4~9年理科特別授業「ふれあい天文学~星座から重力波まで~」

 11月11日(火)に、4~6年、7~9年に分けて理科の特別授業を実施しました。国立天文台の天文学者、(ちん)たん様を迎え、「本物にふれる体験を通して理科への興味関心を高める機会とする。」というのが、今回の目標でした。

 講師の陳さんは、中国の武漢出身で、小学生の頃に来日され、その後日本で教育を受けられました。大学では物理を専攻、大学院では重力波望遠鏡の研究開発をされていました。現在は、国立天文台重力波プロジェクトに所属し、岐阜県にある重力波望遠鏡KAGRAカグラのための研究開発をされています。

 今回の授業では、まず、星座早見盤の使い方を教えていただきました。星座早見盤とは、特定の地点での特定の時期の星空を調べるための星図のことです。これを使えば、昼間でも雨降りの日も、空にある星座の位置がたちどころに分かるというものです。

 使い方は、南を向いて、早見盤の「南」の表示が手前になるように早見盤を持ちます。次に、観測している日付と時刻の目盛りを合わせます。そして、これを頭上にかざして星座を探すのです。小学生の頃に早見盤を使ったことを思い出すことができました。子どもたちも復習になったと思います。

 質量(重さ)のあるものには、重力があります。私たちにもあります。そして、地球にもあります。私たちが地球に立っているのは、お互いに引き合っているからです。でも、地球の方が大きいから、私たちは、地球に張り付いていると言えます。大きな物体ほど強い重力を持つので、地球より木星が、木星より太陽がより大きくなります。宇宙は、とてつもなく広大なので、とてつもない質量を持った天体が存在します。「ブラックホール」が正にその典型です。

 さて、陳さんが研究しているのは、重力波です。重力波とは、質量を持った物体が加速度運動することで放射される「時空のさざ波」です。しかし、観測できるほどの大きな振幅の重力波を発生させるには、高密度で非常に大きな質量の物体が加速度運動する必要があります。重力波の発生源としては、中性子星の自転や、複数のブラックホールの衝突、恒星の超新星爆発などです。

 岐阜県飛騨市に建設された重力波望遠鏡KAGRAは、時空の歪みが波として伝わる重力波を捉えるのです。KAGRAで使われているのは、「レーザー干渉計」という技術です。重力波によって空間が伸び縮みする様子を、直交する方向に飛ばしたレーザー同士の干渉縞を見ることによって検出しようとするものです。この干渉計の精度を高めるためには、高出力のレーザー光源、大きな鏡、超高真空装置などが必要となります。それらを兼ね備えたのがKAGRAなのです。

 KAGRAの大きな特徴として、3kmに及ぶ検出器の大きさ、重力波の検出に有利な設置場所として検出器を地盤の安定な地下に建設したこと、鏡を揺らす熱雑音を減らすためマイナス250度まで冷却すること、鏡の材質に低温特性に優れたサファイアを用いるという4つが挙げられます。

 もう、想像を超えた世界の話で、なかなか理解するのが難しかったです。でも、高質量の天体が高速で回転すると、時空の歪みが波として伝わのだという重力波のイメージをもつことができ、それを観測できるKAGRAとその最先端技術を知ることができました。

 陳たん様、お忙しいところありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました