与謝野町立江陽中学校いじめ防止基本方針
令和2年10月改訂
はじめに
いじめは、いじめを受けた生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全 な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危 険を生じさせるおそれがある重大かつ深刻な人権問題である。
江陽中学校では、生徒一人一人の尊厳と人権が尊重される学校づくりを推進することを目的に、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)第12条の規定、国のいじめ防止等のための基本的な方針(平成29年3月14日改訂)(以下「国の基本方針」という。)、いじめの重大事態の調査に関するガイドライン(平成29年3月文部科学省)(以下「国の基本方針等」という。)、京都府いじめ防止基本方針(平成30年4月改訂)及び与謝野町いじめ防止基本方針に基づき、いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処(以下「いじめの防止等」という。)のための対策を総合的かつ効果的に推進するため、江陽中学校いじめ防止基本方針を策定した。
江陽中学校いじめ防止基本方針は、国の基本方針等及び京都府いじめ防止基本方針、与謝野町いじめ防止基本方針を参酌し、いじめ防止等の対策の基本的な方向を示すとともに、いじめの防止や早期発見、いじめへの対応が迅速かつ適切に行われるよう、学校における基本方針の策定や組織体制の確立、いじめへの組織的な対応、重大事態への対処等に関する具体的な内容や運用を明確にしていくものである。
Ⅰ いじめの定義
「いじめ」とは、「一定の人間関係のあるものから、心理的・物理的な影響のある行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、心身の苦痛を感じているもの」とする。
個々の行為がいじめに当たるか否かの判断を表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行う。
なお、起こった場所は学校の内外を問わない。
また、いじめの認知は、特定の教職員のみによることなく、以下に定義する「いじめ対策委員会」を活用して行う。
なお、けんかやふざけあいであっても、見えないところで被害が発生している場合があることを念頭に、背景にある事情の調査を行い、生徒の感じる被害性に着目し、いじめに該当するか否かを判断するものとする。
Ⅱ いじめの防止等の組織
1 いじめの防止等に関する取組を実効的に行うため、校内に「いじめ対策委員会」を置 く。
2 「いじめ対策委員会」の構成員は次のとおりとし、必要に応じて関係する教職員や専門家等を加える。
校長、教頭、教務主任、生徒支援加配、生徒指導主任、各学年主任、養護教諭
スクールカウンセラー まなび・生活アドバイザー
3 「いじめ対策委員会」は毎月第3水曜日に開催する。なお、緊急に必要があるときはこの限りではない。
4 「いじめ対策委員会」では、次のことを行う。
(1) いじめの未然防止に係る取組の推進
(2) 基本方針に基づく取組の実施、具体的な行動計画の作成、実行、検証、修正
(3) いじめの相談・通報の窓口
(4) 関係機関、専門機関との連携
(5) いじめの疑いや生徒の問題行動などに係る情報の収集と記録、共有
(6) いじめの疑いに係る情報に対して、関係する生徒への事実関係の聴取、指導や支援の体制及び保護者との連携等対応方針の決定
(7) 重大事態が疑われる事態に関する原因や事実関係を明確にするための調査
(8) 当該重大事態を踏まえた同種の事態の発生防止のための取組の推進
(9) 年間計画に基づいた校内研修の企画及び実施
Ⅲ いじめの未然防止
1 基本的な考え方
いじめは、どの生徒にも起こりうるものであるとともに、どの生徒も加害者にも被害者にもなりうるものである。このことを踏まえて、全ての生徒を対象に互いの個性や価値観の違いを認め、自己を尊重し、他者を尊重するなど豊かな感性をはぐくむとともに、いじめを許さない集団づくりのために、全教職員がPTAや地域の関係団体等と一体となって継続的に取組を行う。
2 いじめの未然防止のための取組
(1) わかりやすく規律ある授業の推進
・少人数授業の推進
・言語活動の充実
・生徒指導の三機能を活かした授業
・ベル着の徹底
・教室環境の整備
(2) 自尊感情を高める取組の推進
・一人一人のよさが発揮され、互いを認め合う学級経営の推進
・生徒を認め適切に評価する教職員体制及び生徒集団づくり
・「分かる」「できる」が体感できる授業づくり
(3) 豊かな心をはぐくむ取組の推進
・道徳教育・人権教育の推進
