はじめに

 いじめは、いじめを受けた生徒の教育を受ける権利を著しく侵害する人権問題であり、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものである。京都府立北稜高等学校では、生徒一人一人の尊厳と人権が尊重される学校づくりを推進することを目的に、京都府教育委員会の指導の下、いじめ防止対策推進法(平成 25年法律第 71 号。以下「法」という。)第 13 条の規定に基づき、いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処(以下「いじめの防止等」という。)のための対策を総合的かつ効果的に推進するため、京都府立北稜高等学校いじめ防止基本方針(以下「基本方針」という。)を策定する。

第1 いじめの定義

 「いじめ」とは、児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍しているなど当該児童生徒と一定の人的関係にある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものをいう。

第2 いじめ対策会議の設置

 法第 22 条に基づき、本校におけるいじめの防止等に関する取組を実効的に行うため、「いじめ対策会議」を設置し、組織的な対応を行う。

 1 役割

(1)いじめの未然防止のため、いじめが起きにくい・いじめを許さない環境づくりを行う。

(2)いじめの早期発見のため、いじめの相談・通報を受ける窓口となる。また、早期発見・事案対処のため、いじめの疑いに関する情報や生徒の問題行動等に係る情報の収集と記録と共有を行う。高等学校入学以前の人間関係が原因となりいじめを引き起こすことがないよう、関係中学校と必要な連携を行う。

(3)情報があった時には緊急会議を開催し、情報の迅速な共有、および関係生徒に対する聞き取り等により事実関係の把握といじめであるか否かの判断を行う。

(4)いじめの被害生徒に対する支援・加害生徒に対する指導の体制・対応方針の決定と保護者との連携といった対応を組織的に実施する。

(5)基本方針に基づく取組の実施や具体的な年間計画の作成・実行・検証・修正を行い、年間計画に基づきいじめの防止等に係る校内研修を企画し計画的に実施する。また、基本方針が実情に即して適切に機能しているかについての点検を行い、方針の見直しを行う。

 2 情報共有の徹底

 「いじめ対策会議」は、的確にいじめの疑いに関する情報を共有し、共有された情報を基に組織的に対応し、特に、事実関係の把握、いじめであるか否かの判断をする。教職員は些細な兆候や懸念、生徒からの訴えを抱え込まずに、または対応不要であると個人で判断せずに直ちにすべて「いじめ対策会議」に報告・相談し、「いじめ対策会議」はその情報を集約し共有化を図る。

 3 構成

校長、副校長、生徒指導部長、学年部長、保健部長、人権教育係、養護教諭、特別支援教育コーディネーター、関係担任、必要に応じて上記以外の教職員

第3 いじめの未然防止

 1 基本的な考え方

(1)いじめはどの子どもにも起こりうるものであり、どの子どもも被害者にも加害者にもなりうるものである。このことを踏まえ、すべての生徒の尊厳が守られ、「いじめは決して許されない人権侵害である」との認識の下、未然防止のための取組として、生徒が自主的にいじめの問題について考え、議論すること等のいじめ防止に資する活動に取り組ませる。

(2)生徒のコミュニケーション能力を育み、規律正しい態度で授業や行事に主体的に参加・活躍できるような授業づくりや集団づくりを行うとともに、集団の一員としての自覚や自信を身につけさせることにより、互いを認め合える人間関係・学校風土を作る。

(3)教職員の不適切な認識や言動が、生徒を傷つけたり、他の生徒によるいじめを助長したりすることのないよう、指導の在り方に細心の注意を払う。

 2 主な方策

(1)学校の教育活動全体を通じた生徒への指導
・教科・科目、総合的な学習の時間及び人権学習(情報モラル、ネットいじめに係る学習を含む)における人権尊重の意識を高める取組
・ホームルーム活動、生徒会活動、学校行事(儀式的行事、文化的行事、旅行・集団宿泊行事、勤労生産・奉仕的行事)等の特別活動及び部活動における自己存在感を与え、自己有用感や共感的人間関係を育む取組
・生徒指導、進路指導、保健指導等を通したいじめについての理解を深める取組

