この現状を打破するために、1時間1時間の「指導法」の研究だけでなく、算数や数学という「教科」を理解する「教科理解」という観点が必要であり、この観点で見ていくと、これまで見えなかったものが見えてくる。 「教科理解」をするために必要なのが、小・中学校の先生がお互いの授業を見合うということ。 さらに、中学校の先生には、小学校の算数以外の教科の授業も見る必要がある。
連携の最大の目的は「15才学力に責任を持つ」ということ。 小学校でしか学習しない内容については、小学校の間に教え切り、「算数」という教科で責任を持つことが大切である。
「教科理解」という観点で考えると、算数と数学にはつながるところとつながらないところがある。この整理はとても重要である。この2つの教科だけでつなぎを考えるとうまくいかない。そもそもこの2つの教科は、科目が違うのである。
これを分かりやすく言うと、小学校の「算数」の学習内容は、中学校になると「数学」はもちろんであるが、「理科」や「社会」や「技術家庭」など他教科に細分化されていく。中学校の「数学」での「数」の扱いは分数が多くなるが、中学校「理科」では、小数を扱うことが多い。 このように小学校の算数の内容は、中学校でのいろいろな教科に分化していくのである。
このように、小学校と中学校の様々な違いを見ていくことが、連携の大きなポイントになるのである。使われている「言葉」や「表現」の違い、小学校で「やっていること」と「やっていないこと」、教科書に「出ていること」と「出ていないこと」これらを捉えるために、それぞれの教科書をじっくり見比べていくことが大切である。