・福祉体験・職場体験・ボランティア活動の推進
・コミュニケーション能力の向上
(4) 規範意識を高める取組の推進
・全学級で非行防止教室の実施(5月)
・全学級で情報モラル教室の実施(6月)
(5) いじめの防止等に係る生徒の主体的な活動の推進
・自主的にいじめの問題について考え、議論する等の活動の推進
(6) 教職員の資質能力の向上を図る取組の推進
・実践的な校内研修の実施(年3回)
・いじめ発見のチェックリストを全教職員で実施(年3回)
・日常的に生徒の変化に気付く感覚を鋭くする。
(7) 特別な支援が必要な生徒に対する配慮
・特性を踏まえた適切な支援
・保護者との連携
・周囲の生徒に対する必要な指導
Ⅳ いじめの早期発見
1 基本的な考え方
いじめは遊びやふざけあいを装ったり、教職員のわかりにくい場所や時間に行われた りするなど、教職員が気付きにくく判断しにくい形で行われることを認識することが必 要である。このことから、生徒が示す変化や危険信号を見逃さないように、日頃から生徒の活動の場には必ず教員がいるようにし、見守りや信頼関係の構築等に努める。
2 いじめの早期発見のための取組
(1) 情報の集約と共有
・いじめに関する情報については、些細なことも含め毎日の下校後の打ち合わせで情報を共有する。
・「いじめ対策委員会」における情報については、全教職員で共有する。
・緊急の場合は、職員会議等で情報を共有する。
(2) 学期毎に全生徒を対象とした質問紙調査及び聞き取り調査の実施
・質問紙調査 :6月、11月、2月
・聞き取り調査:6月、11月、2月
(3) 相談体制の整備と周知
・教育相談週間を設定し、全員との面談を実施する。(4月)
・「心の相談室」を開放し、スクールカウンセラーと情報を共有する。(毎週木曜日)
・校内相談窓口を設置し、生徒及び保護者に周知する。
Ⅴ いじめに対する取組
1 基本的な考え方
いじめの発見・通報を受けた場合は、特定の教職員で抱え込まず、速やかに「いじめ対策委員会」で情報共有し、今後の対応について検討する。その際には、迅速かつ組織的に対応し、被害生徒を守り通すとともに、加害生徒に対しては教育的配慮の下、毅然とした態度で指導する。これらの対応については、教職員全体の共通理解、保護者の協力、関係機関・専門機関と連携に努める。
2 いじめの発見・通報を受けたときの対応
(1) いじめと疑われる行為を発見した場合、その場でその行為を止めさせる。
(2) いじめと疑わしき行為を発見した、あるいは相談や訴えがあった場合には、一人あるいは少数の教職員で対応することなく、速やかに「いじめ対策委員会」で情報を共有する。
(3) 「いじめ対策委員会」を中心に関係生徒や周りの生徒から事情を聞くなどいじめの有無の確認を行うとともに、生徒等から得た情報を適切に記録しておく。事実関係確認後は、「いじめ対策委員会」が対応方針を決定する。なお、事実関係及び対応方針については、加害・被害生徒及びそれぞれの保護者に連絡するとともに、与謝野町教育委員会に報告する。
(4) 被害生徒の支援と見守る体制を整備する。(登下校、休み時間、放課後等)
(5) 加害生徒への指導を行うとともに、保護者に、よりよい成長へ向けて学校の取組方針を伝え、協力を求める。さらに、継続した指導が必要な場合は、関係者によるケース会議を行う。
(6) 生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、直ちに警察 等との連携を図る。
(7) 当事者だけの問題にとどめず、学級や学年の問題として捉えさせ、集団の一員として、互いを尊重し、認め合う人間関係を構築できるような集団づくりを進めていく。
3 インターネットやスマートフォンを利用したいじめへの対応
(1) インターネット上のいじめについての研修(教職員・生徒・保護者等をそれぞれ対象とする。)を実施する。
(2) インターネット上の不適切な書き込みや画像等については、保護者や関係機関と連携の下、証拠保全等必要な措置をとる。
(3) 情報モラル教育を推進する。
4 いじめの解消
いじめが「解消している」状態とは、単に謝罪をもって終わるものではなく、少なくとも次の2つの要件が満たされている必要がある。ただし、これらの要件が満たされている場合であっても、必要に応じ、他の事情も勘案して判断するものとする。
(1) いじめに係る行為が止んでいること
・心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネット上のいじめを含む。)が止んでいる状態が相当の期間継続していること。この相当の期間とは、少なくとも3か月を目安とする。
