令和4年度7月 学校長挨拶

人生の持ち時間をより有効に使えるように

文部科学省が公表した「児童生徒の近視実態調査」によると、裸眼視力「1.0未満」は、小学1年生で約2割、中学3年生では約6割に増加だそうです。しかも約3割は「0.3未満」で、子ども達の視力低下は深刻な社会問題と言われています。

近年のスマートフォンやタブレット、携帯ゲームの長時間使用が視力低下の一因として言われていますが、子どもの生活環境が変わってきた中で視力低下に歯止めをかけるには、姿勢を正して利用時間を減らすぐらいしか有効な方法が伝えられていないのが現状です。

一方で、スマホが奪うものは私達の視力だけではありません。お金で買えない、私達の最も大切な「時間」をも奪われることになります。

本校の調査結果でも、平日のスマホやゲームを「2時間以上」利用している割合はどの学年もなんと約7割で、大きな驚きでした。この数値がどんな意味を持つのか興味深いデータがあるので紹介します。

スマホを「1日2時間、15歳から65歳までの50年間毎日使用」したとして、一生でどれくらいの時間スマホを使うかと計算すると「約4年間」となるそうです。人生80年のうちの4年間です。ちなみに「1日3時間の使用」で計算すると「6年」に増えます。

参考のために、他も同じような方法で算出してみると、睡眠時間は25年(1日7時間30分で算出)、食事は4年(1日3食75分で算出)、トイレは1年(1日20分で算出)、入浴も1年(1日20分で算出)になります。そこに、学校生活の時間(小学校から大学までとして)の4年、仕事時間(9時間労働として)の10年を合計して、その合計を人生80年から差し引きすると、皆が自分で自由に使える時間はたったの約35年しかないそうです。それなのに、そこからさらに4~5年をゲームや動画の閲覧などに費やすのは、何とも残念な気がします。

もちろん、スマホは皆さんにたくさんの情報、安心感、人との絆をもたらすこともありますから、一概に悪いとは言えません。

けれどその一方で、かけがえのない大切な「時間」をスマホに奪われていくということも決して忘れるべきではないと思います。

いよいよ皆さんの楽しみにしている夏休み。今しかできないことがきっとあるはずです。私自身も過去を振り返り、「もっとこんなことをしておけば良かった、気が付けば無駄な時間の使い方をしていた」と後悔することばかりです。どんなに後悔しても、過ぎ去った以前の大切な「時間」を取り戻すことはできません。大切な夏休み、さらには人生の持ち時間をより有効に使えるように、今のあなたの一日のルーティーンを見直してみてはどうでしょうか。

                                  校 長  世木 佳文

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