商業と情報の専門学科を設置する京都すばる高校は、規律ある授業と高い目標を持った特別活動を通じて、確かな学力と豊かな心を持った人材を育成します。
文部科学省では、社会の第一線で活躍できる専門的職業人を育成するため、先進的な卓越した取組を行う専門高校を指定して研究開発を行う「スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)」事業を、平成26年度から実施しており、本年度は、全国55校応募のうち10校が指定され、本校がそのうちの1校に指定されました。
本校研究の概要は下記のとおりです。
記
【1 研究指定の期間】 3年間
【2 研究開発の規模】
情報に関する専門学科「情報科学科」において実施する。
【3 研究開発課題名】
幅広い教養と豊かな情操を基盤にして、高い情報技術・倫理観を持ち、サイバー空間を「自由、公正かつ安全」に創出・発展させる人材育成プログラムの研究
~全国初!産官学連携による情報セキュリティ人材育成~
【4 研究のねらい】
近年のサイバー空間を取り巻く環境の急速な変化や深刻化するリスクを受けて、「将来の情報セキュリティ人材」の育成・確保が国にとって急務である。
このような状況のもと、将来、サイバー犯罪捜査官、企業情報管理担当者、ホワイトハッカー等、情報セキュリティ分野で活躍することができる高い情報技術と倫理観を持った人材を発掘・育成する。
【5 研究の概要】
産官学連携によるプログラムを次の目的をもって研究開発する。
(1)高い情報技術・倫理観を持った将来の情報セキュリティ人材の育成
・「情報倫理」「法やルール」に関する授業による倫理観・職業観の育成
・警察学校訪問、最先端技術研究施設訪問、大学訪問による職業観の形成と進路意識の向上
・疑似ネットワーク環境でのサイバーセキュリティトレーニングによる情報技術の習得
・プログラミング能力向上による論理的思考力の育成
・「情報デザイン」履修による創造的表現に対する感性・技術の向上
・情報処理技術者試験の合格や情報技術者に必要とされる知識の習得
(2)課題解決に積極的に取り組み、その成果をもって社会貢献できる人材の育成
・学校設定科目「スーパープロフェッショナル・ラボ」による先端技術とビジネスマインドの習得
・グローバル企業・大学との連携による英語運用能力とコミュニケーション能力の育成
・高校生講師による地域住民対象の講習会等を通した社会貢献力・自己有用感の育成
(3)主体的・自発的に学習に取り組む態度の育成
・e-Learning Systemとe-Learning Management Systemを利用した授業、講習会、スキルアップ塾
・情報処理部の活動の拡張と深化
・各種コンテスト・発表会への積極的参加
・各種資格取得の推進
・情報関連図書のホームルームへの常設
(4)新しい学びや実績の積極的広報及び全国専門学科「情報」設置校への研究成果の普及
・プログラミング競技会及びセキュリティ競技会の全国大会の企画・運営
・自主作成教材の全国への普及
【6 産官学連携先】
京都大学学術情報メディアセンター、立命館大学情報理工学部、京都府警察本部サイバー犯罪対策課、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)、株式会社ラック 等
【平成28年度 本年度の取組み】
4月21日(木)、本校、スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)運営指導アドバイザーである立命館大学の上原哲太郎先生が御来校くださいました。
上原先生は、本校の「産官学連携による情報セキュリティ人材育成」に関するプログラムの運営について総合的に御指導いただく予定です。
5月10日(火)5・6限目、教育旅行で来日された台湾・明徳高級中学校の生徒56名と、情報科学科3年72名が、視聴覚教室で交流しました。
歓迎式を行い、記念品の交換をしたのち、交流授業として、「英語で自己紹介」「英語でインタビュー」を行いました。その後、本校卒業生がプログラム言語(Java言語)で制作したゲーム「重力四目並べ」を用いて交流を深めました。
言葉の壁を感じながらも身振り手振りを交えながら楽しく交流ができました。これを機会にグローバルな視点も持ってほしいと願っています。
