4月8日(金)、第75回入学式を講堂にて挙行しました。九条家ゆかりの御門を開放し、御来賓や保護者の皆様に御臨席いただく中、これからの3年間、本校で色々な経験をして成長してくれる入学生が、今日のやわらなか春の日差しの中、笑顔で本校に入学してくれました。

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「校長式辞」を掲載いたします。

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式辞 

やわらかな春の光につつまれ心地よい風がそよぐ今日の良き日に、令和四年度京都府立鴨沂高等学校の入学式を挙行するにあたり

 本校PTA会長 井上 武 様をはじめ多数の御来賓の皆様並びに、保護者の皆様の御臨席を賜り、高壇からではございますが、厚く御礼申し上げます。

 新入生のみなさん、入学おめでとうございます。みなさんの入学を教職員並びに在校生とともに、心から歓迎いたします。みなさんの心は今、高校生活への期待に満ちあふれていることでしょう。一日も早く本校での生活に馴染んでくれることを願っています。

 本校は、明治五年創立の我が国最初の公立女学校である「新英学校及び女工場にょこうば」に始まり、今年度で創立百五十周年を迎えました。本日の入学式と卒業式のみ開門する九条家ゆかりの御門をはじめ、まだ新しい校舎の随所に歴史を残す佇まいが数多く残されています。永い歴史の変遷を経て、京都府立鴨沂高等学校となって以来、本校は教育方針として「世界平和を希求し、すべての人々が幸福になりうる社会を目指して、事実に基づいて真理を追究し、それに従って実践しようと努力する人間をつくる」ことを掲げてきました。2年前から世界は大きな困難に見舞われ、さらに、最近になって世界秩序を根底から覆す出来事も起こっています。今、時を経ても変わらぬ鴨沂の精神、世界の平和と幸福に貢献する人間を育てることは、尊く輝いています。

 崇高な目標がゆえ、3年間で達成できるだろうかとの思いもよぎりますが、ひるまず、諦めず、あのイチロー選手の言葉「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道」であることを胸に、鴨沂での学びを通して一歩一歩歩み、心にこの目標の礎を築くことを目指していきましょう。そのために、入学生のみなさんに2つ心がけてほしいことを伝えます。

 1つ目は「夢を育てる」ことです。

 人は、知っていることの中からしかやりたいことは生まれてきません。高校で、これまで知らなかった色んなことに興味・関心を持って主体的に学び、見通しを持って、様々なことにチャレンジしてください。成功しても失敗しても、振り返ることが深い学びにつながります。多くの学びから広い視野を持ち、そこから一生を託せる夢を見つけてください。そして、その夢を実現しようとするとき、現実の世界との接点あるいはギャップが生まれます。そこには、事実に基づき真理を追究する姿勢が求められます。「夢を育てる」とは、夢の実現に向けて実践していこうと努力することです。

 2つ目は「向上心」を持つことです。

 鴨沂高校では、この2年間の困難の中、「今、できることは何か」を考え実践してきました。今日から、みなさんも鴨沂高校生として、先輩や先生方とともに「今、できることは何か」を考え、学習、部活動、学校行事、そして学校を離れても、今より少しずつ「より良く」していこうと思う心「向上心」を持ってください。自他をリスペクトし、みんなとともに「より良く」していくことが、「より良く」生きること、【well-being】すなわち「幸福」に生きることにつながります。みなさんとその周りの人々が「幸福」になることを目指し、今より少しずつ「より良く」していきましょう。

 この2つを心がけ、一日一日を大切にしてください。充実した日々を過ごし、「鴨沂で良かった」と思える素晴らしい高校生活にしていきましょう。みなさんが鴨沂高校の新たな歴史を築いてくれることを期待しています。

 後になりますが、保護者の皆様におかれましては、今日の喜びの日を迎え、新しい制服を身にまとったお子様の姿を見て、感慨もひとしおのことと拝察申し上げます。お子様の、本校ご入学を心からお祝い申し上げます。教職員一同、お子様が安心してのびやかに、しなやかに、たくましく成長できる教育環境を整え、皆様の期待に応えるべく、最大限の努力をしてまいりますので、御理解と御協力を賜りたいと存じます。

 結びにあたり、本日御臨席を賜りました御来賓の皆様、並びに保護者の皆様には重ねて御礼申し上げます。予測困難な現代において、一人一人が未来の創り手となる子供たちのため、学校は、これまで以上に社会と連携・協働する必要があります。本日、御列席の皆様に、本校教育の充実・発展のため、今後とも変わらぬお力添えを賜りますようお願いを申し上げ、式辞といたします。

おっきー短足(HP用).jpg                         令和4年4月8日

                          京都府立鴨沂高等学校

                          校長 松井 佳代美 式辞