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実践編


2 指導計画・評価計画の作成


家庭科 学習指導案
1 対   象    第5学年2組 男子14名 女子14名 合計28名
2 日   時    ○月○日(○曜日)第○校時
3 場   所   家庭科教室
4 題    材    「おいしいみそしるを作ろう」
5 題材設定の理由
  ご飯とみそ汁は、日本の食生活の典型と考えられる。しかし、昨今の食生活を見ると毎日の食卓に見られないことも多くなった。家庭では、炊飯器の普及により、ガスやなべで米飯を炊くこともなくなり、インスタント食品の普及からご飯やみそ汁の家庭の味という文化も消えつつある。本題材では、みそ汁の作り方が分かり、その栄養的特質について理解し、バランスのとれた献立を作ることにより、日常の食生活の中で実践していこうとする態度を育てることをねらいとしている。本校では、一学期に飯盒炊飯という形で米飯の学習を家庭科でもしてきているため、みそ汁に焦点を当てた指導を展開していきたいと考えた。
6 児童観
・ 事前アンケートの結果より、みそ汁に興味があり作りたいと思っているが、作った経験のない児童が多かった。また、朝食など一日の食事の中でみそ汁を飲む機会や家族が作っているのを手伝ったことがある児童が少ないことが分かった。家庭の状況により食生活には大きな個人差があるので、その点については配慮をしていく必要があることがわかり、理解を深めるために実習をペアで行うこととした。実習を随時取り入れていくことにより、技能を個々のものとすることや思考を深めるための工夫を試みた。
・ インスタントみそ汁を飲むことが多い実態や事前アンケートで「だし」を知っている児童が28人中6人であったことから、「だしの必要性」を重視した授業構成にしてみた。
7 題材の目標
(1) 毎日の食事に使われている食品に関心をもち、調和のよい食事のとり方をしようとしている。 (家庭生活への関心・意欲・態度)
(2) おいしいみそ汁の作り方について考えたり、自分なりに工夫したりする。                  (生活を創意工夫する能力)
(3) 調理に必要な用具や器具を安全に使って、みそ汁を作ることができる。                          (生活の技能)
(4) 食品の体内での主な働きにより、食品をグループに分ける分け方を理解している。       (家庭生活についての知識・理解)
8 題材指導計画 (全9時間)
時間 指導過程と指導内容 学習活動 学習活動における具体の評価規準等
(観点)評価規準
<評価の方法>
十分に満足できると
判断される状況
キーワード
努力を要する状況
への手立て
課題把握

日常の食事への 関心
食生活への関心を
高めます
○日常よく食べている献立について考え、その中に使われている食品名を調べる。
(料理名あてクイズ)
角丸四角形吹き出し: 料理の中に使われている食品を見て、料理名を答えるクイズです。
(関・意・態) 毎日食べている食事や食品に関心をもち、調べようとしている。
<活動の様子>
<ワークシート1>
<自己評価・相互評価カード>
毎日食べている食事や食品に関心をもち、生活での体験をもとに主体的に調べようとしている。 給食の献立表を参考にして個別に問いかけをする。
課題追究
みそ汁への関心
みそ汁づくりの課題
を明確にします



板書1
○みそ汁づくりに関心をもち、みその特徴やみそ汁の作り方を考える。
(ウェッビング法)
<アンケート>
(関・意・態)
みそ汁づくりに関心をもち、みそ汁を様々な視点から分析してまとめようとしている。
<活動の様子>
<ワークシート2>
<自己評価・相互評価カード>
みそ汁づくりに関心をもち、素材や調理法に興味をもって様々な視点から分析し、知っていることをまとめようとする。 毎日の生活で食べているみそ汁について個別に問いかけをする。

おいしいみそ汁を作る方法
比較実習

創意工夫により、
思考力・判断力の
育成と知識の定着
を重視します

板書2
○比較実習をする。 ・だしの旨みの比較 ・みその入れ方と入 れる時期の比較
(ペア実習)