今後は、国際交流をスーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)の取組のひとつとして更に充実していく予定です。
スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)の研究指定を受け、教職員の情報セキュリティ意識の向上を目的として、6月29日(水)、本校で研修会が行われました。
講師に京都府警察本部生活安全部 サイバー犯罪対策課 川端秀樹警部補をお招きし、サイバー犯罪の現状や情報セキュリティ対策に関する講義、また生徒への指導方法についてのアドバイスをいただきました。
情報科学科の生徒を対象に、情報モラル、情報セキュリティ意識の向上を目的として7月12日(火)、講演会を開催しました。講師に独立行政法人情報処理推進機構(IPA)主幹 石田淳一先生をお招きし、ケータイ、スマホにまつわるトラブルや、犯罪に巻き込まれないための対策について講演をしていただきました。
SPHに関する取組についてのキックオフミーティングとして、平成28年度第1回運営指導委員会が7月13日(水)に開催されました。
運営指導委員として、独立行政法人情報処理推進機構主幹 石田淳一氏、京都大学教授 岡部寿男氏、立命館大学教授 上原哲太郎氏、株式会社ラック チーフ谷口隼祐氏、京都府警察本部 サイバー犯罪対策課課長 木村公也氏の先生方に指導・助言をいただきながら高度な情報技術・倫理観をもった情報セキュリティ人材の育成に関するプログラムの開発をおこなっていきます。
~青少年いいねット京フォーラムに本校から10名が参加~
8月4日(木)、京都リサーチパークに京都の中高生が集まり、スマホやインターネット使用に関する各種問題を討議する「青少年いいねット京フォーラム」が開催されました。本校からは、情報科学科3年生10名が参加し、他校生とのグループワークでスマホ利用の問題点を話し合い、各々提言を発表しました。最終的に、3つ選ばれた『京都青少年スマホ宣言2016』に、本校3年生松元華乃子さんと光嶋比那さんの作品が入りました。この宣言はポスターになり、京都府内の中学校、高等学校に配布されます。
事前学習と合わせて2日間、他校の中高生、警察、研究者、PTAの方々等、いろいろな立場の方と話し合い、改めてスマホやインターネットに向きあう態度を考えさせられた有意義なフォーラムで、本校生は、積極的に意見を出し、リーダーや司会に立候補するなど、大活躍しました。
9月13日(火)、情報科学科1年生が京都産業大学を訪問し、キャンパスライフを体験しました。午前はコンピュータ理工学部で「感性工学」の講義を受け、人間の感性に適応した新たな商品や情報サービスを考えるグループワークを行いました。午後は大学の学部や入試に関する説明に熱心に耳を傾け、また大学生の方々とキャンパスツアーを通じて交流を深めました。
4月から学んでいる情報分野が、大学で、あるいは社会でどのように応用・発展していくのかを考える良い機会となった1日でした。今日の体験を活かして2年後の進路実現に向かって進んで欲しいと思います。
11月11日(金)、情報科学科2年生は、午前中にけいはんな情報通信フェア・ATRオープンハウス2016、午後に大阪工業大学にカレッジインターンシップに行きました。
けいはんな・ATRでは、研究所や企業の方々から、各ブース毎に最先端の研究成果を見聞きしました。また大学では、研究室見学やJavaで惑星間の動きをシミュレートするなどの模擬授業で、今の学びの一歩先を体験できました。ものごとの仕組みや原理を知ってから、改めて現在の事象やシステムを見つめると、「ほんとうに技術って面白い!」
これからの進路を考えるうえで、貴重な一日になりました。
10月29日(土)、立命館大学びわこ・くさつキャンパスで開催された「サイバー犯罪被害防止ハッカソン事前セミナー」に情報処理部1、2年生21名が参加しました。大学生41名と共同学習をすることで、情報セキュリティ技術、情報モラルに関する視野を広げることができました。また協賛企業の方の講演もあり、職業観についても勉強する機会になりました。
11月1日(火)、情報科学科3年生が、山形県立酒田光陵高校とインターネットを通じて顔合わせ授業をおこないました。
