■メールマナーについて■
 メールマナーは、公式見解というものを決めにくい分野です。「これだけは絶対」というものがあるとすれば、「アドレスがなければ相手に届かない」という当たり前のことしか残りません。

 メールマナーと呼ばれるものの中には、必ず守ってほしいものから、どちらかと言えばその方が読みやすいというようなものまで異なるレベルのものが混在しています。

 以下のテスト問題は、様々な論者が「そうだ」とか「違う」とか議論している論点を取り上げたものです。したがって、このテストの正解に公式見解としての権威付けがあるわけではありませんが、多くの人が取り上げている問題について、各自が自分の考えを確立していただくことを主なねらいとします。ただし、児童生徒向けに指導されるときは、相手の発達段階に応じて、断定的に教えることも大切です。

- - - - - - - - - - - - - - - 
(講師作成 解答とその趣旨)

1.アドレス、件名、ID、パスワード 

  • メールアドレスは、半角の英字、数字、@(アットマーク)、.(ドット)などで書くので、慣れないうちは日本語漢字変換モードをはずして直接入力する方がよい
       そのとおりです。初心者がメールを発信できない原因で一番よく見かけるのが、メールアドレスを漢字変換モードで書いてしまう場合です。
  • メールアドレスを間違わないことが大切で、特に、Oo0、1lI、カンマとドット、~-_ などの間違いがないかどうか、送信する前にもう一度確認した方がよい。 
  •  
     そのとおりです。アドレスの間違いはよく起こります。慣れてきたら、アドレス帳を利用した方が確実ですが、ここでは基本コースということで、アドレス帳の利用までは考えていません。
     最近では、コンピュータ・ウィルスに最も狙われやすいものがアドレス帳なので、むしろアドレス帳を空にしておく方が、相手に迷惑をかけない方法と言えるかもしれません。
  • 件名(題名、タイトル、Subject)は、本文の用件が分かるものがよい。
  •  
     多数の電子メールを処理するようになると、長い本文を全部読むとは限りません。特に最近では、ダイレクトメールがメール全体の相当な割合を占めるようになっています。
     件名と発信者名を見て読むか読まないかを決める事が多くなりますので、件名は本文の要約である方がよいことになります。
  • 11アドレスが原則で、1つのIDを数人で共用することは避ける方がよい。
    •  
       そのとおりです。
  • 友達のIDやパスワードを勝手に使ってメールを出してはいけない。
  •  
     そのとおりです。
     なお、京都みらいネットでは、ID、パスワードの貸し借り、盗用を明確に禁止しています。
  • パスワードに、生年月日、電話番号、IDと同じもの、文字数の少ないもの、数字ばかりの組合せ、単語として意味のあるようなものなどを使わない方がよい。
  •  
     そのとおりです。これらはパスワード解読ソフトで最初に試されると言われているもの例です。特に、日本語や英語として意味のある単語は、高々数十万のオーダーですので、辞書に載っているような単語は使ってはいけません。
     自分の電子メールは、あまり使っていないし、大した内容のメールも入っていないので、深く考えていないと考えるのは間違いです。例えば、そのパスワードがパソコン画面に貼ってあるなど、粗雑に管理されていると、そのメールIDを使って、京都みらいネットを踏み台にして、違法な内容の大量の広告を発信することもできます。SPAMメールと呼ばれる大量の違法メールは、このように他人のメールIDを使用して送信されることがあります。(自分のIDを使えば、自分が捕まるから。)
     携帯電話の番号に向けて発信されるような、大量の広告は、相手の番号が存在しない場合が多く、非常に多くのメールが宛先不明として返送されます。このときに、発信元のメールサーバが返信メールを処理し切れなくなって、止まってしまうかもしれません。
  • 電子メールの秘密性はハガキ程度で、相手の人以外にも読まれることがあるので、パスワード、クレジットカードの暗証番号などの重要な秘密は、電子メールでは送らない方がよい。
    •  
       そのとおりです。高度な暗号化などを施さない限り、安全とは言えません。
- - - - - - - - - - - - - - - 

