6月15日(金)5時間目に、3年3組で、今年度2回目の研究授業を行いました。
授業は、4つの演劇的手法を活用して進められました。
導入では、パペット・ペンギンの「ペンちゃん」を使っての『ティーチャー・イン・ロール(先生も演技)』。
「ペンちゃんのお悩み相談」という設定です。ペンちゃんから、「よく考えて行動しましょう、と言われるけれども、
何を考えていいかわからない。」という訴えが。子どもたちも、どんな場面で「よく考えて」と言われるか、
思い出しながらペンちゃんの話を聞きます。

そう。今日の道徳の授業のテーマは、「よく考えて行動するってどういうこと?」。
担任の酒井先生が、資料を読み聞かせます。
主人公の「ぼく」が台風後にうずができている川で草やぼうを入れて遊んでいます。
その後、まことくんが「かさを入れたらどうなるかな」と言い出し、かさを川に投げ入れて遊び始めます。一緒に入れる子もいれば、その遊びをことわる子もいます。
さて、「ぼくは」・・・。自分の傘を入れるかどうか迷っている場面でストップ。
簡単に物語の設定や状況を確認し、その後、『ロールプレイ』です。
登場人物になった4人が前で、実際に傘を川に投げ入れて遊ぶ場面をやってみました。
教室は、傘を投げ入れる動作に盛り上がります。

その後、迷っているぼくが傘を持って考えている場面を再現。
傘を渡された人は「ぼく」になって、その時思っていることを「心の声」で表現します。
ここでは、吹き出し(心の声カード)が大活躍!
「やってみたいけど・・・。」「お母さんに怒られるかも。」
素直な声が飛び出します。

その後、担任の先生から「自分だったら、どうする?」という問いかけが。
子どもたちは、「心メーター」で、自分だったら・・・という考えを意思表示。
「やってみたい」という人、「迷っている人」、「やめておこう」という人、それぞれの理由を聞いていきます。
そして、いよいよ『アクセル・ブレーキ会議』です。
これは、迷う主人公の心の中の「アクセル(やってみよう)」という気持ちと「ブレーキ(やめておこう)」という一人の人物の中の気持ちのせめぎ合いを、二人組でやりとりしながら深める活動です。行動の判断理由を増やしていくことがねらいです。
二人の児童によるモデリングの後、ペアでの『アクセル・ブレーキ会議』。
1分で交代して、どちらの立場も経験することで、自分とは違う立場の思いにも想像をふくらますことができるようにしたいと考えています。

『アクセル・ブレーキ会議』後に出てきた意見としては、次のようなものがありました。
【アクセル派】
「みんなでやったらおもしろい」「みんなやってるから」「壊れてもまた買ってもらえばいい」「怒られてもいい」「人の傘でやる」・・・。
【ブレーキ派】
「かさがこわれるかも」「お母さんにおこられるかも」「みんながやってても注意しなきゃ」「お金を無駄にしてはダメ」
「お母さんに負担がかかる」「お気に入りの傘なのに」「もし明日雨が降ったらこまる」
酒井先生が、「この物語には続きがあります」と言い、資料の続きが配られます。
「絶対やってるってー。」と、わくわくしながら続きを読む子どもたち。
そう。物語の主人公は、傘を川に入れるという選択をしました。
しかし、他の人の傘は壊れなかったのに、ぼくの傘は、壊れてしまいます。
「ぼくはだまって、ボロボロのかさをじいっと見ていた」の部分を、T2の藤原先生が演じます。
その時の心の声を、子どもたちが表現。「やらなきゃよかったなぁ」という気持ちが出てきます。

酒井先生から一言。「じゃあ、落ち込んでいるぼくに、何か声をかけてあげて。」
子どもたちからは、「また買ってもらったら・・・」という意見が出されますが、「ぼく」は、モヤモヤしていると言います。
そう、「ぼく」は、「よく考える」って、何をどう考えればよいかわからず、モヤモヤしていたのです。

「よく考えるって、何を考えたらいいの?教えてよ・・・」というぼくに、子どもたちは、一生けん命言葉をかけます。
「他の人の気持ちを考えるといいよ。」「あとのことを考えるのが大事だよ。」
「やっていいかどうか、人にまどわされないで、自分を信じることだよ」
「人の傘は丈夫でも、自分のかさは違うかもしれないって考えることが大事」
「物の気持ちも考える必要がある」という言葉が出てきました。
子どもたちからのアドバイスを聞きながら、ちょっと元気を取り戻した「ぼく」。
最後に酒井先生から、「じゃあ、授業の最初に戻ってみよう。
みんなが日常生活の中でよく考えてって言われる場面では、何を考えたらいいのだろう。」
最後に、自分たちの日常生活を思いだし、その場面に今日の学習がどう生かせそうか考え、振り返りを書きました。
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