(2)教職員の資質能力向上
・いじめの防止等に係る校内研修の実施(校内いじめ調査結果の報告と今後の対応について)
・京都府総合教育センターにおける専門研修(人権教育・教育相談・生徒指導・特別支援教育の領域等)の積極的な受講

(3)教職員による点検
・「いじめ発見のチェックリスト」(京都府教育委員会)等を活用して全教職員で実施

(4)生徒自らがいじめの問題について主体的に学び、いじめを防止する取組
・生徒会において校内でのいじめ撲滅や命の大切さを呼びかける活動、いじめ被害者を助けるため、傍観者とならずいじめを止めさせるための行動をとることの重要性を理解させる取組等

(5)保護者、地域との連携
・より多くの大人が子どもの悩みや相談を受け止めるための連携・協働・ホームページ等における基本方針及び取組の積極的発信

第4 いじめの早期発見

 1 基本的な考え方

(1)いじめは、大人が気づきにくく判断しにくい形で行われることが多いことを踏まえ、日頃から生徒と信頼関係の構築等に努め、生徒が示す変化や危険信号を見逃さないよう見守るとともに、得られた情報については共有する。

(2)定期的なアンケート調査や聴き取り調査、教育相談の実施等により、生徒がいじめの相談をしやすい体制を整えていじめの実態把握に努め、いじめが深刻化しないように適切に対処する。

(3)生徒からのいじめの相談に対しては、訴え出た生徒には大きな心理的負担があることを教職員が十分理解したうえで、親身に迅速に対応する。

 2 主な方策

(1)京都府立高等学校いじめ調査
・アンケート調査と個別の聴き取り調査を実施(時期:6月、11月)

(2)校内相談窓口の設置
・いじめ対策会議による生徒・保護者の相談・通報の窓口の設置( 代表 副校長、 連絡先 075-701-2900 )

(3)校内教育相談体制の整備
・スクールカウンセラー(臨床心理士)によるカウンセリングと心のケア

(4)相談機関等の情報提供
・京都府総合教育センター ふれあい・すこやかテレフォン 連絡先:075-612-3268/3301 0773-43-0390
・京都府総合教育センター メール教育相談 URL //www.kyoto-be.ne.jp/ed-center/m/soudan.htm
・ネットいじめ通報サイト
パソコンからは URL //www.kyoto-be.ne.jp/gakkyou/netijime.htm
携帯電話からは URL //www.kyoto-be.ne.jp/gakkyou/knetijime.htm
・京都府警察本部(少年サポートセンター) ヤングテレフォン 連絡先:075-551-7500
・京都府警察本部(少年サポートセンター) メール相談
パソコンからは URL //www.pref.kyoto.jp/fukei/
携帯電話からは URL //www.kyotofukei-syonen.jp/i
・京都いのちの電話:075-864-4343
・子どもの人権 110 番:0120-007-110

(5)学校をまたがるいじめ等についての情報共有
・他校の管理職、生徒指導部長等との連携及び協力

(6)業者委託によるネット監視
・ネット上での中傷表現や個人情報の書き込みへの対応

第5 いじめに対する措置

 1 基本的な考え方

(1)遊びや悪ふざけなど、いじめと疑われる行為を発見した時は、その場でその行為をやめさせる。

(2)いじめを発見又はいじめの通報を受けた場合は、特定の教職員で抱え込まず、速やかにいじめ対策会議で情報を共有し、今後の対応について組織的に検討する。

(3)いじめの事実を確認した場合は、被害生徒を徹底して守り通すとともに、事実関係を保護者に伝え不安の解消に努める。

(4)加害生徒に対しては、当該生徒の人格の成長を旨として、教育的配慮の下、毅然とした態度で指導するが、謝罪の上良好な関係が再び構築できた場合でも、法の定義するいじめに該当するため情報を共有するものとする。

(5)これらの対応については、教職員全員の共通理解、保護者の協力、関係学校・関係機関・専門機関との連携の下で取り組む。

 2 方策

(1)いじめを発見又はいじめの通報を受けたときの対応
・生徒や保護者から「いじめではないか」との相談や訴えがあった場合は、速やかに共感的態度で内容を聴く。
・いじめを発見又はいじめの通報を受けた教職員は一人で抱え込まず、直ちにいじめ対策会議に報告し、情報の共有を図る。
・いじめ対策会議が中心となり、速やかに関係生徒から事情を聴き取るなどして、いじめの事実の有無の確認を行う。事実確認の結果は、被害・加害生徒の保護者に連絡するとともに、京都府教育委員会に報告する。
・生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、直ちに所管警察署に通報し、適切に援助を求める。

