古典の日推進事業

 平成20(2008)年は、『源氏物語』が記録の上で確認できるときからちょうど一千年目に当たることから、「源氏物語千年紀」として種々の記念事業が行われました。その中で、今後、11月1日を「古典の日」とすることが提言され、「私たちは、いま古典を学び、これをしっかりと心に抱き、これを私たちのよりどころとして、世界の人々とさらに深く心を通わせよう」との呼びかけが行われました。
 平成21(2009)年、嵯峨野高校では、高校生として古典を受け継ぎ、更に次の世代へ引き継いでいくため、次の事業に取り組んでいます。
 

(1) 京にまつわる古典文学

伊井先生特別講義

(1) 事業の内容

 京都こすもす科人文社会系統及び普通科第II類人文系人文社会コース 2年生の選択科目「日本文学研究」において、「京にまつわる古典文学」をテーマとして、大学の先生方から古典文学作品についての講義を頂戴し、更に講師の先生と共にフィールドワークを実施する事業です。

(2) 特別講義I 「『枕草子』を読む」 (大阪大学名誉教授 伊井 春樹 先生)

 日本の古典が広く世界に受け入れられ、世界中の多くの人々に影響を与えていることや、「嵯峨野」の地は古典の中では美しい草花で有名であったこと、『枕草子』には我々現代人の想像力をかき立てる素晴らしい文章がたくさんあることなど、伊井先生の穏やかで、流れるような語りによって、華やかな古典の世界に誘われ、たくさんの学術的な内容を学びました。
 また、伊井先生のお話を通して自分の感性を磨き、心を豊かにすることが、日本語を大切にすることにつながるということを学びました。(7月21日)

(3) フィールドワークI <京都御所> (大阪大学名誉教授 伊井 春樹 先生)

 伊井先生に御参加いただき、京都御所のフィールドワークを実施しました。この日は、清所門から宮内庁の職員に誘導されて京都御所の建物や庭園を約1時間にわたって見学しました。
 参加生徒は、様々な様式を取り入れた歴史的建物や、古典の教科書に出てくる清涼殿などを実際に見ることによって、遠い過去から現代につながる歴史の世界に思いを馳せ、古典文学をより身近に感じていました。また見学の途中、わからないことを伊井先生にお尋ねして、京都御所や貴族文化についての理解を深め、我が国の文化を継承していくことの重要性を改めて感じていました。(7月24日)

(4) 特別講義II 「『源氏物語』を読む」 (京都学園大学教授 山本 淳子 先生)

 そもそも「ものがたり」とは何か? 『源氏物語』の「蛍」や「帚木」巻を読みながら、根源には事実があることや、噂話の発生と流布を可能にした当時の空間(寝殿造)、また主人(物語の主人公)と女房(語り手)との暮らしなどを学びました。後半は、『源氏物語』の主な登場人物(女君)について御講義下さいました。
 先生の、魅力あふれる語り口での御講義に、思わず引き込まれ、『源氏物語』の世界の中へと入っていくことができました。(9月3日)

(5) フィールドワークII <大覚寺> (京都学園大学教授 山本 淳子 先生)

 大覚寺は、嵯峨天皇が譲位してから住まわれた離宮を寺としたもので、『源氏物語』にもしばしば登場します。当日は、山本先生から古典文学作品の中に登場する場面を御説明いただき、宮廷の貴族や女房たちの振る舞いを御殿の中で真似てみたり、「名古曽(なこそ)の滝」跡を見学したりと、古典の世界を体感することができました。(9月10日)

(6) 研究発表

 平成21年10月31日(土)、京都会館会議場で行われた「古典の日記念ワークショップ」において、この間の取組について報告すると共に、『源氏物語』の「浮舟」についての研究発表を行いました。
 著名な先生方から御講義を頂き、実際に京都御所や大覚寺を訪れて、紙面でしか知らなかった知識が実感を伴うものとなったこと、京都には古典と出会うことのできる場所がたくさんあり、京都に暮らす我々にとって大変恵まれた環境であること、『源氏物語』の女君「浮舟」に芯の強さを感じたことなどを、それぞれ発表しました。

京都御所フィールドワーク
京都御所フィールドワーク2
山本先生特別講義
大覚寺にて
 

(2) 狂言を通して学ぶ中世文学

稽古・狂言「しびり」

(1) 事業の内容

 京都こすもす科人文社会・国際文化系統 1年生のアカデミックラボ(「京都文化論」、「古典文学・伝統芸能鑑賞」、「歴史」)において、狂言を実地に学び、声に出し体を動かすことを通じて、中世(室町時代)の文学に親しむ事業です。

(2) ワークショップ

 大蔵流狂言師・茂山正邦先生(茂山狂言会)の御指導により、平成21年9月から10月にかけて、6回のワークショップ(稽古)を実施しました。3つのラボに所属する42名の生徒が、狂言、小舞、地謡の3つのパートに分かれ、狂言「しびり」・「柑子(こうじ)」、小舞「土車」を演じました。
 稽古は、コモンホールの椅子を片付けてフロアを雑巾がけすることから始まります。テキスト(台本)は見ずに、先生がおっしゃる台詞や節回しを口写しに学ぶのが慣わしです。現代の日常会話とはまったく違う狂言独特の台詞まわしに苦労しながらも、慣れてくると、「なかなか」などと真似てみたり、楽しむことができるようになりました。
 すり足での動作や、なかなか手に収まらない扇に苦戦した小舞のパートも、熱心な御指導をいただく中で、だんだん上達してゆきました。

(3) 狂言「しびり」

(あらすじ) 堺へ使いにいくよう命じられた太郎冠者は、痺れ(「しびり」)がおこって歩けないと嘘をつきます。仮病を見抜いた主人は、「せっかく伯父から振る舞いによばれたが、病気ならば連れていけない」と言って、太郎冠者をだまします。さて、太郎冠者がとった行動とは・・・。

(4) 狂言「柑子(こうじ)

(あらすじ) 主人から預かった貰いものの三つなりの柑子(みかんの一種)を持って来るように言いつかった太郎冠者。しかし、すでに食べきっているので主人の前に持ち出すことができません。そこでいろいろな言訳をはじめます。一つ目・二つ目の言訳の後、三つ目に、哀れな物語があると言って、俊寛僧都の島流しの話を語りはじめます。三人で流されたのに一人だけ残された俊寛と、三つあったのに一つだけ残った柑子の想いは同じだろうと言って、一旦は主人をしんみりさせますが・・・。

(5) 小舞「土車」

(謡) 一天四海(いってんしかい)波を うち治め給へば 國も動かぬあらかねの 土の車の我等まで 道せばからぬ大君の 御影の國なるをば ひとりせかせたまふか

(6) 舞台発表

 平成21年10月31日(土)、京都会館会議場で行われた「古典の日記念ワークショップ」で成果を発表させていただくことになりました。
 狂言「しびり」と「柑子」では役者各2人が、小舞「土車」では舞い手1人と15人の地謡が舞台に上がり、凛々しい袴姿で堂々と狂言、小舞を演じ(地謡は本校制服)、大きな拍手を頂戴しました。

稽古・小舞「土車」
発表・狂言「しびり」
発表・狂言「柑子」
発表・小舞「土車」
 
直線上に配置
 



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