この顔合わせは、12月14日(水)午後、開催される公開イベント「AIプログラミング対決」を前に、両校の交流を図る目的で実施しました。
公開イベント当日は、チームで作成した「トロンゲーム」(陣取りゲーム)のプログラムの強さを競い合うという内容で開催されます。代表の生徒たちは、対決を前に、意気込みを熱く語り合いました。
11月5日(土)、6日(日)石川県産業展示館で開催された『さんフェア石川2016』に情報科学科1、2年生4名が参加しました。
参加の目的は、本校情報科学科の学習内容を広く全国に伝えること、また全国の専門学科の特色ある取り組みを見学し視野を広げることです。そして、今回初めて行われたプログラミングコンテストでは、全国の工業科や商業科等でJavaプログラミングを学習している24チームが成果を競い合い、本校2年生チームが7位、1年生チームが8位に入賞しました。
IPA「ひろげよう情報モラル・セキュリティコンクール」は、小学生、中学生、および高校生(高等専門学校生含む)を対象に、情報モラル・セキュリティを題材とした標語やポスター、4コマ漫画等の作品を募り、優秀作品を表彰するコンクールです。
このコンクールでは、学校単位で情報モラル等への取組みについてのレポートを募る「情報モラル賞」も実施されており、この「情報モラル賞」において、本校情報科学科が応募したところ学校全体としての活動が顕著で他校の模範となることが評価され、今年度から新設された文部科学大臣賞を受賞しました。
本校の文部科学省指定「スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール事業(SPH)」の取組の一環として、日本における最大規模の情報セキュリティ大会である「SECCON 2016」(2015は、世界65ヵ国から3,343人が参加し、世界的に見ても最大規模といえる大会)の一つの大会である「サイバー甲子園」が本校で実施され、3年生情報科学科の2名が1チームを作り出場をしました。問題のレベルも高く、苦戦するのではないかと考えていましたが、10問正解し、総得点1310点、10チーム中7位という結果で大健闘でした。
閉会後、交流会を実施し、主催者の大人や、他の高専生・高校生と交流できたことも生徒達にとっては大きな収穫でした。VRの体験コーナーもあり、最新技術にも触れることもできた交流会でした。
近畿総合通信局が事務局を務める「スマートフォン時代に対応した青少年のインターネット利用に関する連絡会」が主催する動画コンテスト「インターネットの安心・安全に関する動画フェスタin近畿2016」において、本校情報科学科がSPHの取り組みの一環で応募した作品が評価され、団体奨励賞を受賞しました。
12月10日(土)大阪ユビキタス協創広場CANVASで開催された優秀作品発表会において表彰していただきました。
今後も青少年のインターネットリテラシー向上に貢献できるよう取り組んでいきたいと思います。
12月11日(日)、情報科学科1・2年生、過去最多の22名が情報オリンピック予選に挑戦しました。これは6題を制限時間3時間でプログラミングし、正解数を競うというものです。
9月のパソコン甲子園は2人1組でしたが、今度は個人戦です。残念ながらあと一歩でAクラス入りを逃しましたが、参加生徒は、各々手ごたえを感じながら一生懸命取り組んでいました。
~一緒に未来を考えよう!京都すばる高校が提案する、情報モラル・セキュリティ教材~
1月19日(木)午後、情報科学科1~3年生全員が、種智院大学体育館に於いて、小学生向けの情報モラル・セキュリティ教材を考えるというテーマで、ワークショップを行いました。
これは、SPHの取組の一環として行われたもので、京都府警ネット安心アドバイザーの石川先生の御指導の下、進行・発表・グループ助言を3年生主体で行いました。アイスブレークで学年の壁がとれた後、学年・男女混合の30班が、3時間に渡って、熱い議論やプレゼンを行いました。今後はこの案を精選して、実際の教材作成に繋げたいと計画しています。