(2)いじめられた生徒又は保護者への支援
・いじめられた生徒に寄り添い支える体制をつくる。また、いじめられた生徒が落ち着いて教育を受けられる環境の確保を図る。
・いじめが解決したと思われる場合でも、継続して十分な注意を払い、必要な心のケアなどの支援を行う。
・保護者の不安や怒りについては、誠実に対応し、信頼関係を構築する。

(3)いじめた生徒への指導又は保護者への助言
・いじめは人格を傷つけ、生命、身体又は財産を脅かす行為になるおそれがあることを理解させ、自らの行為の責任を自覚させる。
・学校と保護者が連携して以後の対応を適切に行えるよう、保護者の協力を求める。

(4)いじめが起きた集団への働きかけ
・いじめの被害・加害生徒への指導にとどまらず、いじめが起きた集団・傍観者に対しても自分の問題としてとらえさせ、たとえいじめを止められなくても、誰かに知らせる勇気を持つように指導し、集団の一員として互いを尊重し、認め合う人間関係を構築できるような集団づくりを進める。

(5)いじめの解消
・単に加害生徒の謝罪をもって安易にいじめの解消とはしない。いじめの解消状態とは、被害生徒に対する心理的・物理的な影響を与える行為が少なくとも3か月継続していること、また被害生徒が心身の苦痛を感じていないことをもって判断する。
・いじめが解消している状態に至った場合でも、いじめが再発する可能性を踏まえ、被害生徒及び加害生徒について、日常的に注意深く観察を行い、適宜必要な心のケアや指導を継続的に行う。

(6)インターネットやスマートフォン等を利用したいじめへの対応
・インターネット上のいじめは、相手が直接見えないため軽い気持ちで誹謗・中傷を行ってしまい、一度記録されると情報が短時間に広がり、その消去が困難になってしまうこと、時間や場所に関係なく行われ、被害者が苦しみ続けることなどを教職員は理解することが必要である。また、刑法上の名誉毀損罪や侮辱罪、民事上の損害賠償請求の対象となりうるとともに、重大な人権侵害に当たり、被害者に対して深刻な傷を与えかねない行為であることを生徒に理解させる。
・情報モラルを身に付ける指導を充実させるとともに、PTAとも連携を図り、インターネットなどの利用のルールやマナーについて情報提供や啓発を積極的に進める。
・ネット上の不適切な書き込み等については、被害の拡大を避けるため、直ちにサイト管理者又はプロバイダーに削除依頼をする。また、必要に応じて所管警察署や京都地方法務局に相談する。
・生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、直ちに所管警察署に通報し、適切に援助を求める。

(7)地域との連携
・学校評議員にいじめに関わる情報及び対策についての情報を提供するとともに連携・協同による取組を進める。

第6 重大事態への対処

 重大事態とは、いじめにより生徒の生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあると認める場合、いじめにより生徒が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認める場合をいう。相当の期間とは年間 30 日を目安とする。また、生徒や保護者から重大な被害が生じたという申立てがあった場合も重大事態として扱う。重大事態については、京都府の基本方針及び「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン(平成29年3月文部科学省)」に基づき適切に対応する。

 1 調査主体
 学校が調査を行う場合は、「いじめ対策会議」を母体として速やかに、内容に応じた適切な専門家等を含む組織を設ける。被害生徒・保護者の思いを踏まえるとともに、調査の公平性・中立性の確保に努め、事実関係を明確にする。

 2 情報の提供
 学校で行う調査の状況については、必要に応じていじめを受けた生徒及びその保護者に対して適切に情報を提供する。

 3 調査結果
 調査結果を京都府教育委員会に報告する。

 4 再発防止
 調査結果を踏まえ、当該重大事態と同種の事態の発生防止のために必要な取組を進める。

 
 
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