10.人との関係がうまくいかないんだ


 Jさんは中学生です。班で歴史新聞作りの内容を話し合っていた時のことです。
「何時代を選ぶか」で友だち同士が言い合いになり、けんかになりました。他の子は、はらはらして止めに入ろうとしています。
 その時Jさんは「安土桃山時代がいいと思います。」と目の前のけんかが目に入っていない様子です。他の子から「何言ってるの!けんかしてはるやろ!」ときつい口調で注意されたのですが、「じゃあ、平安時代でもいいです。」と返事しました。
 このようなことが時々あり、Jさんは、自分勝手で思いやりがないと誤解されてしまうことがよくあります。
 Jさんは思いやりがないのではなく、友だちの表情や場面の理解ができにくいことがあります。


 このように自分と他者との関係がわかりにくいことで苦労している子どもがいます。

  相手の表情や口調が読みとりにくい。

  場面の状況の理解が難しい。

  あいさつ、お礼等がうまく言えない。人への接し方がわからない。

  まわりの人が言わないことも、配慮なしに言ってしまう。

 これらの「子どもの様子」「考えられる要因」「支援の手立て」を考えると次のページのようになります。

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目  次 はじめに 構成と使い方

第1部
1.聞くことが苦手 2.うまく話せない 3.読むことが苦手 4.うまく書けない
5.計算が苦手 6.文章題が苦手 7.まわりが気になって 8.わかってるんだけど
9.衝動的に動いてしまう 10.人との関係が 11.コミュニケーションが 12.なにか気になって
・不器用な子ども ・行動上の問題

第2部
・学校体制 ・学校を支援するシステム ・宇治市における取組

第3部
・精神科医から ・小児科医から ・作業療法士から ・臨床心理士から
・保護者から ・保護者の手記 ・Q&A