2. あいさつ、送信者と受信者 

  • 本文のはじめに相手の名前、自分の名前を書く方がよい。
 そのとおりです。しばしば往復している相手の電子メールアドレスなら覚えていることもありますが、通常はアドレスと名前は結びつきません。誰が誰に出した電子メールであるかを本文の中に書いてもらわないと困ります。
  • 電子メールが届いている以上、自分から相手に送信したものであることは明らかなので、本文の中で、ことさら送信者名・受信者名を書くことは無駄である。
 これは違います。アドレスの記入ミスで届くことはあります。また、(児童生徒に教えてはいけませんが)発信者メールアドレスを偽る場合もあります
  • 相手の電気代、電話代、プロバイダ料金などを考えると、少しでも接続時間が節約できるように、あいさつなどは省略して要点だけを簡潔に書くのがよい。
 相手の電話代などは大切ですが、あいさつを省略してはいけません。
  • 本文のはじめの方に、「こんにちは」「はじめまして」程度の簡単なあいさつを書く方がよい。
 そのとおりです。
  • 見知らない相手に電子メールを出すときは、失礼に当たらないように、時候のあいさつなど差しさわりのない話題から切り出し始め、用件は最後の方に少しだけ書くのがよい。 
 これは違います。電子メールは、便箋に書く手紙とは違って、ビジネス用のFAXに近いものですので、回りくどいことは馴染みなせん。特に、一画面に納まっていないような長い文章を最後まで読むとは限りません。 - - - - - - - - - - - - - - -

3. 読みやすい文を書く(その1) 

  • 結論を先に書き、理由付けを後から書く方が読みやすい。
 そのとおりです。
  • 数学の証明のように、筋道を立てて説明し、最後に結論にたどり着く書き方の方が読みやすい。
 これは違います。全部読まなければ分からないようなメールは、非能率的です。
  • 電子メールを受信するために、相手側には電気代、電話代、プロバイダ料金などが必要なので、相手のためにいくつかの用件をまとめて書く方がよい。
 これは違います。幾つもの用件が一つの電子メールに書かれていると、相手側から見れば、処理済の用件と未処理の用件が混在してしまう元になります。
  • 電子メールでは可能な限り用件は1つだけ書く方がよく、やむを得ず数個の用件を書くときは、何件の内容が含まれているかを明示する方がよい。
 そのとおりです。
  • 電子メールは、印刷すれば証拠として残るのものなので、後日追求されたときのことを考えて、なるべくあいまいな表現を用いる方がよい
 これは違います。電子メールの文章は簡潔明瞭を心がけるべきです。文書にしたくないものは、電話などを使ってください。 - - - - - - - - - - - - - - -     
4. 読みやすい文を書く(その2) 
  • 受け取る側の読みやすさを考えると、1行当たりの文字数を35文字程度として、改行するのがよい。
 そのとおりです。多くの人は、メールソフトの初期設定で全角文字40文字程度で改行する設定を使っています。返信を数回繰り返した時に、 > などの引用符が先頭に追加されても読めるように( >>> などとなります)の文章は全角35文字程度にします。

 なお、この引用符はメールソフトの設定により選択できますが、上記のような不都合を避けるため、標準的なもの(> のマーク)のまま使う方がよいでしょう。

 相手方のメールソフトの設定しだいで不意に改行されてしまうのを避けるためには、これよりも短く改行してしまうことも考えられますが、あまり頻繁に改行すると読みづらくなります。

  • 1つの段落は56行程度が読みやすい。
 そのとおりです。
  • 段落の区切りは、空白行とするのが読みやすい。
 そのとおりです。この結果、大は小を兼ねるので、段落先頭行の字下げはしない方が普通です。

 なお、この字下げが必要であるという主張もあります

  • 1行おきに空白行を入れる方が、ゆったりとして読みやすい。
 これは違います。1行置きに書かれると、間延びして読みにくくなる他、デジタルデータとして利用しにくくなります。すなわち、電子メールの文章は、単に読むだけでなく、ワープロソフト、表計算ソフト、データベースなどに取り込んでデータとして利用できるところがデジタルデータの長所の一つですが、1行置きに書かれると、次の作業に移る場合に、空白行を消す煩わしい作業を強いられます。
  • 電子メールは、文字の色、大きさ、太さなどを自由に指定できるHTML形式で書くと喜ばれる。
 これは現段階では違うということにしておきます。    皆がHTML対応のメールソフトを使っているわけではありません。HTML対応で文章を書かれると、読めないことがあります。また、HTML対応で受ける設定にしておくとメール自身にファイル書き込み機能を付けたウィルスメールに対抗できないことがあります。    しかし、流行は善悪を逆にするのが世の中の常です。世間のほとんどの人がOutlook Express を使うようになって、その初期設定をそのまま使う人がほとんどになってきました。その結果、よく使われるメールソフトの初期設定が世間の常識として一人歩きする可能性がないとはいえません。例えば、返信画面で最初にカーソルがブリンクしている場所が、元の文章よりも上にあるせいか、最近の返信文は元の文よりも上に書かれることが多くなっているようです。
  • 半角カタカナ、マル数字、ローマ数字、特殊文字などの文字は、相手が読めないことがあるので使わない方がよい。
 そのとおりです。携帯電話の絵文字なども、パソコンからは読めません。 - - - - - - - - - - - - - - -