○比較によりおいしさを理解する。
(創意工夫)
だしの必要性を知り、みその入れ方、入れる時期を工夫しながら実験している。
<実習の観察>

(知識・理解)
二つの比較実習から、一方のおいしさが理解できる。
<ワークシート3>
<自己評価・相互評価カード>
だしの必要性を知り、みその入れ方、入れる時期を、なぜそうするのかを課題として捉え実習している。


二つの比較実習から、一方のおいしさが理解できる説明できる
だしをとった後の煮 干しとだしをとる前 の煮干しを試食して比較する。
みそを早く入れたもの、みそを荒く溶いたものを見せたり味わわせたりすることにより実感させる。

比較実習をペアで確認する時間を確保するとともに、個別にも問いかけをする。
みそ汁の作り方
創意工夫により、
思考力・判断力の
育成を重視します。

板書3
○おいしいみそ汁を作るための条件を考える。 (創意工夫)
おいしいみそ汁を作るための要素・手順を考えることができる。
<話し合いの様子>
<ワークシート4>
<自己評価・相互評価カード>
おいしいみそ汁を作るための要素・手順を複数考え、その理由を説明することができる 前時の比較実習を思い出させ、ペアで話し合う時間を確保する中で、他の児童から学ぶ場を設定する。

みそ汁の調理
技能の定着を重視
します。
○みそ汁の作り方の要点を理解して、みそ汁を作る。
(ペア調理)
(創意工夫) みそ汁の作り方を考えたり工夫したりしている。
<活動の様子>
<ワークシート5>
<自己評価・相互評価カード>
(技能)
調理用具や器具を安全に使って、みそ汁を作ることができる。
<活動の様子>
比較実習から、
だしの取り方
材料の切り方
みそを入れる時期や入れ方
 を考えたり工夫している。

調理用具や器具を安全に使って、手際よく自信をもってみそ汁を作ることができる。
手順を確認させながら具体的な助言を与える。
発展・深化
食品の体内での主な働き
知識の定着を重視
します
○食品の栄養的な特徴や体内での主な働きがわかり食品を分類する。
(クイズ)
(知識・理解)
食品の体内での主な働きにより、食品を グループに分ける分け方を理解している。
<話し合いの様子>
<ワークシート6>
<自己評価・相互評価カード>
食品の体内での主な働きにより、日常の食事と関連させ主体的にグループ分けすることができる。 給食の献立表を配布し食品の主な働きにおける食品の仲間分けを参考にする。
食品の組合せ
献立作成に創意工
夫が見られるかを
重視します。
○調和のよい食事となるよう食品数を工夫して献立を立てる。
(献立作り)
(創意工夫)
米飯とみそ汁を中心として1食分の献立を工夫して立てることができる。
<話し合いの様子>
<ワークシート7>
<自己評価・相互評価カード>
米飯とみそ汁を中心として1食分の献立を食品数を意識して立てることができる。 カレーなどの単品料理と一汁三菜の比較を行い食品数の違いを確認する。
(給食の献立表参考)
9 本時の目標
10 本時の展開
指導
過程
指導内容 指導
形態
学習活動 指導上の留意点
☆個への指導
教材教具等 評   価

・本時のねらいの確認。
・本時の目当てを知る。 ・手洗いや爪、身支度の点検をさせる。
☆爪切りをさせる。
エプロン
マスク
三角巾
ふきん
爪切り
おいしいみそ汁を作る方法について考えよう。




・みそ汁に必要な要素について考える。
・みそ汁にはどのようなものが必要か考える。 ・ウェッビング法を参考に、3要素を想起させる。
☆ワークシートに記入させる。
☆ウェッビング法をヒントにさせる。
ワークシート4
・だしの話を聞く。 ・だしの有効性について考えさせる。
☆ワークシートにメモを取りながら聞かせる。
・みその話を聞く。 ・みその特徴を理解させる。
☆ワークシートに感想を記入させる。
・みそを入れるときの工夫について考える。

