2016年12月20日
 

12月7日の午後から7名の生徒たちが京都大学大学院理学研究科の自然人類学研究室で人類学の実習を受講しました。

お世話になった自然人類学研究室は,霊長類や人類の進化の歴史,適応,多様性,変異などを明らかにすることをテーマに,化石類人猿・人類発掘調査のプロジェクトなどの様々な研究を進めています。

研究室のウェブサイトはこちら(http://anthro.zool.kyoto-u.ac.jp/index.html)です。

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実習の内容は東北地方の遺跡から出土した縄文人の頭蓋骨を修復する作業を体験するものでした。事前にCT(コンピュータ断層)装置により得られた三次元データをもとに,コンピュータ上でヴァーチャルな修復に取り組みました。その様子は,精密な3Dの立体ジクソーパズルを組み立てるようなもので,受講した生徒たちは根気よく集中して取り組みました。

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骨の形態観察,解剖学書を用いた各骨の同定など,各チーム内で役割分担をしながら作業を進めました。コンピュータ上での作業のほか,実際の縄文人骨や頭蓋骨模型を手に取り観察し,ヒトの頭蓋骨の構造を学習しました。また,研究で使用するCT装置や3Dプリンター,研究室に保管されている化石人類の模型なども見せていただきました。

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当日たいへんお世話になった森本直記先生には,スイスでの留学経験やアフリカやジョージア(グルジア)での化石発掘などのフィールドワークのお話なども交えながら研究内容を高校生にも分かりやすく紹介していただき,マンツーマンの丁寧なご指導をいただきました。

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生徒たちからは「話がとても分かりやすかった」,「パワーポイントの映像がおもしろかった」,「講義でノートを取る授業よりもずっとおもしろかった」,「時間が経つのを忘れるぐらい集中した,もっとやりたかった」,「人類学に今後また何らかの形で関わってみたいと思った」という感想が寄せられました。

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また,古人骨の修復体験の他にも,「清野コレクション」と呼ばれる大正期に収集された日本屈指の古人骨標本などを保管する収蔵庫を見学させていただき,大学博物館の意義についても理解を深めました。

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本校は文部科学省からSGH(スーパーグローバルハイスクール)アソシエイト校の指定を受けていますが,グローバル化の進む現代において,人類の進化の歴史や現代人の遺伝的多様性,あるいは人種や民族といった概念を高校生の段階から学ぶことは国際感覚を養う点において非常に意義深いと考えています。とりわけ文理融合型の学際領域である人類学の分野でその最先端の研究手法に触れることは,科学的な人間観(先入観や偏見,非人道的な差別観にとらわれないでヒトを自然界の一員として,他の動物と比較しながら客観的に位置付けられるようになる力)を養う機会になり得ると思われます。

なお、昨年度の本校での人類学教育の様子はこちら「かがくの扉~人類学・骨学実習~」(http://www.kyoto-be.ne.jp/nannyou-hs/mt/school_life/2015/12/post-154.html)です。

理科を勉強する楽しさは,実験や観察の時間に体験できるものなのかもしれません。若年層の理科離れが指摘されて久しいですが,難関大学の受験にチャレンジする本校の生徒たちには受験のための知識の詰め込みに追われずに,自然界の不思議さに「なぜだろう」と素直に疑問を感じる余裕を持ったり,先入観や偏見にとらわれないで科学的なものの見方や考え方ができるようになったりしていただきたいものです。