■ メールマナーは、公式見解というものを決めにくい分野ですので、問題作成者がどのレベルの議論をしているか、先に論点を読んでから問題に当たる方法も考えられます。また、電子メールをほとんど使用したことがない方も、先に論点を読んでイメージをつかんでから問題に当たる方が効果的だと考えられます。



 <問題> 次の各文のうちで,妥当と思われる主張につけて下さい.(複数解答の問題では完全解答を正解とします.)
1. アドレス,件名,ID,パスワード
(1)メールアドレスは,半角の英字,数字,@(アットマーク),.(ドット)などで書くので,慣れないうちは日本語漢字変換モードをはずして直接入力する方がよい.
(2)メールアドレスを間違わないことが大切で,特に,Oo0,1lI,カンマとドット,~-_ などの間違いがないかどうか,送信する前にもう一度確認した方がよい.
(3)件名(題名,タイトル,Subject)は,本文の用件が分かるものがよい.
(4)1人1アドレスが原則で,1つのIDを数人で共用することは避ける方がよい.
(5)友達のIDやパスワードを勝手に使ってメールを出してはいけない.
(6)パスワードに,生年月日,電話番号,IDと同じもの,文字数の少ないもの,数字ばかりの組合せ,単語として意味のあるようなものなどを使わない方がよい.
(7)電子メールの秘密性はハガキ程度で,相手の人以外にも読まれることがあるので,パスワード,クレジットカードの暗証番号などの重要な秘密は,電子メールでは送らない方がよい.
  
2. あいさつ,送信者と受信者
(1)本文のはじめに相手の名前,自分の名前を書く方がよい.
(2)電子メールが届いている以上,自分から相手に送信したものであることは明らかなので,本文の中で,ことさら送信者名・受信者名を書くことは無駄である.
(3)相手の電気代,電話代,プロバイダ料金などを考えると,少しでも接続時間が節約できるように,あいさつなどは省略して要点だけを簡潔に書くのがよい.
(4)本文のはじめの方に,「こんにちは」「はじめまして」程度の簡単なあいさつを書く方がよい.
(5)見知らない相手に電子メールを出すときは,失礼に当たらないように,時候のあいさつなど差しさわりのない話題から切り出しはじめ,用件は最後のほうに少しだけ書くのがよい.
    
3. 読みやすい文を書く(その1)
(1)結論を先に書き,理由付けを後から書く方が読みやすい.
(2)数学の証明のように,筋道を立てて説明し,最後に結論にたどり着く書き方の方が読みやすい.
(3)電子メールを受信するために,相手側には電気代,電話代,プロバイダ料金などが必要なので,相手のためにいくつかの用件をまとめて書く方がよい.
(4)電子メールでは可能な限り用件は1つだけ書く方がよく,やむを得ず数個の用件を書くときは,何件の内容が含まれているかを明示する方がよい.
(5)電子メールは,印刷すれば証拠として残るのものなので,後日追求されたときのことを考えて,なるべくあいまいな表現を用いる方がよい.
    
4. 読みやすい文を書く(その2)
(1)受け取る側の読みやすさを考えると,1行当たりの文字数を35文字程度として,改行するのがよい.
(2)1つの段落は5〜6行程度が読みやすい.
(3)段落の区切りは,空白行とするのが読みやすい.
(4)1行おきに空白行を入れる方が,ゆったりとして読みやすい.
(5)電子メールは,文字の色,大きさ,太さなどを自由に指定できるHTML形式で書くと喜ばれる.
(6)半角カタカナ,マル数字,ローマ数字,特殊文字などの文字は,相手が読めないことがあるので使わない方がよい.
  
5. 親近感と礼儀
(1)親近感を持ってもらうために,初対面でも口語体で書く方がよい.
(2)相手を示す言葉は、「姓+さん」がよく,「ちゃん」づけではなれなれしく感じる人が多い.
(3)全くの初対面の人には、簡単な自己紹介も書く方がよいが,住所,電話番号などの個人情報は不要である.
(4)電子メールでは,意思表示を明確に行うことが大切で,今日中に返事がほしいようなときは,初対面の相手にでもそう言う方がよい.
  
6. 被害者や加害者とならないために
(1)骨髄提供者急募,○○難民を支援しようといった人道的な呼びかけは,何よりも大切なことなので,自分の知り合い全員に転送すべきである.
(2)「ウィルスが広がっているのでなるべく多くの人に知らせてあげてください」というような情報を受信した場合は,非常事態なので,多くの人に転送するのがエチケットである.
(3)「幸福の手紙」や「不幸の手紙」をはじめたり,友達に転送したりするのは,よくないことである.
(4)掲示板で知り合って2,3回電子メールを出したことのあるメールフレンドが,「今度そちらに行くので市内を案内してほしい」と言ってきたようなときは,両親や先生に相談する方がよい.
 
7. 返信、転送
(1)受信したメールは自分のものだから,他の人に公開しても,法律上・道義上の責任を問われることはない.
(2)電子メールの著作権は,送信者にあるので,返信時に引用するときは,一文一句変更しないように気をつけて全文を添付すべきである.
(3)返信するときは,返信先がメーリングリストのアドレスでないかどうか確かめた方がよい.
    
 
8. けんかを防止するために
(1)電子メールによる会話は,直接相手の表情を見ながら話すのと違い,言葉だけの会話なので,誤解が生じやすいものと気をつけた方がよい.
(2)誤解が生じないように,あいまいな表現を避け,文章の見直しを十分行うことが大切である.
(3)電子メールは,受け取る人の気持ちを考えて書くことが大切である.
(4)児童生徒が,もし誤解を招きそうな文章や攻撃的な文章を書いていれば,直させた方がよい.
(5)もし児童生徒が,不愉快な電子メールを受け取ったら,児童生徒自身に抗議させた方がよい.
(6)メールマナーに反した電子メールを受け取ったときは,二度と繰り返さないように相手に厳重に注意した方がよい.
(7)半角カタカナ,マル数字,ローマ数字を使ったメールが来たとき,その不注意を厳しく指摘する方が,相手の将来のためには親切である.
  
9. 添付ファイル
(1)添付ファイルをつけるときは,本文中にその旨はっきりと書く方がよい.
(2)見知らない人に,いきなり添付ファイルのあるメールを送らない方がよい.
(3)親友から発信されたメールでも,本文がなく添付ファイルだけがあるような電子メールは,ウィルスが勝手に発信していることがあるので注意した方がよい.
(4)添付ファイルを送るときは,相手のパソコンでその形式のファイルを読めるかどうか確かめた方がよい.
(5)1MB以上あるような大きなサイスのファイルを送るときは,相手の了解を得る方がよい.
  
10. 署名ファイル
(1)本文が突然終わると,送信や受信のミスで途切れたのかどうかよく分からないので,「さよなら」「ではまた」など終わりを表す言葉や署名を付ける方がよい.
(2)署名には,発信者の名前とメールアドレス程度を記入し,私的なメールでは,住所,電話番号などの個人情報は記入しない方がよい.
(3)署名に書き込むメールアドレスは,そのまま使えるように半角文字で書く方がよい.
(4)署名は,4行程度の簡単なものがよく,顔文字や絵文字を多用した署名は,歓迎されないことがある.
(5)自分のメールアドレスやホームページアドレスを署名に入れるときは,アドレスの直後は改行するか,半角スペースなど区切り文字を入れた方がよい.
  

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