開学縁起・沿革
〜130年の星霜を超えて〜

初代校長
古河太四郎
   

開学縁起
沿 革
現 校 長
酒 井 弘
開 学 縁 起

  明治のはじめころ、砂糖問屋で上京第十九区長であった熊谷傳兵衛氏は、学校に行けず近所の子どもたちから毎日のようにいじめられている聾児3人を見るにつけ、この子どもたちが学校へ行けるようにと、強い願いをもちました。そのころ、上京第十九番組小学校(後の待賢校)の訓導(教員)古河太四郎氏もまた、熊谷傳兵衛氏と同じように、学校に行けずにいじめられている聾児を見、盲聾教育を決意しました。
同じ考えであった2人は、早速この子どもたちの教育を始めることに努力し、明治7、8年頃、多くの人たちの支えがあって、上京第十九番組小学校の中に教場「□唖教場」が作られました。古河太四郎先生は多くの教具を考案し、今日の口話法や手話、指文字の元になる様々な工夫を重ねました。
  やがて、「公立の盲院と唖院を」という願いが大きくなり、その当時の京都府知事槇村正直氏も大きな理解を示し、明治11年5月24日に日本最初の盲唖院「京都盲唖院」が開業(開校)されました。
  開業式の様子について当時の新聞「大坂日報」は次のような内容を掲載しています。
24日の午前9時に式を行う予定でしたが、午前8時から雨が降り始めました。休憩所から開業式場までは少し遠かったので、盲唖生が式場に行くのが大変だろうと、午前10時50分頃まで式の開始を延ばされました。最早11時を過ぎても、雨はいっこうに降り止む気配はなく、やむなく雨の中を式場に行くことになりました。群衆の中を通行する時は、たくさんの人々が、手を引いたり、傘を差し掛けるなどしてくださいました。着座が告げられ、来賓の神官僧侶、上下京区総区長等入場し、一同静まり、槇村正直知事が来臨し、式は始まりました。 式場は、東洞院通御池上る船屋町の1軒の建物(大丸呉服=大丸百貨店の前身)でした。3千有余の人たちから祝福を受けて開業式がおこなわれました。生徒数は、聾生31名、盲生17名の48名でした。
  式では古河太四郎先生が塗板(黒板)に白墨で
 「動物ノ中何故ニ人ヲ貴シトスルヤ」
と書いて、山川爲次郎(12歳5ヶ月)と山口善四郎(12歳4ヶ月)の2人の生徒に質問しました。山口善四郎は手勢(手話)を使って答えました。
  「人ハ萬物ノ霊トテ體躯ノ結構拐~ノ感覺等他物ニ卓越スルガ故ナリ」
 さらに古河太四郎先生は質問をしました。
  「人間ノ智惠ハ何ニヨリ搨キスルヤ」
今度は山川爲次郎が同じく手勢を使って答えました。
 「必學ナリ」
続いて塗板に「祝」の字を示すと、山口善四郎は字の傍にイハウと書き、イーハーウと発音し、山川爲次郎も同じくイハイと書き、イハイと発音したので、院中の人々は驚き感服しました。
こうして 、古河太四郎先生は本校の前身である「京都盲唖院」の開校に導きました。これはわが国最初の盲聾学校であり、公教育としての障害児教育の始まりであります。
                          (□=ヤマイダレに「音」 いん)

  

沿  革

明治11(1878)年 5月24日中京区船屋町に「日本最初盲唖院」開学。初代院長古河太四郎
明治12(1879)年 9月府庁前に校舎完成(移転)
明治13(1880)年 職業教育開始 聾児は彫鐫、指物、刺繍。明治17年に日本画等を加え11科に拡充
明治14(1881)年 寄宿舎開設 工学場(職業科教室)完成
明治22(1889)年 京都市に移管
明治32(1899)年 校舎全面改築 教育方法としてベル視話法採用

大正10(1921)年 1年生から口話教育を開始 以後口話法に転換
大正14(1925)年 聾唖学校令「京都市立聾唖学校」となる。
大正15(1926)年 保護者有志「京都聾口話幼稚園」を創立(昭和3年「京都聾口話学園」と改称

昭和6(1931)年 京都府へ移管「京都府立聾唖学校」となる。聾口話学園を統合し第二教室とする
昭和7(1932)年 口話法の進展により「唖」をはずし、「京都府立聾学校」となる。
昭和20(1945)年 戦争の激化により校舎の大半を建物疎開で取り壊す。
昭和20(1945)年 10月 学校再開
昭和23(1948)年 新学制により義務化
昭和26(1951)年 現在地に移転 校舎等新築
昭和27(1952)年 舞鶴分校市西公会堂で開校 10月現在地へ移転
昭和28(1953)年 本校、分校とも寄宿舎の建設に着手
昭和34(1959)年 3月体育館竣工
昭和37(1962)年 幼稚部として3年保育、2歳児教育相談を開始
昭和48(1973)年 職業教育棟竣工
昭和53(1978)年 開学 100周年記念式典挙行
昭和56(1981)年 本校校舎全面改築
昭和60(1985)年 本校寄宿舎全面改築
昭和63(1988)年 開学 110周年記念行事実施

平成元(1989)年 本校体育館改築
平成2(1990)年 本校運動場整備完成
平成7(1995)年 「ふれあいの森」竣工
平成10(1998)年 開学120周年行事挙行
平成13(2001)年 校歌制定
平成15(2003)年 開学125周年


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