持ち、たくましく、誠実な人として、社会の中で信頼される人に育ってほしいと願っています。
 
 今、日本や世界は、誰も経験したことのない困難と闘っています。大変な日々が続いていますが、鴨沂生一人一人にとっては、一日一日が、かけがえのない高校生活です。鴨沂では「今、何ができるか」を考え、生徒、保護者、教職員の「チーム鴨沂」で、人と人とのつながりを大切にして、学習、部活動や学校行事などを協力して進めてきました。この春、卒業した三年生が「鴨沂で本当によかった」と言って、とてもよい表情をして卒業をしてくれました。これからも、皆さんとともに、「前向きに今できること」を協力して行い、困難を乗り越えていきたいと思います。

 さて、ここで、みなさんの入学に際して、私の思うところを述べて、みなさんへの激励としたいと思います。

 まず一つめは、「主体的に学ぶ」ということです。積極的な学びを通して、基礎学力を身に付け、その土台の上に思考力や表現力を築いていきます。そのためにも、授業を大切にし、自ら学ぶ心を熟成していってほしいと思います。将来、細かな知識は忘れることはあっても、高校時代に身に付けた思考の回路は、一生消えることはなく、経験したことのない課題に直面した時に、解決の道を開いてくれるものです。みなさんは、あらゆることに興味を持って学んでほしいと思います。

 二つめは、「協力して生きる」ということです。学校は人と人とのふれ合いを通して、豊かな人間性を育む場です。人は、人との関わりの中で、豊かに成長します。入学して、これからたくさんの人に出会うことになります。自分を大切にし、周りの人を大切にする、互いの人格を尊重し合える関係ができれば、人間関係はどれだけ豊かになるかと思います。みなさんが、自他をリスペクトする本校の校風をさらに高めていってほしいと思います。

 三つめは、一生を託せるような「夢を育む」ことです。将来の「夢」について、じっくり考えることが大切です。その手がかりは、3年間で至るところにあります。慶應義塾創始者の福沢諭吉が述べたと言われる「七つの教え」の一つに「世の中で一番楽しく、立派な事は、一生涯を貫く仕事を持つことです」とあります。皆さんが、よき人生を送るためにも、本校在学中に自らの「夢」を育み、自分の可能性を磨いていってほしいと思います。

 そして、何よりも、鴨沂での日々を大切にしてほしいと思います。「ちいさいおうち」という絵本の作者で知られるバージニア・リー・バートンには、「せいめいのれきし」という本があります。多くの生物学者や恐竜学者の愛読書になっているそうですが、そこには、こう書かれています。「地球は四十六億年ほど前に生まれ、二十五億年前から生物が存在し、一万一千年前になって人類が誕生した」と。地球の歴史に比べ、人類の歴史はとても短いことに気がつきますが、それも全て一日一日の積み重ねです。だからこそ、一日一日が大切だと思います。物語の最後には「この後は、あなた方のお話、その主人公はあなた方です」とあります。本日から鴨沂高校での学校生活が始まりました。皆さん一人一人が主人公であり、充実した日々を過ごし、卒業時「鴨沂生で本当によかった」と心から思える高校時代を過ごしてほしいと思います。皆さんを、本校は全力で応援していきます。

 後になりましたが、本日御臨席いただきました保護者の皆様、お子さまのご入学、誠におめでとうございます。鴨沂の制服に身を包み、晴れて高校に入学されましたお子さまの姿をご覧になり、感慨もさぞひとしおのことと存じます。私たち教職員は、保護者の皆様の期待に応えるべく、最大限の努力をしてまいります。ぜひ、保護者の皆様の学校への御理解と御協力をよろしくお願いいたします。

 結びに当たり、新入生の皆さんが、新しい出会いの中で、学習、部活動や学校行事などを通して、さまざまな学びや経験をすることにより、楽しく、豊かな学校生活を送るとともに、鴨沂高校の新しい歴史を築いてくれることを期待して、式辞といたします。素晴らしき高校時代を!

おっきー短足(HP用).jpg

                     令和三年四月八日
                         京都府立鴨沂高等学校
                         校 長 吉 川  孝