5. 親近感と礼儀

  • 親近感を持ってもらうために、初対面でも口語体で書く方がよい。
 これは違います。携帯メールで仲間内で行うような口調で、初対面の人からメールを受け取ると、不愉快に感じる人が多いと言われています。
  • 相手を示す言葉は、「姓+さん」がよく、「ちゃん」づけではなれなれしく感じる人が多い。
 そのとおりです。業務用は別として、基本は誰に対してでも「さん」です。
  • 全くの初対面の人には、簡単な自己紹介も書く方がよいが、住所、電話番号などの個人情報は不要である。
 そのとおりです。
  • 電子メールでは、意思表示を明確に行うことが大切で、今日中に返事がほしいようなときは、初対面の相手にでもそう言う方がよい。 
 これは違うということにします。というのは、特に初対面では、相手に負担と感じられる要求は避ける方がよいでしょう。例えば、年齢も校種も学力レベルも言わずに、いきなり「数学が全然分かりません。明日試験です。どうしたららよいか今日中に教えてください。」とか「現代の日本の教育についてどう思いますか」といった大きな問題をいきなり投げかけてくるのは、不愉快です。

 また、電話とは異なり、送信したときに受信するわけではありません23日出張していることもあるでしょう。電子メールについては、48時間ルールということが言われることがあります。発信者の心得として、48時間以内に返事がこなければ、相手は呼んでいないか、読める状況にないので、電話など別の手段を考える目安の時間が48時間だということだそうです。

 逆に、多数の人と何回もメールの往復があるときに、いきなり1か月も前のメールについて返事をもらっても、困ります。その返事はないものとして、次の話が始まっていると見るべきです。

- - - - - - - - - - - - - - -

6. 被害者や加害者とならないために 

  • 骨髄提供者急募、○○難民を支援しようといった人道的な呼びかけは、何よりも大切なことなので、自分の知り合い全員に転送すべきである。
 違います。典型的なチェーンメールです。相手の善意によって、広まる例となっています。
  • 「ウィルスが広がっているのでなるべく多くの人に知らせてあげてください」というような情報を受信した場合は、非常事態なので、多くの人に転送するのがエチケットである。
 これは違います。チェーンメールのうち、これらはウィルスデマ(デマメール)と呼ばれるものです。「広めてください」という趣旨が読み取れる限り、事実であると否を問わず基本的に広めてはいけません。    電子メール以外で、FAXによって広まる例として「当たり屋到来の情報」などが指摘されています。
  • 「幸福の手紙」や「不幸の手紙」をはじめたり、友達に転送したりするのは、よくないことである。
 そのとおりです。特に、児童生徒はこのような遊びが好きです。もし、そのような兆候を見かけたら、すぐにやめるよう指導すべきです。
  • 掲示板で知り合って2、3回電子メールを出したことのあるメールフレンドが、「今度そちらに行くので市内を案内してほしい」と言ってきたようなときは、両親や先生に相談する方がよい
 そのとおりです。出会い系サイトの危険性について、電子メールだけでなく携帯メールついても注意が必要です。 - - - - - - - - - - - - - - -

7. 返信、転送 

  • 受信したメールは自分のものだから、他の人に公開しても、法律上・道義上の責任を問われることはない。
 これは違います。受信したメールの著作権は発信者にあります。法律上の責任以前の問題として、個人当ての私信を公開するのは道義的な問題があります。
  • 電子メールの著作権は、送信者にあるので、返信時に引用するときは、一文一句変更しないように気をつけて全文を添付すべきである。
 これは違います。第三者との関係では、著作権は送信者にあると言えますが、当事者間で、不必要に長い引用をすることは無駄です。引用は必要な箇所だけにすべきです。
  • 返信するときは、返信先がメーリングリストのアドレスでないかどうか確かめた方がよい。
 そのとおりです。メーリングリストに返事を出してしまうと、メンバ全員に読まれてしまいます。 - - - - - - - - - - - - - - -

