宮津市智源寺の天井画の修理が始まります。

美術工芸・民俗・無形文化財

宮津市の市街地に所在する智源寺の本堂の天井には江戸時代後期の京都画壇20名の筆になる20面の絵があり、平成15年度に京都府指定文化財に指定されました。

絵は文化8年(1811)頃の制作と考えられており、円山応瑞、土佐光孚、石田友汀、呉春など各派のトップを中心に当時の京都画壇を彩る20人の絵師が四季折々の草花をそれぞれ描いており、当時の画壇の絵師の作品が一堂に会する大変貴重な作品です。

令和5年6月13日の現地取り外し作業の様子

しかし、経年の劣化により本紙そのものが天井から垂れ下がったり、一部が剥がれるなどこれ以上現状のまま保存していくのは困難な状況となっていました。

この度は京都府の補助事業として天井画の完全解体修理を令和5年度から6ヵ年をかけて全20面行うこととなりました。保存修理は下地骨から絵が描かれている本紙を取り外し、そして本紙の裏に貼られている裏打ち紙も丁寧に除去して新しい裏打ち紙に取替え、下地骨も新調を行うことで構造の安定を図ります。また、本紙表面は膠により顔料の剥落止めを行い、より永く現状の画面を安全に保存することを目指します。

取り外された天井画(写真は呉春の作品)

天井画が一面一面丁寧に取り外され、宮津市から京都市にある修理工房へと運ばれました。外された天井画を実際に間近で見てみると本紙が裂けていたり、断片的に浮き上がって今にも剥がれ落ちそうになっておりとても危険な状態であることがわかります。

今後修理工房では本紙の損傷状態を詳細に調査し、細かな修理方針について所有者や府市と協議しながら修理を進めていきます。また折々に修理の経過についてご報告していければと思います。

令和5年6月 美術工芸・民俗・無形文化財係

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