人を思う心が町をつくる

 9月は長雨や台風が続き、災害からの復興に向けた取組が続いています。被災された皆様に改めてお見舞い申し上げます。そこに暮らす人々の日常がすぐに元に戻るわけではありませんが、私たちができることの1つに遠く離れた場所で起こっている出来事に心を寄せることがあります。こうした「誰かのことを思うこと」「何ができるか考えること」を私自身も改めて実感するできごとがありました。

 4年生が9月17日から1泊2日の京丹波町探究学習に出かけました。和知では山野草の森でこけ玉づくりや木工工作を行い、瑞穂では質志鐘乳洞や質美笑楽講を訪問、丹波では石井食品の工場見学や京都トレーニングセンターでの活動など、京丹波町の様々な場所を訪れ、京丹波町ならではの魅力を見つける学習です。残念ながら楽しみにしていたカヌー体験は川の増水のため実施できませんでしたが、今できることに生き生きと取り組んでいる姿がたくさん見られました。

 しかし、今回の宿泊学習で、子どもたちの心に残ったのは、楽しい活動だけではありません。宿泊施設では電気設備の不具合により、部屋の電気がつかない、入浴施設が利用できない状況になりました。そこで、改めて施設の安全確認や打ち合わせを行い、食事は提供いただけることや当日の気象状況などから、子どもたちの安全対策を行い、宿泊学習を継続すると判断しました。すると、そこからの地域の皆様、教育委員会の対応には、本当に心打たれました。急な状況にもかかわらず、近隣のグリーンランドみずほ「あかまつ」の入浴施設を使わせていただけるよう手配してくださり、子どもたちの送迎もトレセンにお世話になりました。遅い時刻まで、たくさんの人々が真摯に対応くださいました。無事、就寝前には復旧し、子どもたちの歓声があがりました。

 誰にとっても突然の出来事だったはずです。それでも子どもたちの大切な1日を何とか支えようと多くの方が動いてくださいました。もちろん予定通りにいかないこともありました。けれども、様々な条件に恵まれたこと、何より、町の皆様の温かさがあったことで、子どもたちは1泊2日の宿泊学習を無事に終えることができました。そして、何よりうれしかったのは、子どもたち自身が予想もしなかった事態の中でも「どうしたら楽しく過ごせるだろうか」と考え、仲間と声をかけ合いながら、そこにある楽しさを見つけていたことです。突然、電源が落ち、食堂が真っ暗になることがありました。怖がる友達に何度も「大丈夫」と声をかけたり、懐中電灯にペットボトルを当てて光を拡散したり、思い通りにならないことが起きた時、誰かに何かしてもらうだけでなく、自分たちで営みを創っていく。この日の夜のつどいでは、そんな生き生きとした振り返りが次から次へと語られました。

 今回の宿泊学習は、京丹波町の自然や文化、産業のすばらしさを発見するだけでなく、思いがけないできごとを通して、人と人とのつながりの温かさや、地域の方々の思いに触れる学びになったのではないかと思います。子どもたちのために突然のお願いにも嫌な顔1つせず対応してくださった京丹波町の皆様、関係者の皆様、そして今回の学習を支えてくださった皆様に心より感謝申し上げます。

 こうした経験を通して、子どもたちの心に残った「京丹波町」のよさは、きっと景色や場所だけではありません。「困った時に支えてくれる人がいること」「自分ができることを考え、誰かのために力を尽くす人がいること」「そして仲間と一緒なら、思いがけないできごとさえ学びに変えられる力があること」「その思いが人から人へとつながっていくこと」そんな自分自身や人の温かさも京丹波町の大切な魅力として子どもたちの心に残ったのではないでしょうか。それこそが、本当の「町の豊かさ」だと思います。保護者の皆様には、大変ご心配をおかけしましたが、最後まで見守っていただきありがとうございました。

 10月10日は運動会です。保護者の皆様、地域の皆様のお陰で、舞台が整いました。(学校整備作業ありがとうございました。)「今度は自分たち自身が、みんなが笑顔になれる運動会を創る番」そんな気持ちで取り組んでいます。どうぞ、たくさんの参加をお待ちしております。

                                                               校長 中田 匡恵