くみはま探検レポート③ 『鬼滅の刃』で話題の神谷太刀宮神社を紹介!

 身の回りの探究学習の種を紹介する「くみはま探検」、第3回は、いま久美浜町でもっともアツイ!と評判の神谷太刀宮神社について紹介します。

 神谷太刀宮神社は、久美浜一区の氏神であり、由緒ある式内社の神谷神社と、「久美浜」の名前の由来のひとつとされる「国見の剣」にまつわる太刀宮神社、ふたつの神社が合祀された、ちょっと珍しい神社です。久美浜駅から歩いて数分の町中にありますが、その参道が江戸時代から変わらない道筋で残されていることも、現代ではたいへん珍しい神社です。さらに、古代に丹後・丹波・但馬一帯を治めた大豪族・丹波道主命を主祭神とする全国で唯一の神社とみられ、まさに丹後地方土着の歴史と文化を現代に伝える名所、旧跡でもあります。
 「太刀宮(たちのみや)」の略称で親しまれる神谷太刀宮神社の神霊「国見の剣」は奈良時代には久美浜湾に沈んだと伝えられていますが、江戸時代にはこれを惜しんだ峰山藩主の京極氏や、久美浜代官所の代々の代官が数々の刀剣を寄進し、明治大正時代に国指定史跡「函石浜遺跡包含地」から出土した刀剣もこの神社に納められたと伝わり、刀剣に縁ある神社です。さらには、境内にある古代の祭祀の跡と考えられている巨岩「磐座」が、いま空前の大ヒットで話題のアニメ『鬼滅の刃』(原作は吾峠呼世晴氏による漫画)の主人公・炭治郎が刀で岩を斬る場面に登場する岩に似ているとして、地元はもちろん、全国からファンが訪れる観光地として連日おおにぎわい、ネットニュースでもたびたび取り上げられるようになりました。地元では「磐座保存会」が発足するなど、地域の人の大切な聖地を守りつつ、地域活性化につながる観光振興を図っています。

 さて、そんな『鬼滅の刃』ブームで大注目!の神谷太刀宮神社の磐座ですが、地元の高校生達にとっては自然の息吹を間近に感じられる、以前から人気のパワースポットでした。一昨年度の久美浜高校1年生(現3年生)の授業「産業社会と人間」で行われた班別調べ学習では、この磐座と神谷太刀宮神社を中心に久美浜町内の見所を取材し、「まちあるきポスター」を作成した班が発表会で最優秀賞を受賞しました。


 この取組はこの年度からスタートした本校の学習成果発表会「寄せN.A.B.E.」でも学年を代表して発表され、高く評価されました。
 久美浜高校・丹後緑風高校久美浜学舎の最大の学びの祭典「寄せN.A.B.E.」は、今年度も2021年1月20日(水)午後に実施予定で、いま、各学年や教科でたくさんの生徒がここでの発表に向けて頑張っているところです。

(第1回「寄せN.A.B.E.」の様子を伝える『久美高だより平成30年度10号』)

 久美浜一区の高校生には身近な磐座、他地域に住んでいると馴染みがなかったかもしれませんが、今回の『鬼滅の刃』ブームをきっかけに訪れた生徒も多いことでしょう。岩の裂け目だけでなく、磐座、神社や境内に伝わる歴史の息吹にも目を向けてみてください。
 神谷太刀宮神社について調べたことは、オンライン百科事典Wikipediaに項目「神谷太刀宮神社-Wikipedia」を作成しています。スマートフォンでも読むことができるので、これから磐座を見に行くという人は、現地で参考にしてみてください。このWikipedia記事の典拠である図書資料は、すべて丹後緑風高校久美浜学舎の学校図書館にあるので、もっと詳しく知りたい人は、学校図書館にも行ってみましょう。
 ちなみに、『鬼滅の刃』の原作漫画は、今年の7月に発行した久美浜高校及び丹後緑風高校久美浜学舎の「先生のオススメ本」でも紹介されており、この秋冬のブームを受けた教職員有志の厚意により、学校図書館で読むことができます! 気になっているけどよく知らない、という人は、ぜひ読みに来てください。

今回作成したWikipedia記事はこちら「神谷太刀宮神社-Wikipedia(初版)」(*現在の版とは内容が異なる可能性があります。)
参考文献(一部)
・『京都府熊野郡誌(全)』京都府熊野郡役所、1923年
・『京都大事典 府域編』淡交社、1994年
・『京都の社寺建築(与謝・丹後編)』京都府文化財保護基金、1984年
・『久美浜大事典』特定非営利活動法人わくわくする久美浜をつくる会、2015年
読売新聞オンライン2020/12/06配信「まるで「鬼滅」炭治郎が切った岩...「なりきれる」全国からファン 」