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 2015年12月15日
 

生物の授業で人類学・骨学実習を企画・実施しました。生物実験室には人類の進化の過程が視覚的に分かりやすく理解できるように,大型類人猿(オランウータン・ゴリラ・チンパンジー)や化石人類の頭骨模型が並べられました。

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地歴科の教科書には,いまだにヒトが猿人→原人→旧人→新人と直線的に進化したように記述されているものもありますが,実際にはヒトの進化の過程はもっと複雑だったことが最近の生物の教科書には記されています。

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教育プログラムは,まずパワーポイントのスライドでヒトの700万年の進化史と霊長目の分類の説明がありました。環境を改変する動物としてのヒトも気温や紫外線などの影響を受け,生活環境にからだの構造や機能を適応させていることを実感できるような内容でした。さらに,遺跡から出土する縄文・弥生時代の古人骨の模型から性別や年齢,病歴,殺傷痕,生業形態などを推定する方法が説明され,断片的な骨から様々な情報を読み取ることができることを学習しました。

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その後,それぞれの生徒たちは各自で化石人類の頭骨や現代人の全身骨格模型に直接触れて観察し,スケッチを描きました。

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また,骨の関節面,筋肉の付着部,神経・血管の通る孔の様子を実際に確認しました。さらに,解剖学的構造(脳容積・眼窩上隆起・大後頭孔・矢上隆起・頬骨弓・オトガイ・歯列など)の違いに注目し,人類が進化の過程でどういう形質を変化させてきたのかを考察しました。

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教材はすべて模型でしたが,進化の具体的な証拠となる標本の大切さを実感してもらえたようです。また,自分自身の頭の長さ・幅・高さを計測し,脳容積を推定する実習も行いました。



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人類学を初等中等教育課程において学ぶことの意義は,科学的な人間観(例えば,ヒトという生き物を自然界の一員として,先入観や偏見にとらわれないで他の動物と比較しながら客観的に位置づけられるようになること)を養うことに留まらず,現代のグローバルな課題を解決するための基礎的素養を養ったり,非人道的差別や偏見を持たない国際感覚や人権意識を学ぶきっかけをつくったりすることができる点にあると言われています。

受講した生徒たちのレポートには様々なコメントが寄せられました。

「いろいろな骨を比較するのが楽しかった」

「人間の骨の仕組みは複雑で不思議だと思った」

「ヒトの頭蓋骨を見て自分のもあんなのかなあと思うと感慨深かった」

「生命の不思議さに感動した」

「貴重な体験となった」

「人類学の知識や発見はこれからの医療に役立つと思った」

「ルーツを知ることでこれからの私たちの生活に生かすことができる」

「日本史の授業で役立つ知識だった」

今回の教育プログラムは化石や骨の観察,脳容積推定などの実習を通した人類進化の学習でしたが,とても有意義な体験となったようでした。