例年より早かった春の訪れに、この日を彩る花の種類や色は違いますが、入学生の輝かしい未来に彩りを添えています。本日ここに、令和三年度第三十回入学式を挙行致しましたところ、南丹市教育委員会 教育委員 前田 好久様のご臨席を賜り、入学生に祝福をいただきますことに、高段からではございますが、厚くお礼申し上げます。
今般の状況により、多くのご来賓の皆様にご臨席をいただき祝福していただくことはかないませんが、晴れのこの日をご家族、そして入学を心待ちにしていた２・３年生とともに祝うことができたことをうれしく思います。
さて、二十二名の入学生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんの緊張した中にも、意欲に満ちた表情を見ていますと、学校生活への期待と決意を感じさせてくれます。
中学校は、義務教育締めくくりの三年間です。小学校で培った力や絆を礎として、大人へと成長する場でもあります。三年後には、自らの力と意思で進路を決め、そして実現して、力強く羽ばたいてゆかなけばなりません。この貴重な三年間を充実して過ごし、大きく成長することを強く願っています。
美山中学校では、「人権尊重を基盤として、心豊かで、たくましく生きる生徒の育成を図る」という学校教育目標を掲げ、日々の教育活動を展開しています。そして、皆さんに望む「目指す生徒像」が三つあります。
一つ目は、「人を大切にし、思いやりのある生徒」です。みなさんは、かけがえのない存在として、家族や地域の方に慈しまれて育ちました。命に代えても守りたいと思ってくれる人が何人もいることでしょう。そんな一人一人に寄せられた思いをしっかりと意識して、自分自身をそして周りの人を大切にし、思いやる学校生活を送ってください。そうすれば、学校で悲しい思いをする人は一人もいないはずです。校内はもちろんのこと、コロナ禍でクローズアップされた、差別や偏見をただし、いじめを許さない、そんな強い意志を持った美山中生であってほしいと思います。また、ふるさと美山や美山の子どもたちの応援団であり、共に暮らす地域の皆さんへの思いも大切にしてください。
二つ目は、「主体的に学び、向上心をもって生活する生徒」です。中学校は、教科担任制で、より専門性の高い学習を進めます。これからの学力は、単に記憶力や知識の量が問われる時代から、身につけた力を活用し課題を解決したり表現する力が求められるようになります。それぞれの学習の意義を見いだし、主体的に学習する姿勢をもって、仲間とともにより高いものを練り上げる姿勢を大切にしてください。将来の生き方を見据え、あらゆる学習や活動を自分の力に変えていこうとする貪欲さを持ちましょう。自分で限界を決めず、より高いものを求める生き方を中学校で定着させてください。
三つ目は、「心身ともに健康で、責任を重んじる生徒」です。まずは、生涯を健康に生き抜くために、体力作りに励んでください。そして、それを支える生活習慣や食生活を確立してください。
また、学校での多くの活動は集団で実施し、それぞれの個性や力を発揮しながら、探求したり、技能を高めたり、何かを作り上げたりします。自分の役割を自覚し、責任を持って取り組む姿勢を大切にしていきましょう。そして、ともに達成する喜びを分かち合いましょう。
二・三年生の皆さん、今日から美山中学校の新たな仲間が増えました。中学校に対して明確なイメージが少ない入学生にとって、皆さんの学びに向かう姿勢や学校生活の一挙手一投足が中学生のスタンダードな姿として映ります。どうか、良き見本として入学生を導いてあげてください。
美山中学校は、全校生徒わずか五十五名というこれまでの歴史で最少人数となりました。しかし、少人数だからこそ味わえる一体感やまとまりで、チーム美山としてその力を発揮していきましょう。本年度は、創立三十周年の記念すべき年で、奇しくもこの日本でオリンピックが開催されます。記憶にとどまるこの年に、これまでの先輩が築いてきた歴史に、五十五人で新たな１ページを刻んでください。人数は少なくても、条件に恵まれなくても、思いを持ち、少人数の特色を活かして、チーム美山一丸となって輝いていきましょう。みんなが、応援しています。
後になりましたが、保護者の皆様、本日はお子様のご入学誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。お子様の決意に満ちた姿を見られ、感慨も一入のことと存じます。今日まで慈しみ、大切に育ててこられましたお子様の教育に、私ども教職員一同、微力ながら全力で取り組んでまいります。ともに手を携えて、歩ませていただきます。どうかよろしくお願い致します。
結びに、本日入学致しました二十二名と二・三年生三十三名がともに輝く学校づくりに精励することをお約束し、また、本日ご参列いただきました皆様のご健勝・ご多幸を祈念して、式辞と致します。
令和三年四月十二日
南丹市立美山中学校長
明田忠弘
校長室より
令和２年度
