9年美術で校長が特別授業を行いました

 三和学園の白米山しらげやま校長は、美術科の免許を持っています。2月28日(金)に、卒業を目前に控えた9年生だけに、「西洋美術史~破壊と創造~」という特別授業を行いました。

 授業の前半では、西洋の美術史について、ルネサンス以前から、20世紀の作家たちの作風や作品について解説しました。

 後半は、西洋美術史に大きな影響を与えたスペインの画家、ピカソをについての授業でした。生徒たちは、ピカソという名前や、一部の作品のは知っているようでした。ちなみに、ピカソのフル・ネームは、「パブロ・ピカソ」と表記されることが多いですが、実は、超絶長いことをご存じでしょうか?Pabloパブロ Diegoディエーゴ Joséホセ Franciscoフランシスコ de Paulaパウラ Juanホアン Nepomucenoネポムセーノ Maríaマリーア de losロス Remediosレメディオス Ciprianoシプリアーノ de la Santísimaサンティシマ Trinidadトリニダード Ruizルイス y Picassoピカソと言います。詳しい解説は省きますが、ピカソの血縁者やキリスト教の聖人の名前をくっつけています。こうした長い名前は、スペイン語圏では当たり前だそうで、多くの聖人の名前により、多くの加護が得られるようにという願いが込められています。

 生涯において実に多作で、『ギネスブック』に「最も多作な美術家」と記されているそうです。92歳で亡くなるまでに、絵画1万3500点、版画10万点、挿絵3万4000点、そして彫刻・陶器300点を残しています。立体作品も制作しているんですね。それにしても、凄まじいまでの制作意欲です。

 ピカソは、その長い生涯で、「カメレオンのように」次々作風を変えていきました。白米山校長は、「◯◯の時代」と呼ばれるそれぞれの時期の代表的な作品を挙げながら、分かりやすく授業を進めていきました。

・少年時代…ピカソは、美術学校教師の父の手ほどきで絵を始め、すばらしい才能を発揮した。

・青の時代…パリで、極度の貧困と寒さと絶望の時代。試練と苦悩がこの時代の絵を生んだ。コバルトや藍色の冷たい色調で描いている。

・バラ色の時代…恋がピカソの心に安定をもたらし、この時代の絵は優雅な落ち着きをただよわせている。サーカスの芸人や道化師の画題が多く、別名サーカスの時代とも呼ばれている。

・キュビズム(立体派)の時代…自然の形を直方体や円すいなどの幾何学的な形に置き換え、再構築しようとする表現方法。

・新古典主義の時代…キュビスムが形を解体していき、線と面だけで何が描いてあるかわからなくなった頃、ピカソ自身は細部の描写を省き、明暗で量感をつかんだ古典的表現に変わっていく。

・「ゲルニカ」以後…スペイン内乱で、ナチ軍がスペインの町ゲルニカに無差別爆撃を加え、多数の人々を殺害した。ピカソは、母国の人々の苦しみに深く同情し、「ゲルニカ」を描いた。第二次大戦後は、自分が開拓した表現法で多くの作品を残した。絵画以外を制作したのもこの時代。

 授業の最後に、校長が自宅で制作した木工マグネットを9年生全員にプレゼントしました。みんなとても喜んでいました。

 生徒たちにとっては、校長先生から大変勉強になることを教わるとともに、素敵な木工作品ももらえて、卒業前の有意義な時間となりました。

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