2月14日(火)1~4限目、情報科学科2年生が校内の情報セキュリティ競技会に臨みました。これは、コンピュータセキュリティ技術を競う大会であるCTF (Capture The Flag) の入門編で、班対抗で問題に隠されたFLAGを探し出すものです。情報セキュリティ企業(株式会社ラック)の技術者の方々を講師に迎えての競技会は熱戦が繰り広げられ、生徒達は、日頃の学習成果を発揮して、真剣に取り組んでいました。終盤の残り5分で順位が入れ替わる白熱の展開で、優勝チームは、京都府警のサーバー対策犯罪課から賞状を頂きました。この取組みの成果を、情報セキュリティ意識や技能の向上につなげていきたいと思います。
平成26年度・27年度
国立教育政策研究所教育課程研究センター
教育課程研究指定校事業
平成26年度・27年度の2年間,研究指定を受けました。
研究成果についての報告を掲載します。
各取組については,本校Webの「最近のトピック」にも掲載しています。
「倫理観あふれる情報のスペシャリスト育成を目指して」
未来の情報のスペシャリストを育てる専門学科として,情報に関する知識や技術を身に付けるとともに倫理感を持って情報産業と社会の発展に寄与できる態度を育成できる教育課程について研究する。
平成26年度
・ 講義「インターネットの光と影」
・ 講演「インターネットは善か悪か?ケータイ・スマホにまつわるトラブル」
・ 「情報モラル・セキュリティコンクール」応募
・ 講演「SEという仕事」
・ 講演・ワークショップ「情報科学科が考えるスマホとの付き合い方」
・ プレゼンテーション実習 テーマ「情報モラル」
・ 講演「LINE講演会 インターネットを使うときに気を付けること,考えること」
・ スマートフォン活用のガイドライン作成
平成27年度
・ CTF(Capture The Flag)セキュリティ競技会
・ 京(みやこ)サイバー犯罪対策シンポジウム(青少年編)参加
・ 情報モラル・セキュリティワークショップ
「今こそ解かりあおう!世代で考える情報モラル」
・ 情報クロスワードパズル作成
・ 講演『情報セキュリティ企業から「情報を学ぶ高校生に教えたいこと」』
・ グループワーキング ちょっと待って!ケータイ&スマホ新聞(文部科学省発行)より
今回の学習指導要領の改訂で,情報社会の諸課題を「倫理観を持って」解決することが示された。必履修科目である「情報産業と社会」を1年次に設置し,情報産業と社会との関わりについて,基礎的な知識と技術を習得させると共に,倫理観あふれる情報のスペシャリストとしての幅広い視野や情報活用能力を養い,情報産業の発展に寄与する人材の育成を目指す。
年間計画の作成にあたり,情報社会で生じる諸課題について進んで取り組み,科学的・論理的に解決できる能力の育成を図るため,講演やワークショップなどを各学期に設定した。 内容については,発達段階を考慮し,効果的な内容を扱うよう努めると共に,地域や産業界との連携を図り,外部人材を積極的に活用した。
(参考冊子「インターネット活用ハンドブック光と影」企画/編集メディア・サポート)
入学当初の意識を確認するとともに情報モラル・情報セキュリティの概要を理解させた。
講師 IPA技術本部セキュリティセンター
普及グループ 研究員 石田 淳一 様
身近な情報機器である携帯電話やスマートフォンについての使用について,留意すべき点や問題点等を学び,情報モラルや情報セキュリティ対策の必要性と重要性を考えさせる機会とした。
1学期のまとめの取組として,第1学年全員が「標語部門」に,各学年希望者が「ポスター部門」・「4コマ漫画部門」・「行動宣言」に応募した。
企業においてSEの経歴を持つ本校教諭による講演を実施した。情報産業における様々な実態を知らせる中で,情報社会に生き,社会的責任を担う職業人としての規範意識や倫理観を醸成し,豊かな人間性の涵養等に配慮した。
講師 京都府警察ネット安心アドバイザー・リーダー
兵庫県立大学ソーシャルメディア研究会・チーフ研究員 石川 千明 様
「スマートフォン,インターネットの危険性を知る」,「ワークショップを通して友達の考え方を知る」,「自分たちの使い方を考える」ことを目的とする。
ワークショップに於いては,1班7~8名のグループに分かれて,現状の課題を洗い出し,今後の対策を考えさせる。KJ法を用いる。各班においてスマートフォン,インターネット利用におけるキャッチコピーを決定し発表する。
情報モラルについてグループで討議し,生徒一人一人が主体的に考えた内容をまとめ発表する。プレゼンテーション技法について学習すると共に,情報モラルに関する意識を深化させることにより,情報活用の実践力を養う。
