令和3年度相楽東部広域連合立笠置小学校いじめ防止基本方針

はじめに

いじめは、いじめを受けた児童の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び 人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがある重大かつ深刻な人権問題である。

 相楽東部広域連合立笠置小学校では、学校教育目標に「人権を尊重し、豊かな人間性と感性を持つ児童の育成」を掲げている。ここに、児童一人一人の尊厳と人権が尊重される学校づくりを推進することを目的に、地域住民・保護者その他の関係者の連携の下、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)第13条の規定に基づき、「相楽東部広域連合(以下「連合」という。)いじめ防止基本方針」を踏まえて、いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処(以下「いじめの防止等」という。)のための対策を総合的かつ効果的に推進するため、「相楽東部広域連合立笠置小学校いじめ防止基本方針」を策定する。また、平成29年10月に「連合いじめ防止基本方針」が改定されたことを受けて、「相楽東部広域連合立笠置小学校いじめ防止基本方針(以下「基本方針」という。)の一部を改定する。

なお、「いじめ」とは「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等 と一定の人間関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネット を通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。」(いじめ防止対策推進法 第二条より)また「起こった場所は学校の内外を問わない。個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする。」(文科省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」より)

第1 いじめの防止等の組織

  1. いじめの防止等に関する取組を実効的に行うため校内に「いじめ対策委員会」を置く。
  2. 「いじめ対策委員会」の構成員は以下とし、必要に応じて関係する教職員やスクールカウンセラー等を加える。また、学校医や学校評議員、PTA役員等にも協力を得られる体制を整備する。

   ・校長・教頭・教務・生徒指導主任・児童支援加配・養護教諭・学年担任

  • 「いじめ対策委員会」は毎月第2水曜日に開催する。なお、緊急に必要があるときは臨時に開催

  する。

  • 「いじめ対策委員会」では、次のことを行う。

 (1) 基本方針に基づく取組の実施、具体的な行動計画の作成、実行、検証、修正

 (2) いじめの相談・通報の窓口

 (3) 関係機関、専門機関との連携

 (4) いじめの疑いや児童の問題行動などに係る情報の収集と記録、共有

 (5) いじめの疑いに係る情報に対して、関係する児童への事実関係の聴取、指導や支援の体制及                 び保護者との連携等対応方針の決定

 (6) 重大事態が疑われる事案が発生したときに、その原因がいじめにあるかの判定

 (7) 重大事態に係る事実関係を明確にするための調査

 (8) 当該重大事態を踏まえた同種の事態の発生防止のための取組の推進

(9)  基本方針に基づいた校内研修の企画と計画的な実施

第2 いじめの未然防止

1 基本的な考え方

 いじめは、どの子どもにも起こりうるものであるとともに、どの子どもも加害者にも被害者にも なりうるものである。このことを踏まえて、全ての児童を対象に互いの個性や価値観の違いをめ、自己を尊重し、他者を尊重するなど豊かな感性をはぐくむとともに、いじめを許さない集団づくり のために、全教職員がPTA等と一体となって継続的に取組を行う。

2 いじめの未然防止のための取組

 (1) 自ら思考・判断・表現して学び合う授業の創造

  ・笠置小の特性に根差した少人数授業(重点研究)の推進

  ・「ことばの力」の育成(言語活動の充実)     

  ・児童が主体的に学ぶ授業の工夫

 (2) 自尊感情をはぐくむ取組の推進

  ・児童会行事等における児童の主体的参画・運営        

  ・異年齢集団「なかよし班」の活用(清掃・児童会の取組・学校行事)

  ・全校和太鼓を含む「つながる学び」地域学習(ふるさと学習)

  ・小小連携による合同学習     

  ・笠置保育所と連携・笠置中学校と連携した取組

 (3) 豊かな人間性をはぐくむ取組の推進

  ・道徳教育・人権教育の推進    

  ・体験活動(笠置地域学校協働本部の活用)

  ・図書館司書とも連携した読書活動の推進         

  ・きまりや法などを守る力、コミュニケーション能力の向上

  ・ソーシャルスキル、ストレスマネージメント力の育成 

 (4) いじめについて理解を深める取組の推進

  ・人権強化週間の取組(人権学習)、年2回実施(6月、11月)  

  ・「人権の花」運動等への取組   

  ・人権意見発表会  

  ・いじめ等防止のための全校朝礼

 (5) いじめ防止等について、児童の主体的な活動の推進 

  ・あいさつ運動の取組

 (6) 教職員の資質能力の向上を図る取組の推進

  ・校内研修の実施(年2回)    

  ・「いじめのサイン発見チェックリスト」等の活用

第3 いじめの早期発見

1 基本的な考え方

いじめは遊びやふざけあいを装ったり、教職員のわかりにくい場所や時間に行われたりするなど (いじり行為)、教職員が気付きにくく判断しにくい形で行われることを認識することが必要である。このことから、児童が示す変化やサインを見逃さないように、日頃から「師弟同行」の考え方に基づく、児童の見守りや児童理解による信頼関係の構築等に努めるとともに、常に情報を共有して 早期発見に努める。

また、いじめは児童に対するアンケート・聞き取りによって初めて実態が把握される例も多く、いじめの被害者を助けるためには児童の協力が必要となる場合がある。このため、児童に対して、傍観者とならず、学校への報告をはじめとするいじめを止めさせるための行動をとる重要性を理解させるように努める。