・いじめの被害の重大性等からさらに長期の期間が必要であると判断される場合は、この目安にかかわらず、「いじめ対策委員会」の判断により、より長期の期間を設定するものとする。
・教職員は、相当の期間が経過するまでは、被害・加害児童生徒の様子を含め状況を注視し、期間が経過した段階で判断を行う。行為が止んでいない場合は、改めて、相当の期間を設定して状況を注視する。
(2) 被害児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと
・いじめに係る行為が止んでいるかどうかを判断する時点において、被害生徒がいじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。被害生徒本人及びその保護者に対し、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認する。
・「いじめ対策委員会」においては、いじめが解消に至るまで被害児童生徒の支援を継続するため、支援内容、情報共有、教職員の役割分担を含む対処プランを作成し、確実に実行する。
5 いじめの検証等
「いじめ対策委員会」を中心に、いじめが起こった原因・背景について調査・検証を行うが、いじめが解消した場合においても検証を行う。いじめが解消したとみられる場合でも、いじめが再発する可能性が十分にあり得ることを踏まえ、次の点に留意し必要な指導を行う。
【留意点】
○学校の教職員は当該いじめの被害児童生徒及び加害児童生徒については、引き続き十分な日常的に注意深く観察を行い、適宜必要な心のケアや指導を継続的に行う。
○発生したいじめの問題事案への対処が、表面的・形式的な取組になっていないか。
○これまでの指導の方針が適切であったのか。
○保護者にその後の様子を伝えるなど、継続的な対応がなされているか。
Ⅵ 重大事態への対処
1 重大事態とは
重大事態とは、次に掲げる場合をいう。
- いじめにより生徒の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき
- いじめにより生徒が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき
なお、生命、心身又は財産に重大な被害が生じた場合とは、生徒が自殺を企図した場合、身体に重大な被害を負った場合、金品等に重大な被害をこうむった場合、精神性の疾患を発症した場合等であり、相当の期間とは年間30日を目安とする。
また、生徒や保護者からいじめられて重大事態に至ったという申立てがあった場合には、重大事態が発生したものとして取り扱う。
2 重大事態が発生した場合は、直ちに与謝野町教育委員会に報告し、調査を実施する主体等を協議する。「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(平成29年3月文部科学省)及び与謝野町におけるいじめ防止等のための基本的な方針に基づき、「いじめ対策委員会」を中心に、被害生徒・保護者の思いを踏まえるとともに、調査の公平性・中立性の確保に努め、事実関係を明確にする。
3 学校で行う調査の状況については、必要に応じていじめを受けた生徒及びその保護者 に対して適切に情報を提供する。また、当該生徒及び保護者への心のケアと落ち着いた学校生活を取り戻すための支援を行うとともに、予断のない一貫した情報発信、個人のプライバシーへの配慮に留意する。
4 調査結果を与謝野町教育委員会に報告する。
5 事案によっては、保護者説明会の開催やマスコミへの対応も考えられる。与謝野町教育委員会に支援を要請し、誠実な対応に努める。
6 調査結果を踏まえ、当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な取組を進 める。
Ⅶ 家庭・地域及び関係機関との連携
1 家庭・地域社会との連携の推進
(1) 保護者とは「いじめは重大な人権侵害である」という共通認識を持ち、PTAとの連携の下、いじめに対する理解を深める取組を推進する。
・研修会の実施
・授業参観日や保護者懇談会等を通しての連携の推進
(2) いじめの防止等に関する学校の基本方針や取組をホームページや学校だより等で積極的に発信する。
(3) 地域の青少年健全育成会、民生児童委員等との連携を推進する。
(4) いじめに係る状況及び対策について学校評議員へ情報共有するとともに、連携・協働による取組を進める。
2 関係機関との連携の推進
警察、児童相談所等の関係機関と適切な連携を図るように努める。
Ⅷ その他
学校は、国の動向等や府の施策を勘案しながら、学校の基本方針が適切に機能しているかどうかを必要に応じて検討し、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。