講師 LINE株式会社 高橋 誠 様
SNSに焦点を絞り,活用における利点と注意すべき点,活用方法等について学習する。
これまでの授業や講演,ワークショップ等の取組のまとめとしてスマートフォン活用のガイドラインを作成する。作成したガイドラインについては,学科から学校全体へ,またPTA等との連携を深め広げていきたい。
運営協力 京都府警サイバー犯罪対策課 株式会社ラック
CTFとはCapture The Flag(旗取り合戦)の略称。ここでいう旗とは「情報」のことで,出題される問題に隠された情報を探し出すハッキングの技術を競うゲーム(競技会)のこと。チームで競技し,各人のセキュリティに関する知識を総動員して,情報セキュリティ分野で技術を競う。
CTFは大きく分類して「jeopardy(ジェパディ)」と呼ばれるさまざまなジャンルの問題を解いていくクイズ形式のものと,「Attack-Defense(攻防戦)」と呼ばれるサーバの脆弱性を狙って情報の争奪戦を行う形式のものがある。今回は,「jeopardy(ジェパディ)」形式のものを実施。
具体的な問題としてはネットワークのパケット解析,SQLインジェクション,ディレクトリトラバーサル等の内容を扱った。
主催 京都府 京都市 京都府警察本部
コーディネーター 兵庫県立大学環境人間学部 竹内和雄准教授
青少年を巡るインターネットの利用に起因する各種問題について,社会全体で取り組む気運を高めるため,中高生が主体となって考えるグループワーキングの実施による情報発信等を目的としたシンポジウム。
事前のアンケート調査結果をもとにグループワーキングを実施,中高生と大人によるパネルディスカッションを経て,今年度の行動宣言を発表した。
京都府立高等学校情報教育研究会・京都すばる高校 コラボ企画
大人(教員)と高校生の相互理解を目的とした。「スマホの良いところ悪いところ」,「ソーシャルゲームの良いところ悪いところ」,「ネット社会になって便利になったこと,困ったこと」,「SNSの光と影」といったテーマを掲げ,高校生が主体となってグループワーキングを行った。世代を超えて情報モラルについて互いの考えを知り理解を深めて,一緒に問題解決を図った。
1グループ3・4人で情報モラル・セキュリティに関する用語を用いたクロスワードパズルを作成した。パズルを相互に解きあう中で,情報モラル・情報セキュリティに関する意識の向上を図った。
トレンドマイクロ株式会社 セキュリティエンジニア
情報セキュリティにおける最前線の状況を学ぶ機会とした。「守る側」としての視点を重視し,技術者倫理の意識向上を図った。
ケータイ&スマホ新聞を題材にグループワーキングを行った。自分たちの身の回りにある問題点について洗い出し,それらをまとめて新たな新聞をつくり発表した。
・情報社会において,適正な行動を行うための基となる考え方と態度の育成に主として取り組むことにより,多くの生徒が情報モラルの重要性について認識できた。
・情報セキュリティの第一線で活躍されている講師のお話を伺うことで,情報社会における最新の状況を知ることができ,情報セキュリティの必要性と重要性を考えさせる機会となった。
・情報技術者の業務内容や期待される役割などについて理解できた。
・外部機関と連携した講演やワークショップの実践により,情報社会の諸課題について倫理観を持って主体的に解決する方法を考え,話し合い,発表する力を身に付けさせることができた。
・将来のスペシャリストとなる自覚を高め,望ましい職業観,規範意識の育成を図れた。
・今回実践した様々な取組を整理し,年間指導計画に位置付け,継続的に取り組んでいく必要がある。
・外部機関との連携を継続するとともにさらに広げ,社会の動向を常に反映した取組が実践できる体制を整える必要がある。
今回の様々な取組を実践する中で,情報モラル・情報セキュリティの意識の向上,倫理観の定着は,継続的な取組の中で図ることができると感じている。生徒が主体となって実践する取組にその効果が大きい。大学や情報セキュリティ関連企業等との連携を図り,将来を担う情報技術者・開発者としての倫理観をより高められる取組を継続し,自らの資質向上はもとより,地域社会への理解と貢献の意識を持ったスペシャリスト育成を目指す。
