京都府立大学

 

佐藤雅彦 准教授 研究室

テーマ:生きた細胞のなかを見てみよう!

  生物は細部まで実にうまくできているのですが,相当多くの役者が登場するかなり複雑なシステムで,高校の生命科学Ⅰではさらりとしか紹介しません。細胞生物学の前線ははるか彼方に霞んでいます。ですから,佐藤チームの生徒たちは「自分たちは何をしているのか」理解するのにずいぶん苦労したようでした。「くたくたです」と生徒がこぼすので心配でしたが「でもすごく充実した疲労なんですよね」と彼は続けるのでした。シロイヌナズナの「ある遺伝子」をPCRで増幅した後,GFPを組み込んだプラスミドベクターにつなげ,プラスミドを大腸菌に導入して増やします。単離したプラスミドをパーティクルガンでタマネギの表皮細胞に打ち込むと,発現したタンパク質は細胞内の決まった場所に輸送されて,そこでGFPの蛍光を観察することができます。これで,その遺伝子の細胞内での役割が考察できるという実験です。5日間,目一杯の内容でした。スタッフやTAをはじめ,暖かく迎えてくださった大学院生の皆さんにも感謝の気持ちで一杯です。

大迫敬義 講師 研究室

テーマ:水田雑草の遺伝的変異と除草剤抵抗性

 大迫チームはどういう巡り合わせか,女子のみ3人だったのです。大迫先生によると初日は嵯峨野の水田へ雑草(イヌホタルイ)のサンプリングに出かける,ということだったので,引率教員として実は密かに心配していました。彼女たちはアウトドア派ではどうもなさそうだし、当日はこれ以上無いくらい夏らしい日でしたし、音をあげるかと怖れたのです。しかし採集から帰った一行を出迎えてみると,彼女たちは嬉々とした様子で雑草を選別していました。何やら楽しそうに水田の話をしています。手も忙しく動かして,選別の方法について、大迫先生に真面目な顔で質問を繰り返しています。次の日からは一転ラボワークとなり,マイクロサテライトマーカーによって採集場所による遺伝的変異を検討するとともに,除草剤抵抗性の違いを検定する作業が始まりました。ここでも3人は,変わらず熱心に楽しそうに作業に取り組み,それが天にも通じたか,すべての実験が見事成功しました。大迫先生から「充実した5日間でした」のお言葉をいただきました。

塚本康浩 教授 研究室

テーマ:ダチョウを用いた実践的研究

 それはインフルエンザの流行がもとなので喜ばしいとは言えないのかも知れませんが,ダチョウの卵から生産したインフルエンザ抗体マスクの開発者である塚本先生は現在,時の人となられています。それゆえ塚本研究室を訪問研修先に選択した生徒らは,きっと将来の日本を背負って立つ医学者,生物学者たらんと燃えているに違いありません。「ダチョウを触ってみたいので」「ダチョウ牧場に行くんです」「もちろん抗体の研究にも興味ありますけど」。違う期待に目が輝いていました。研究室で白衣を着るだけが生物学ではありません。生物学者はフィールドを目指す。生物学に他とは違う独特の風味を与え,生物学を生物学たらしめている重要な研究活動。それがフィールドワーク(野外調査)です。1日だけでしたが,ダチョウ牧場で採血など本物のダチョウとの格闘を体験した後は,ラボにこもって抗原抗体反応の実習です。面白かった?と最後に訊くと「ダチョウに乗りました」と返答がありました。得難い5日間であったと思います。

 
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