令和4年度5月 学校長挨拶

今だからこそ、平和について考える

大型連休も終わり、新緑が目に優しく、生き生きと伸びていこうとするエネルギーを感じるいい季節を迎えました。皆さんも、修学旅行や校外学習を終えて、学級や集団としてのまとまりを意識しながら、本格的に学習や部活動、行事の取組・陸上練習等に若いエネルギーを注ぎ込んでいて、見ていて微笑ましく感じています。

さて、3年生の修学旅行は、平和学習を学習内容の大きな柱に据え、長崎方面に行きました。長崎市では、「原爆資料館」や「平和祈念像」並びに周辺の被爆関連史跡などを見学し、原爆の恐ろしさと平和の尊さを学ぶとともに、私たちの未来の平和がどうあるべきなのかについて考えました。

資料館内の追悼平和祈念館においては、被爆者である伊藤武治氏から貴重な写真をもとに原爆の熱線と爆風の凄まじさ、さらには幼少時の生々しい被爆体験を聞かせて頂きました。途中の「どうせなら、たった一杯の水を飲ませてあげれば良かった」と声を詰まらせ、涙される場面では、思わずもらい泣きしそうになりました。

また、話の後半では、現在も続いているロシアのウクライナ侵攻にも触れられ、争いからは何も得られず、幸せになる者は誰一人いないとの悲壮な思いなど、心の内を明かして頂き、様々な思いを抱くこととなりました。

平和祈念像の前では平和セレモニーを行い、3年生が作成した千羽鶴を慰霊碑に掲げ、代表が次のような平和のメッセージを読み上げました。

「・・・過去に世界で何が起こっていたのか、人々は何を思っていたのか。そして、これらの事実が忘れられないように私達が伝えていかなければなりません。同じ過ちを犯さないことが私達の使命です。もう二度と戦争によって尊い命が奪われることのない時代を築くことをここに誓います。」

 連日、ウクライナの悲惨な光景を報道でほとんどリアルタイムに当たり前のように見ていますが、その冷静に見ている自分自身に、感覚が麻痺してきているのではと不安に感じることもあります。(冷静で無意識に見ている自分たちのその感覚にこそ危機感を抱かねばならないのかもしれません。)

国際間の問題ではありますが、結局は人間関係の問題に置き換えても同じで、暴力や威圧・いやがらせで問題が解決するものではなく、やはり解決の糸口は人としての関わりではないかと思います。国際紛争やいじめ・差別を無くすためには、結局は相手を尊重し、互いを理解し合おうとする姿勢や気持ちが必要なのではないでしょうか。

今年度、本校では6月に人権旬間を予定しています。自分たちの未来と平和について、そして自分たちの大切な人権についてしっかりと考え、学習していきたいと思っています。

                                      校長 世木 佳文

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