人文社会フィールドワーク

人文社会フィールドワークについて

 1年次の夏休みに1泊2日で実施する「人文社会フィールドワーク」は、特別講義や体験講座、フィールドワークなどを行って、人文科学・社会科学に関する識見を深める目的で実施しています。



~平成23年度の取組~

 普通科第Ⅱ類人文系・京都こすもす科人文社会・国際文化系統の80名が参加し、7月27日(水)は御室会館(右京区仁和寺境内)で研修を、28日(木)は京都市内で見学等を行いました。


 このフィールドワークの柱の一つは伝統文化です。

 

 今年、初めての取組として、表千家の堀内紀彦宗匠の御指導でお茶席を体験しました。堀内先生からは、お手前や作法の意味、「もてなしの心」など、茶道で大切にされていることを教えていただきました。茶碗には約120年前の樂焼をお持ちくださるなど、生徒たちへのお心遣いに、茶道の真髄の一端を窺う思いがしました。
 この樂茶碗については、2日目に樂美術館(上京区)を見学し、安土桃山時代から現代までの作品を参観しました。授業で「陶芸」を履修している生徒もおり、あれこれの茶碗について感想を言い合ったりしていました。

 

 お茶と同じく室町時代に発展したお香について、京都府教育委員の畑正高先生に御講義をいただくとともに、香老舗・松栄堂の御協力で組香を体験しました。
 畑先生は、『源氏物語』にあらわれる香りの文化や、応仁の乱から京都が復興する中でお茶やお香を皆で楽しむ文化が成立すること、また、五感を働かせることや歴史を学ぶことの重要性を教えてくださいました。
 組香は、今回、「系図香」を行いました。これは4回まわってくる香炉について、4つとも違う香りであれば「初冠(ういこうぶり)」、2番目と4番目が同じであれば「八橋」など、『伊勢物語』にちなんだ名前で解答を記すものです。生徒たちは、香りの微妙な違いの判別に苦心しながら、いにしえの人々の感性を想像していました。

 

 茂山狂言会の茂山茂先生の御指導により、狂言ワークショップを実施しました。狂言の歴史や特徴についてのお話を聞き、「盆山」の実演を鑑賞した上で、皆で発声や所作を稽古しました。「型」にもとづいて表現するという古典芸能の方法論は、生徒たちにとってむしろ新鮮だったようです。


 フィールドワークのもう一つの柱は、法律・裁判です。

 

 京都弁護士会の小町崇幸先生の御講義では、担当された事件を振り返りながら弁護士の仕事を具体的に説明していただきました。「被害者にせよ加害者にせよ、人の心に寄り添い、耳を傾けることが自分に向いていると思った」と弁護士を志望した理由をお話しくださったことは、生徒たちに強い印象を残しました。
 また、2日目には二つに分かれて京都家庭裁判所と京都地方検察庁を見学し、裁判官・調査官や検察官などの方々から、それぞれの業務や、裁判・調停に当たられる際の心情について、直接お話を伺いました。
 検察庁で伺った「被害者に感謝してもらえるとは思っていません。被害者の心の傷は、加害者の起訴や有罪判決で癒されてしまう程度のものではありませんから。私たちは、被害者が気持ちを整理する上で、わずかでも役に立てば嬉しいと思って仕事をしています」という検事のお言葉に、重いものを感じました。