PTA人権講演会第2部「ネット社会における子どもたちへの向き合い方」

 6月17日(火)のPTA人権講演会第2部は、「ネット社会における子どもたちへの向き合い方」と題し、保護者・地域の皆様を対象に開催しました。講師は、第1部に引き続き佛教大学ぶっきょうだいがく教育学部教授の原清治はらきよはる様にお世話になりました。(第1部の様子は、「PTA人権講演会 佛教大学教育学部教授 原清治様に来ていただきました | 福知山市立三和小学校・三和中学校(三和学園)」をご参照ください。)

 第2部の冒頭で、「今日は、私のあいさつに対して、あいさつを返せる子どもたちが多かった。でも、十数年前の三和中学校時代に訪れた時は、もっと大きなあいさつが返ってきた。」と言われました。

 そうなった要因は、コロナ禍におけるコミュニケーション力の低下だと仰いました。常にマスクを着け、できるだけ人と喋らず、食事は向かい合わずに一方向を向いて、密にならないように…などなど。約4年間のコロナ禍で子どもたちは、「縮んでいる」ので、それを一気には戻せない。4・5年かけてゆっくり戻していく必要があるとのことでした。

 人生の最も多感な時期をコロナ禍で過ごしてきたのが今の大学生。いつしかコロナ禍の「非日常」が彼らの「日常」となってしまい、マスクを着け、人とのコミュニケーションの場面を極力なくした生活を「楽だ」と感じるようになってしまったのだということです。

 大学で、原先生が講義のために教室へ行くと、学生はいるのに電気がついていなくて薄暗い。遮光性の高いカーテンが閉じられているので、かなり暗い…。トイレへ行くと、個室がパンパン!「佛大生ぶつだいせいう○こし過ぎ!(笑)」と仰っていましたが、こうした状況は、佛教大学に限らず、京都の他大学でも同様だそうです。電気をつけない、トイレに籠もる理由を原先生が学生に尋ねると、電気が消えているのは「安心できるから」、トイレに籠もるのは「一人になりたいから」だったそうです。なかなかに根が深いです。だからこそ、「4・5年かけてゆっくり戻していく必要がある」ということです。

 しかし、そうも言っていられません。子どもたちは、学生生活を終えると就職が待っています。会社が新入社員に求める第1の力は、「コミュニケーション能力」だという統計があるくらいですから、「うちは、みんなで商品を売る会社です。」という会社に就職を希望しても、かなわないことになります…。そうならないよう、原先生は、「暗い教室は嫌だなあ。」と、押し付けにならないよう笑顔でその気持ちを伝え続けておられるのだそうです。何回かこのやり取りを繰り返していると、教室に電気がつくようになったそうです。

 「言語によるやり取りをしないと、コミュニケーション力は育たない。」「今こそ、学校と地域が力を合わせる時」だと、原先生は仰いました。本学園で目指している「論理的思考力の育成」を推し進めるためにも、児童生徒同士の豊かなコミュニケーションが不可欠だと強く感じたご講演でした。

 PTA教養広報委員長によるごあいさつでは、「分かりやすく、本質を突いたお話をありがとうございました。人とのつながりの中で、楽しい学生生活を子どもたちに送ってほしいと思いました。」と言われていました。正にそのとおりだと思います。

 原清治様、貴重なご講演を拝聴することができました。是非今後の教育活動、PTA活動に生かしていきたいです。ありがとうございました。

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