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U 小学校(国語科)における国語力育成のための実践
1 小学校における国語力育成のための実践 ―「読むこと」―
   学習指導要領では、各領域それぞれの能力が偏りなく養われるように、3領域1事項を関連させて指導することが大切であるとしています。ところが、本府の学力診断テスト結果分析によると、「読むこと」の領域にさまざまな課題がみられ、指導の改善と充実が必要な領域だと言えます。
 また、国語力育成の面からも、文化審議会答申では、「3歳から小学校高学年くらいまでの時期は、国語の基礎となる知識を確実に身に付けさせることが重要で、特に、『読み』の学習を先行させることで、言葉の知識(特に語彙力)を増やすことに重点を置くべきである」と、「読むこと」の指導の重要性をあげています。  
 そこで、ここでは、先にあげた、「読むこと」の指導についての改善のポイントから、指導例を紹介します。
「読む力」を育てるための指導例 「読む力」を育てるための指導

@ 個々の児童が自ら思考し学習することを大切にした指導
 ◇ノート指導を充実する。
 読む力を付けるためには、まず、それぞれの児童生徒が自分なりの考えをもつことが大切です。そのために、読んで思ったことや分かったこと等を、ノートを使って図や表、短い文章等にまとめる学習をします。
 効果的なノート指導につなげる方法として、ワークシートの活用があります。大切にしたい言葉や文、場面等に気付かせながら指導を進める上でワークシートの効果は期待できますが、一律に正しい答えを見付け、書き入れていくことがねらいではありません。叙述に即して読みながら、一人で文章を読み進めていく力を付けるために活用したいものです。そのために、例@のように、発達段階や個に応じ、いくつかのパターンのものを用意したり、徐々に記述する欄を多くしたりして、ノートの活用へとつなげていきます。
 ◇「読むこと」と「書くこと」を関連させる。

A 言葉への気付きを大切にした指導
 ◇文学的な文章における指導を充実する。
  「『ミシンの音が、たえず聞こえていた。』と『ミシンの音が、聞こえてい た。』とでは、様子はどのように違うでしょうか。」、「『ミシンの音が、たえず聞こえていた。』と『ミシンの音が、しばしば聞こえていた。』とでは、受けるイメージはどのように違うでしょうか。」等、表現の効果を理解させるために、着目させたい言葉を取り除いて読み比べたり、他の言葉に置き換えて読み比べたりすることも効果的です。言葉にこだわるあまり、文章が細切れにならないよう、また、詳細な読解の指導に偏らないように、立ち止まらせたい場面や文、言葉等で重点的に指導することが大切です。

B「何が、どのように書いてあるのか」を読み取る指導
  「何が、どのように書いてあるのか」を読み取る力を付けるためには、文章の概要や内容の中心をおおまかにつかみ、それを支える部分を読み取る学習を進めていくことが求められます。
説明的な文章では、時間や場面、原因・理由や結論等が、文章全体を通してどのように展開しているのかなどを考えながら読む指導を進めることが大切です。前から順番に段落を読み取っていく指導だけでは、「何が書かれているか」に偏りがちです。むしろ、「どのように書かれているか」を中心に学習を進めることが大切です。
 例Aのように、まず全体をとらえ、次に原因と結果を結び付け、結果を導くための事例等の示し方から筆者の意図を読み取っていきます。
 文学的な文章の指導においては、クライマックスの場面に着目し、中心部 を読み深めるために、言葉に着目しながら導入部や展開部を読み広げていく指導も展開したいものです。
 
 
 







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