・実を煮るときの工夫を実習により確かめる。
(実習C)
・安全に気を付けて実習させる。


だし150ml
大根2切れ
豆腐2切れ


なべ お玉
菜箸 
スプーン 
おわん2
コップ2

・違う実を同じ時間煮て、試食する。(実習C) ・豆腐には火が通っているが、大根が硬いままになることを体験する。
・2種類の実を煮るときに工夫することを考える。
☆ワークシートに感想を記入させる。
・実を選んだり、実を煮たりするときの工夫について考える。 ・実の大きさと煮えるまでの時間の相関関係や、温かいまま食べるための工夫について考えさせる。

・実を選択する。 ・実の煮え方の留意点(大きさや煮る順番・実の柔らかさ硬さなど)が分かるような選び方をさせる。
☆選んだ理由をワークシートに書かせる。

・おいしいみそ汁を作るための要素について考える。
・自分の考えを発表する。
・ワークシートにまとめさせる。 ・おいしいみそ汁を作るための手順と要素について考える。
(創意工夫)
<発表>
・学習のまとめをする。
・今日分かったことをワークシートにまとめさせる。 <ワークシート4>評価例
<自己評価・相互評価カード>


・次時の予告をする。
・次時の学習課題を理解する。 ・おいしいみそ汁を作る条件を生かして、調理実習をすることを理解させる。
11 その他






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★ 「ワークシート4」
ワークシートの評価例

  前時の実習の結果より、ほぼ全員の児童がおいしいみそ汁を作るための要素について理解できていました。本時の「実習C」により実を入れる順序について理解した上で、おいしいみそ汁の条件はほぼ全員Bの評価になりましたが、なぜそうするのかという理由について書いている児童のワークシート例を挙げてみます。


Bと判断したワークシート例
評価規準 ・・・・おいしいみそ汁を作るための要素・手順を考えることができる。
固いものを先に入れ、やわらかいものを後に入れる。
・今日分かったことは、かたいものを先ににてやわらかいものを後でにるということ。とうふと大根の実習でよく分かった。


Aと判断したワークシート例
評価規準 ・・・・おいしいみそ汁を作るための要素・手順を複数考え、その理由を説明することができる。
・大根はうすく切ったら、とうふといっしょに入れても大丈夫。
角丸四角形吹き出し: 薄く切ることによって、火の通りが早くなることに気付いている。
・大根のようにかたい野菜は長く煮て、やわらかい材料と煮る時間をかえないと食べたときにかたくておいしくない。
角丸四角形吹き出し: 材料によって、火の通りに違いがあることにことに気付いている。
・みそ汁を作るのに大事な3つがわかりました。かおりの良いみそ汁を作りたいです。それと大根やかたい野菜ははじめに入れておくことが大切
角丸四角形吹き出し: 煮る時間を長くすることによって、火が通りやすいことに気付いている。













3 実践を通して明らかになったこと

(1) 児童の実態把握の必要性
・個々の児童の生活実態を事前アンケート調査で把握する ことにより、課題を明確にした指導を行うことができました。
・家庭での経験の違いが大きく学習を左右するので、ペアでの学習を多くすることにより、お互いに教え合えて良かったです。
(2) 評価を見据えた指導の重要性
・評価の規準を明確かつ具体的にもち授業に臨んだことと、毎時間の評価の観点を絞り込んだことが指導の改善につながりました。(指導と評価の一体化)
・ワークシートを毎時間作り、自己評価欄を設けたことで、 関心・意欲・態度や創意工夫の観点が評価しやすくなりました。
・ワークシートのペアによる相互評価より、友達の良さや自己の課題を明確に見つめることができるようになりました。
(3) 教師の指導観の転換
・児童が創意工夫できるよう教材の流れを工夫することにより、興味・関心が自ずと高まり、その結果、技能や知識・理解も明確になることが分かりました。  
・方法や結果を与えるのではなく、時間はかかっても比較実習を多く取り入れることで児童の思考・判断が深まることを実感しました。
・手法としてクイズ方式やウェッビング法など、新しい手法を取り入れたことで、興味・関心を高めることができると気付きました。




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