平成26年度から文部科学省の「中・高校生の社会参画に係る実践力育成のための調査研究」事業を活用し、課題解決型の学習プログラムの研究を進めています。また、27年度から「実社会との接点を重視した課題解決型学習プログラムに係る実践研究」事業を活用し、課題解決に向けた主体的・協働的な学びを推進する取り組みを行っています。
平成26年度の取組を掲載します。
金融経済の学習活動を通じて、社会生活を営む上で必要とされるお金の役割や仕組み・経済活動におけるお金の動き・人生におけるお金とのかかわり・働く目的や生き方を学ぶことで自立した社会人として、積極的に社会参画できる資質と能力を育む学習プログラムを開発する。
・お金の大切さや重要性を理解し、金融経済の機能や知識に明るい人材の育成
・社会経済について深く考える力や課題解決に向けて主体的に行動できる力の育成
・金融経済の動きを探求し、新たな生活・暮らしを提案できる力の育成
取組 | 1年生 | 2年生 (ファイナンスコース) |
3年生 (ファイナンスコース) |
(1)税に関する取組 | |||
(2)仕事調べ学習 | |||
(3)地域金融機関との系統的産学連携授業 | |||
(4)ファイナンシャルプランニング | |||
(5)税理士事務所インターンシップ | (会計科希望者) |
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(6)資格取得の取組 | (希望者) |
国税庁「高校生の税に関する作文」への応募にむけた調べ学習と講義
税金の意義と役割および日本の財政の現状についての講義と税金の公平性を考えるグループワーク
日本の財政を良くする方法を考えるグループワークと解決策の提案
租税教室の事後学習で考えた日本の財政を良くする方法の提案発表
ブラッシュアップのアドバイスをいただいた
税に関わるお仕事について、仕事の内容ややりがい、社会人として必要なことなどをインタビュー形式で学んだ
納税の対象者、方法・しくみ、その背景、創るにあたっての課題、その税金で社会はどう変わるかなどを考えさせ企画書を作成
クラスでの発表を受けて、代表者を選出し、3クラス合同での全体発表会を実施
インターネットを活用し、興味のある仕事の内容、やりがい、必要な資格や道筋などを調べさせる
16分野のうち、興味関心のある2分野を選び、仕事の内容や平均収入などを含め講義を聞くとともに、生徒から働くことの意義ややりがいなどをインタビュー形式で質問をする
調べた内容や講義をまとめクラスで発表
2年生からコース制を導入し、ファイナンスコース(1クラス)を設け、学校設定科目「ファイナンス」(2年3単位、3年3単位、計6単位)で金融経済を学んでいる。その学習プログラムに2年間にわたる地域金融機関との系統的産学連携授業を取り入れ、課題解決の提案とグループワークのプログラムを実施している。
2年生の取組
課題(1)「もう一度行きたくなる金融機関を提案せよ」
お客様の視点で金融機関の課題を考える課題解決案の提案発表
若手職員にインタビュー(グループワーク)
課題(2)「地域金融機関により京都活性化戦略を提案せよ」
経済の動きを身近な話題から考え、経済的な考え方を基本に社会問題を考え、課題解決案をグループで提案発表
職員とのグループワーク
3年生の取組
課題(3)「地域を活性化させる金融商品を提案せよ」
投資家(預金者など)の視点で課題を考える
課題解決案のグループで提案発表
課題(4)「京都を活性化させる起業をせよ」
起業家の視点で地域の課題を考える
課題解決案をグループで提案
「起業に挑戦講座」・・・起業を考えるうえでの、利益計算など採算計画の立て方についてのアドバイスを受ける
(1)仮想家族でのライフプラン授業
グループに分かれ、ライフプランナーの進行で仮想家族のライフプランを設計し、その検証と改善策の発表からライフプランの重要性を学ぶ
(2)ライフプランナーの仕事を学ぶ
仕事上の事例紹介から仕事のやりがい、そして、社会的役割を学ぶ
(3)グループワーク
ライフプランの作り方や、アドバイスの重要性、ライフプランナーへの道筋などをバズセッション形式で進行しまとめる
(1)未来設計図の作成
(2)「10年後の私」発表会
近畿税理士会伏見支部内5事務所へ各2名が2日間勤務
各事務所から実施報告ならびに、参加生徒からの感想や決意発表
1月25日(日)検定試験11名受験