8. けんかを防止するために 

  • 電子メールによる会話は、直接相手の表情を見ながら話すのと違い、言葉だけの会話なので、誤解が生じやすいものと気をつけた方がよい。
 そのとおりです。話し言葉と違って、書かれた言葉は、わずかな表現の違いで相手の激情を燃え上がらせ、喧嘩が起こりやすいものだと言われています。
  • 誤解が生じないように、あいまいな表現を避け、文章の見直しを十分行うことが大切である
 そのとおりです。
  • 電子メールは、受け取る人の気持ちを考えて書くことが大切である。
 そのとおりです。
  • 児童生徒が、もし誤解を招きそうな文章や攻撃的な文章を書いていれば、直させた方がよい。
 そのとおりです。学校で行う限り、教育的指導はすべきです。
  • もし児童生徒が、不愉快な電子メールを受け取ったら、児童生徒自身に抗議させた方がよい。
 これは違います。必要ならば先生が間に入り、場合によっては法律の専門家の意見を求めるなど生徒をトラブルに巻き込まないことを考えるべきです。
  • メールマナーに反した電子メールを受け取ったときは、二度と繰り返さないように相手に厳重に注意した方がよい。
 これは違います。相手は初心者かもしれません。相手にやさしく、自分に厳しく原則に、攻撃的な文章は避けるべきです。
  • 半角カタカナ、マル数字、ローマ数字を使ったメールが来たとき、その不注意を厳しく指摘する方が、相手の将来のためには親切である。
 厳しく指摘すると、喧嘩になることがあります。相手は初心者かもしれません。相手にやさしく、自分に厳しく原則に、攻撃的な文章は避けるべきです。 - - - - - - - - - - - - - - -

9. 添付ファイル

  • 添付ファイルをつけるときは、添付ファイルがある旨を、本文中にはっきりと書く方がよい。
 そのとおりです。送信者の意思と関わりなく、ウィルスが勝手に添付ファイルをつけることがありますので、添付ファイルが何通あるか本文に明記する方がよいと思います。
  • 見知らない人に、いきなり添付ファイルのあるメールを送らない方がよい。
 そのとおりです。知らない人から、いきなり添付ファイルの付いたメールが来るときは、ほとんどがウィルス付着メールです。
  • 親友から発信されたメールでも、本文がなく添付ファイルだけがあるような電子メールは、ウィルスが勝手に発信していることがあるので注意した方がよい。
 そのとおりです。知り合いから来た電子メールだからといって安心してはいけません。知り合いのアドレス帳などにあなたのアドレスが入っていれば、知り合いの意思と関わりなくウィルスがあなた宛に送信されることがあります。
  • 添付ファイルを送るときは、相手のパソコンでその形式のファイルを読めるかどうか確かめた方がよい。
 そのとおりです。相手のパソコンにその形式のファイルを読むソフトが入っていなければ、読めません。
  • 1MB以上あるような大きなサイスのファイルを送るときは、相手の了解を得る方がよい。
 現段階では、1MBが目安のようです。通常、プロバイダ側で、1回当たりの最大のファイルサイズ、合計のファイルサイズについて制限を加えています。    京都みらいネットでは、特に制限を加えていないので、内部では制限なしに送ることができるかのように見えますが、数十MBのファイルを受信して、メールソフトとメールそのものが使えなくなった例があります。 - - - - - - - - - - - - - - -

10. 署名ファイル

  • 本文が突然終わると、送信ミス、受信ミスで途切れたのかどうかよく分からないので、「さよなら」「ではまた」など終わりを表す言葉や署名を付ける方がよい。
 そのとおりです。
  • 署名には、発信者の名前とメールアドレス程度を記入し、私的なメールでは、住所、電話番号などの個人情報は記入しない方がよい。
 そのとおりです。ただし、業務用では、郵便番号、住所、電話番号も書いておかないと、信頼性に欠けることになるでしょう。
  • 署名に書き込むメールアドレスは、そのまま使えるように半角文字で書く方がよい。
 そのとおりです。
  • 署名は、4行程度の簡単なものがよく、顔文字や絵文字を多用した署名は、歓迎されないことがある。
そのとおりです。  
絵文字の例 ∩ 
     ⊂○⊃  ∩ 
      ∪  ⊂○⊃
      l    ∪
     ∞l∞ ∞l∞ 
  • 自分のメールアドレスやホームページアドレスを署名に入れるときは、アドレスの直後は改行するか、半角スペースなどの区切り文字を入れた方がよい。 
 そのとおりです。http://.................. や mailto:............. の直後に文字が続いていると、メールソフトやブラウザがその文字もアドレスとして認識し、存在しないアドレスを表していることがあります。
例:×当センターのホームページはhttp://www1.kyoto-be.ne.jp/ed-center/です。
  ○当センターのホームページはhttp://www1.kyoto-be.ne.jp/ed-center/   です。