京都大学化学研究所-2

 

島川祐一 教授 研究室

テーマ:無機機能性材料の合成と評価

 無機機能性材料の1つとして超伝導酸化物を取り上げ、Y123とBi2223の2種類の酸化物を作製して、それぞれが超伝導となることを確認しました。それぞれの合成に必要な原材料を秤量し、これを丁寧にすりつぶしてペレット状に成形したものを仮焼、本焼と行い試料を作製しました。出来上がった試料は、四端子法など用いて電気抵抗がゼロとなることと、磁化率の測定からマイスナー効果を示すことを確認しました。また、液体窒素を用いてマイスナー効果によって磁石の上で超伝導体が浮上することも実際に確認できました。超伝導現象がなぜ起こるのかを理解することは高校生にとってはまだ難しいですが、自らの手で実際に超伝導酸化物を作製して性能を評価したり、超伝導技術がどのような部分で応用できるかなどについて考えてみるなど、研究の一端を知る大変よい機会となったと思います。オリエンテーションでは、研究姿勢や大学生活にも話が及び、生徒からも大学でどのような研究が実際に行われているのかについて体感することができ、とても有意義であったとの感想が多く、進路選択も含めて今後の高校生活の中で今回の経験を活かしてほしいと感じました。

倉田博基 准教授 研究室

テーマ:透過電子顕微鏡で結晶の構造を探求しよう

 研修初日は、倉田先生から実習のガイダンスと結晶構造についての講義がありました。食塩やシリコンなどの単結晶を観察し、繰り返し単位である単位格子について学習しました。次に、光による回折・干渉として「ヤングの二重スリット実験」を取り上げられ、一定波長の光では回折パターン間隔がスリット間隔(原子間隔に相当)に反比例する関係があり、回折パターンの情報から原子配列の情報が得られることがわかりました。電子顕微鏡による回折実験では、光よりも波長の小さい電子を使い、Auの単結晶を基準にペロブスカイト型構造であるSrTiO3単結晶の単位格子の格子定数aの測定を行いました。実測値と理論値は、ほぼ一致したことで電子による回折の原理を効果的に学ぶことが出来ました。最後に、生徒自らSTEM(走査型透過電子顕微鏡)を操作させていただき、SrTiO3単結晶の原子配列を観察しました。得られた回折パターンをフーリエ変換すると実像となり、実像をフーリエ変換すると回折パターンに戻ることを学習し、回折パターンのノイズを除去してフーリエ変換すると実像での原子の位置がシャープになることや、原子像の明るさは原子番号に比例することからSrとTiの違いがわかることなどノウハウを詳細に教えていただきました。原子配列を考える上で欠かすことのできない電子顕微鏡に直接触れる貴重な体験を通して原理を学習することができたと思います。

 
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