成 果
1年生でのプログラムであり、学習、課題設定、調査研究、提案発表の課題解決型学習の手順を税金という身近な課題をとおして学ばせることができた。
生徒アンケートからは、6割が高い興味関心を示しており、知識理解の点でも大多数が一定の理解があったと評価している。今回の取組でのねらいは、1年生での導入的プログラムとしての位置づけから、税金を通して社会に興味関心を持たせる点であり、8割程度の評価を想定していたため目的を十分に達成できたとは言えない結果となった。
1年生を対象としたプログラムであり、仕事に興味関心を持たせることで、自らの将来の道筋(ライフプラン)を意識させることができた。働くことの大変さに気づき、仕事のやりがいや、その先にある生きがいのお話を聞くことで、3年間の高校生活での学びの重要性を認識させることにつながった。
2年生では、金融・経済の知識取得だけでなく、地元地域金融機関との系統的産学連携授業として地域の課題解決型プログラムに取組、地元「京都」の社会的課題に目を向け、解決策を提案発表することで、社会経済の課題を自らが社会の一員として主体的にとらえる力を養うことができた。
また、グループワークを繰り返すことで、リーダーシップや仕事の役割分担など、生徒たちの中での組織化に取組ことができた。
生徒アンケートからは、8割以上が積極的に課題発見・課題解決に取り組めたと評価している。グループでの提案としたことで、それぞれのグループでの役割分担や、積極的な意見交換をレポートにあげている生徒が多かったことからも、概ね目標を達成できたと考えられる。次に、社会的視野が広がったかの質問に対しても9割近くの生徒が高い評価をしている。これは、連携先である地位金融機関の職員の方とのグループワークの中で、多くの地元京都が抱える課題や活用できる資源についてお話しいただいた結果によるものと考えている。この部分に関しては、想定の評価をこえる結果が達成できたと考えている。
連携に関して、インターンシップを受け入れていただいている地元信用金庫様からの御提案で、地元地域に還元できる課題に取組ことで、生徒たちは、住みながらあまり関心のなかった「京都」を発見できる取組となっている。このことで、本取組の方向性を見つけることができた。
3年生でのプログラムとして、課題解決型の起業を提案せよという題材に取組ことで、ビジネスとしての視点で社会の課題に向き合い、知識の習得や情報の収集だけでなく、自らが行動する立場に立って物事を考える力を養うことにつながった。
生徒アンケートからは、約9割が積極的に課題発見・課題解決に取組めたと評価している。3年生卒業課題としての取組であり、2年間にわたる連携授業の中で学習、課題設定、調査研究、提案発表の課題解決型学習が定着してきた成果でもあると考えられる。しかし、「起業」という課題の観点からいえば、利益計画等の点で不十分な点を多く御指摘いただいた。また、新しい発見という質問には、ほぼ全員が高い評価をしている。これは、金融機関様のアドバイスのおかげであることは言うまでもなく、これまでのプログラムの中で「気付き」というテーマをいただきながら進めてきたことは、今、社会が抱える多くの課題に気付き、自ら行動する立場がとれる力を養うことにつながっていると考える。
2年生3学期でのプログラムとして、ライフプランニング実習は、自分自身の将来像を生活者の視点で考えさせることができたと同時に、ファイナンシャルプランニングをビジネスの視点で捉え、将来の自分の職業像として描くことにつながった。そして、金融や社会保障などを学ぶことを社会を支える人物像につなげることができた。
さらに、自分自身の将来設計を発表することで、コミュニケーション力など社会人基礎力の重要性の認識をさらに深めることができた。
自分たちが学ぶ簿記会計のプロフェッショナルの仕事に接する機会を得ることで、これまでの学びの筋道を再確認するとともに、具体的な目標設定として位置づけることができた。また、直接仕事現場に立ち会うことで、「働く」ことへの社会的利益志向の考えを学び、社会の一員としての意識を持つことにつながった。
3年生でのプログラムとして、これまでの金融・経済の学びの成果の確認と、将来の職業像としてのファイナンシャルプランナーや金融に関わる仕事への直接的な知識習得につなげることができた。
課 題