2 いじめの早期発見のための取組

 (1) 情報の集約と共有

 ・いじめに関する情報については、些細なことも含め「いじめ対策委員会」で情報を共有する。

 ・「いじめ対策委員会」で共有された情報については、全教職員で共有する。

 ・緊急の場合は、職員会議等で情報を共有する。

 ・児童の行動の些細な変化を察知したら、情報を共有していじめ事象か否か検討する。

 (2) いじめアンケートを踏まえた児童面談「お話週間」(質問紙及び聞き取り)を、全児童対象          として学期毎に複数回設定

 (3) 相談体制の整備と周知

 ・定期的に各月2回程度の教育相談日を、また必要に応じて臨時に教育相談日を設ける。

 ・笠置小学校スクールカウンセラーと情報を共有する。

 ・校内相談窓口を設置し、児童及び保護者に周知する。

 ・第1・2学期個人懇談会などを活用した、児童の状況についての保護者との情報連携を深め                             

  る。

第4 いじめに対する取組

1 基本的な考え方

 いじめの発見・通報を受けた場合は、特定の教職員で抱え込まず、速やかに「いじめ対策委員会」 で情報共有し、今後の対応について検討する。その際には、被害児童を徹底して守り通すとともに、加害児童に対しては教育的配慮の下、毅然とした態度で指導する。これらの対応については、教職員全体の共通理解、保護者の協力、関係機関・専門機関と連携に努める。

 いじめは、単に謝罪をもって安易に解消とすることはできない。いじめが「解消している」状態とは、少なくとも次の 2つの要件が満たされている必要がある。 ただし、これらの要件が満たされている場合であっても、必要に応じ、他の事情も勘案して判断する。

① いじめに係る行為が止んでいること

被害者に対する心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)が止んでいる状態が相当の期間継続していること。この相当の期間とは、少なくとも 3か月を目安とする。ただし、いじめの被害の重大性等からさらに長期の期間が必要であると判断される場合は、この目安にかかわらず、「いじめ対策委員会」での判断により、より長期の期間を設定するものとする。学校の教職員は、相当の期間が経過するまでは、被害・加害児童の様子を含め状況を注視し、期間が経過した段階で判断を行う。行為が止んでいない場合は、改めて、相当の期間を設定して状況を注視する。

② 被害児童が心身の苦痛を感じていないこと

いじめに係る行為が止んでいるかどうかを判断する時点において、被害児童がいじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。被害児童本人に対し、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認する。被害児童の保護者については、必要に応じて面談等で確認する。

2 いじめの発見・通報を受けたときの対応

 (1) いじめと疑われる行為を発見した場合、その場でその行為を止めさせる。

 (2) いじめと疑わしき行為を発見した、あるいは相談や訴えがあった場合には、速やかに「いじめ対策委員会」で情報を共有する。

 (3) 「いじめ対策委員会」を中心に関係児童から事情を聞くなどいじめの有無の確認を行う。結果は、加害・被害児童及びそれぞれの保護者に連絡するとともに、相楽東部広域連合教育委員会(以    下「連合教育委員会」という。)を通して京都府教育委員会に報告する。

 (4) いじめられた児童、その保護者への支援を行う。

 (5) いじめた児童への指導を行うとともに、保護者に、よりよい成長へ向けて学校の取組方針を  伝え、協力を求める。

 (6) 児童の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、直ちに警察等との連携を図る。

 (7) いじめが起きた集団に対しても自分の問題として捉えさせ、集団の一員として、互いを尊重し、認め合う人間関係を構築できるような集団づくりを進めていく。

3 ネット上のいじめへの対応

 (1) ネットいじめを誘発する通信情報システムについての研修を実施する。

 (2) ネット上の不適切な書き込み等については、直ちに削除する措置をとる。

 (3) 情報モラル教育を、年間指導計画を踏まえて実施する。

 (4) 保護者等を啓発する講演会等を設ける。

第5 重大事態への対処

  1. 重大事態が発生した場合は、直ちに、連合教育委員会に報告し、調査を実施する主体等を協議す る。学校が調査を行う場合は、「いじめの防止等のための基本的な方針」(文部科学大臣決定)及び京都府並びに連合におけるいじめ防止等のための基本的な方針に基づき、「いじめ対策委員会」を中心に、被害児童・保護者の思いを踏まえるとともに、調査の公平性・中立性の確保に努め、事実関係を明確にする。また、児童や保護者からいじめられて重大事態に至ったという申立てがあったときは、その時点で学校が「いじめの結果ではない」あるいは「重大事態とはいえない」と考えたとしても、重大事態が発生したものとして報告・調査等にあたる。児童又は保護者からの申し立ては、学校が把握していない極めて重要な情報である可能性があることから、調査をしないまま、いじめの重大事態ではないと断言できないことに留意する。
  2. 学校で行う調査の状況については、調査結果を連合教育委員会に報告する。
  3. 児童及びその保護者に対する調査結果の提供は、学校と連合教育委員会とが連携し、必要に応じて適切に行う。 
  4. 調査結果を踏まえ、当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な取組を進める。

第6 関係諸機関との連携

1 地域・家庭との連携の推進

 (1) 笠置小学校PTAとの連携の下、いじめに対する理解を深める取組を推進する。

 ・地域懇談会等における研修の実施

 (2) いじめの防止等に関する学校の基本方針や取組をホームページ等で積極的に発信する。

 (3) 笠置児童館、笠置町青少年育成委員会等とも連携して、地域総がかりのいじめ防止の取組を  推進する。

2 関係機関との連携の推進

 (1) 連合教育委員会はもとより、笠置保育所、笠置中学校、笠置駐在所、笠置町役場等の近隣の  関係機関と密接な連携を図るように努める。

 (2) 木津警察署、児童相談所等の町外の関係機関とも適切な連携を図るように努める。

附則

1 国の「いじめの防止等のための基本的な方針」最終改定      平成29年3月14日

2 相楽東部広域連合「いじめ防止基本方針」一部改定        平成29年10月

3 相楽東部広域連合立笠置小学校「いじめ防止基本方針」一部改定  平成31年4月

模式図(別紙)