令和4年度1月 学校長挨拶

人と人とを繋ぐ大切な場所に

私は冬休みに『世界の果ての通学路』(2012年フランス)というドキュメンタリー映画を見る機会がありました。

内容は、毎朝5時半に6歳の妹を連れて、野生動物が群れをなす草原を小走りで走り抜け、約15キロの道のりを2時間かけて登校するケニアの11歳の少年をはじめ、大人の足でも過酷な道のりで危険だらけの通学路を、めげることなく学校に通い続ける世界各地の4人の子どもたちの姿を伝える実話です。

前述の11歳少年は、野生動物の群れの位置を確認し、その日の通学路を決めているらしいのですが、どうして彼らは、そんなに命がけでありながらも学校に通い続けるのか。その理由について、国も、言葉も、生活習慣も違う4人の子どもたちは、それぞれ同じ思いを、胸を張ってカメラの前で語っています。

それは、「夢を叶えたいから」

この子どもたちにとって、学校は純粋に将来の夢を叶えるための場所なのです。映像の中では、朝登校してすぐに互いの無事を確認し、友人と再会の喜びを分かち合うシーンがあり、それを見ると思わず感極まりました。

世界にはまだまだ、子どもが労働の担い手になる地域もあり、毎日学校へ行けるとは限りません。今日一緒に遊んだ友人と、明日もまた会えることが当たり前ではない地域もあります。だからこそ彼らにとっては、学校でともに学ぶ仲間との繋がりがとてつもない財産なのかもしれません。

皆さんも、今回の感染症による様々な行動制限を経験し、又今も続く目を背けたくなるウクライナでの惨状を見て、改めて学校へ行く意義や通うことのできる有難さ、友人との何気ない会話の楽しさを感じたのではないでしょうか。

世の中は一気にオンライン化が進み、便利さは今後も一層進むと予想されます。一方で、登校して直に顔を合わすことの心地よさを実感している人も多いと思います。それは、学校が人と人とを繋ぐ大切な場所であるからに他なりません。

一刻も早く、感染症の流行、さらにはウクライナを始めとする世界中の各地での争いが終焉し、すべての人たちの安全・安心が確保されることを願っています。

後になりましたが、保護者の皆様、本年もどうぞ宜しくお願い致します。3年生の受験期を間近に控え、ウイルスの感染対策等も一層気を引き締めていかねばならない状況ですが、私たち教職員一同も、今までの経験を活かして、気持ち新たに生徒たちの頑張りを全力でサポートして参りたいと考えておりますので、引き続きご理解とご支援を宜しくお願い致します。

                           校 長  世木 佳文

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