令和4年度第76回卒業証書授与式 式辞(抜粋)

(前略)  84名の卒業生の皆さん、卒業おめでとう。改めて中学校での3年間が、あっという間に過ぎたと感じているのではないでしょうか。この場の全ての方がコロナ禍の影響を受け続けた試練の3年間、それは、皆さんの大切な中学校生活と重なることとなりました。まさか卒業の時まで続くことになろうとは、想像もしていませんでした。しかし、そんな中でも大宮中学校の生徒は本当に強かった。先輩は「部活動で目標にしていた大会はなくなったけど、素晴らしい形で3年間を締めくくり、後輩に財産を残そう」と前を向きました。そんな強さを受け継いだ皆さんは、最高学年として「84名一人一人を大切に、全員で高め合う」と、更に伝統を重ねました。進級直後の修学旅行では、不安や課題が錯綜する厳しい情勢の中でしたが、中国・四国方面から無事大宮の地に全員で戻ってきました。最終日、金刀比羅宮の石段785段目を一緒に登り切った時の笑顔は忘れられません。体育祭でも、みんなでグランドに立ち、持ち場で力を発揮しました。合唱祭でも、学年全ての仲間と共に「明日への手紙」を歌いあげ、オンライン配信で聴いた教室の在校生にも「レベルが違う」「歌詞に込められた思いが伝わり涙が出そう」「いつかこんな素敵な3年生になりたい」と、確かな足跡を残しました。

皆さんを育んだ大宮学園の目標は「自他を尊重し自ら学ぶ」、つまり「自分のこと」「自分以外の周りのこと」「自ら学ぶこと」の3つを大切するということです。

1つ目の「自分のこと」を大切にした取組が「がんばリンク」です。毎月「自分の良いところ」を模造紙に貼り続け、卒業の今、3階廊下の「がんばリンク」は84名の「良いところ」で一杯です。

2つ目の「自分以外の周りのこと」も大切にしました。一人一人が夢を語る「夢・未来式」では、仲間の多くが抱える不安など「弱い自分やネガティブな感情」も打ち明けました。真正面から受け止めてくれる温かく安心できる仲間だからできたのでしょう。講師の方が「先生も含めた強い絆に感動した。泣き出しそうになり、準備した原稿も一部しか伝えられなかった」と話されていました。相手の側に立ち、様々な価値観を受け止めたり、受け止めてもらった経験が今後の皆さんを支えると信じています。

3つ目の「自ら学ぶ」ことでは、駅伝部のミーティングでの言葉が印象的でした。「自分で決めた駅伝への参加。とは言え、最初はしんどく嫌だなと思うこともあった。しかし、記録が伸び、速くなったと言われ、必要とされる自分を感じ頑張れた。参加して本当に良かった。」同様に、一人一人が自分を変えたチャレンジ、「自ら学んだ経験」を確認し、無限の可能性を伸ばし続けてください。

皆さんの学年合唱曲「明日への手紙」は、苦しみながら生きる今の自分から、未来の自分へ宛てた手紙です。あるドラマの主人公で田舎から大都会に出た若者が、過酷な境遇でも前向きに生きる姿と重なることから、ドラマの主題歌にもなりました。歌詞の「人は迷いながら揺れながら歩いてゆく」「ふるさとの街は、帰る場所ならここにあると、いつだって変わらずにあなたを待っている」という思いは、皆さんへのメッセージです。

この会場の右手にある生徒会スローガンのとおり、ふるさと大宮中学校で身に着けた「基本」自他を尊重し自ら学ぶことを大切に、「重ねた手」のごとく明日から出会う多くの方と繋がること、また在校生が歴史を繋ぐことと確信しています。  (後略)

令和5年3月14日 京丹後市立大宮中学校長 吉岡 秀一

タイトルとURLをコピーしました