4年三和創造学習「養蚕農家の工夫を知ろう」

 5月26日(月)に、4年生が養蚕農家の工夫について、吉田地域講師に教えていただきました。昔の農家は、養蚕だけで生計を立てているのではなく、稲作なども行っていました。そこで、稲作の合間を縫って蚕を育てる方法を採りました。

 それは、稲作で言う「二期作」のように、年に2回(あるいはそれ以上)蚕を孵化させるというものです。蚕の成長には、26~28℃が適温なので、本来夏場に孵化します。年に複数回孵化させることができれば、農家は収入を増やすことができます。だから、様々な工夫を重ね、田植え前にも孵化させるようにしました。しかし、田植え前の気温はまだ低いので、農家の床板の下に練炭などを置いて蚕室を温めるという工夫を行っていました。

 更なる工夫は、蚕の世話の迅速化です。昔の養蚕農家1軒には、3万~10万もの蚕を飼っていて、できるだけ効率的に世話をしないとけませんでした。

 ここで、吉田先生が謎の網を出されました。網の目が大・中・小と3種類あり、子どもたちに、蚕の葉を素早く交換するにはどうしたらよいかを考えさせました。子どもたちの頭には「?」が飛んでいました。正解は、こうです。この網を蚕の上に網を置き、更にその上に新鮮な桑の葉を置きます。すると、桑の葉を目指して蚕が網の目をくぐって上がってきます。全部の幼虫が網の上に上がった頃を見計らって網を上げて、食べ残した桑の葉や糞を掃除するという段取りです。ですから、この網のことを「除沙網じょさあみ」と言います。「除沙」とは、「蚕の糞 や食べ残しの桑などを取り除くこと」という意味です。「蚕網かいこあみ」「蚕網さんもう」など、多くの呼び名があります。

 網の上に上がってこられない蚕がいれば、何かしら病気になっている可能性があるので、取り除いていたそうです。病気はすぐに広まるので、養蚕で生計を立てている農家にとっては死活問題です。残酷なようですが、取り除くのは致し方なかったのでしょう。

 さて、除沙網の目は、蚕の成長に合わせてあるので、どの網を選ぶかが重要です。この日吉田先生が連れてこられた蚕は、5齢になったばかりでした。初めに子どもたちが選んだ網は、「中」でしたが、網の目が小く、僅かしか上がってこられませんでした。そこで、「大」の網を使うと、ほとんどの蚕が移動することができ、子どもたちから歓声が上がりました。

 次なる工夫は、繭の毛羽けば取りです。毛羽とは、蚕がまゆを作る時、まぶしという枠に固定させるための足場となる糸です。毛羽がある繭は売れないので、毛羽を取り除く必要があります。子どもたちもやってみましたが、結構時間が掛かることが分かりました。

 毛羽を取る前に、繭を効率的にから出さないといけません。この作業を繭掻まゆかきと言いますが、そこに、便利な道具がありました。大きな櫛状の棒、「繭掻き棒」です。これで繭を押し出します。

 簇を平たく棒状に折り畳んで、押し出した繭をちぎり取っていきます。その繭を毛羽取り機にセットします。毛羽取り機は、文字どおり毛羽を取る機械で、大正時代に使用された箱型のものから、手回し式、足踏み式などに改良されながら、昭和40年頃まで使われたそうです。今回使用したのは、大正~昭和時代の手回し式です。ハンドルを回してゴムベルトを回転させ、ゴムベルトへ毛羽を巻き付かせて繭表面の毛羽を除去します。毛羽の取れた繭は、下方へ落とします。

 素手で行うのと違い、大変効率よく毛羽を取り除くことができました。

 生糸の生産性を高めるために様々な工夫を重ね、養蚕が進化してきたことが、体験を通して学ぶことができました。吉田先生、今回も大変多くの準備をお世話になり、ありがとうございました。

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