明治11年5月26日付け「大坂日報」が伝える盲唖院開業の様子は次のようでした。(要旨)
当日は午前9時に開業式を始める予定であったが、8時頃より雨が降り始め、盲唖生が休憩所より会場まで移動するのは困るだろうと、10時50分頃まで開式が見送られた。しかし、雨は止む様子もなく、参観の府民は増える一方で、また、日本で初めての開院式典を延期することはできない。11時すぎ、やむなく着座が告げられ、生徒、父兄、来賓の神官僧侶、上、下京区総区長、各区戸長が入場し、一同静まり、槙村正直(まきむら まさなお)知事以下来臨し、式は始まった。
まず、盲生徒半井緑(なからい みどり)(10歳)が小学読本巻1を講じ、「私の如き盲人も怠り無く勉強すれば云々」と演説すると、着座している者で涙を流さない者はなく、槙村知事も手拭で顔を拭った。
・・・この開業は実にわが国の美事というべし。
*3000人の府民が駆けつけたといわれています。 |