9月11日(月)7限,12日(火)4限,13日(水)4限に植物の組織培養の実習をしました。
対象は自然科学科3年生の生物選択生です。講師は京都教育大学名誉教授の 梁川 正 先生です。
植物の組織培養とは試験管やフラスコの中で植物組織を培養することを言います。これをおこなうには面倒な滅菌や無菌操作の高価な機器が必要です。しかし、梁川先生の開発された簡易組織培養では、市販の塩素系漂白剤をごくわずか培地に加えることで、そのような機器なしで、しかも市販の袋で培養することができます。また、面倒な培地に加える栄養素も市販の植物肥料を使用することで簡便にすませることができます。
今回はその方法を教えていただきました。培養するのは、シンビジウムとセイロンベンケイソウです。
1時間目は組織培養の意義(ウィルスに汚染されていない植物をつくることができる、また、ランのように胚乳のない種子をまいて育てるのに有効)と方法を講義していただきました。
2時間目は培地の作成(寒天とスクロースとハイポネックスとキッチンハイターを混ぜてつくります)をしました。それをスライドジッパー付きの保存袋にいれました。
3時間目はシンビジウムのPLBとセイロンベンケイソウの葉の組織を培地に植え付けました。
これから生徒達は受験勉強のかたわらで、自宅に植え付けた植物を置いて毎日観察することになります。卒業式のころには植物体に成長していることでしょう。
平成29年度SSH生徒研究発表会で、本校グローバルサイエンス部の発表「ポリオールの不思議―なぜ凍らないのか!? なぜ凍るのか!―」がポスター賞を受賞しました。
不凍液(凍結防止剤)として有名なグリセリン等のアルコールの結晶性について実験的かつ計算化学的に検証した研究です。グリセリンは、様々な製品に添加されており中学校の教科書にも登場するとても身近な物質ですが、普通に冷却しても凍らないという不思議な性質を持っています。しかし、なぜこのような不思議な性質を持つ(示す)のか、はっきりしておりません。そこで、この謎の解明に挑みました。
この研究は基礎研究であり、何かの役に立つわけでも社会的に意義が高いわけでもありません。純粋に、グリセリン等のアルコールが示す不思議な現象の解明を目指したものです。勿論、「何の役にたつの?」と問われれば答えられますが、それら役に立つことを目指していません。
本校グローバルサイエンス部は、サイエンスをエンジョイしています!
第41回全国高等学校総合文化祭(みやぎ総文2017)自然科学部門化学部門で、本校グローバルサイエンス部の発表「液体が結晶化する不思議にせまる」が最優秀賞を受賞しました。
ヘキシトールと呼ばれるアルコールの結晶性について実験的に検証した研究です。これだけを聞くと、単なるマニアックな研究のように聞こえるかもしれません。しかしこの研究の究極の目的は「液体は、どのように固体になるのか」という物質の三態(相転移)を再検証することです。
液体が固体に変化する現象は、多くの人にとって当たり前すぎて疑問にならないかもしれません。しかし、この現象に注目し、「なぜ!?」と思ってみました。この現象、とても奥深いです!(詳細は省きますが、詳細が聞きたい方はご連絡をください。)
何の役に立つかはさておき、本校グローバルサイエンス部はサイエンスをエンジョイしています!
8月3日(木)に希望者を対象に、SSH講座「水を探る」を実施しました。
講師は京都工芸繊維大学大学院准教授 竹内信行 先生です。
本講座は琵琶湖から流れ出る瀬田川・宇治川・淀川の水質を調べる取り組みです。平成15年から継続して実施しており、蓄積された水質データは淀川水系の水質変化を示す大変貴重なデータとなっています。
参加者は朝8:30に桃山高校からバスで出発し、琵琶湖側の上流から南郷洗堰~立木観音下~天ヶ瀬ダム~宇治橋の4カ所で水を採取しました。採水した水はその場で簡易的な水質測定を行った後、詳細な水質を調べるために桃山高校へ持ち帰りました。午後は桃山高校で分光光度計や滴定法を用いてCOD(化学的酸素要求量)・残留塩素・硬度・リン酸・鉄などを測定しました。内容は少し難しかったかもしれませんが、ティーチングアシスタントとして来て頂いた大学院生の方々から丁寧に説明して頂き、生徒達は一生懸命に水質の測定に取り組んでいました。高校の授業で学んだ内容が環境保全に役立っているということを実感できる取り組みとなりました。
平成29年度7月28日(金)、エネルギー教育支援事業の一環として核融合科学研究所の施設を訪問しました。
まず伊藤 篤史氏に特別講演をしていただきました。ここでは、現在の発電技術ではあと100年しかもたないため、100年後のエネルギー供給のために、核融合が有望な選択肢であることを紹介していただきました。講義の後、質疑応答の時間を設けていただき、発電の効率や安全性、太陽やブラックホールとの関連など多くの質問に詳しく答えていただき生徒も大満足でした。
見学では、まさに実験中の中央管制室、VR(ヴァーチャルリアリティ)による実験炉内の探検、核融合の歴史的実験設備、ミニチュアモデルによる仕組みや構造の説明などを見学・体験しました。
生徒達は、次世代のクリーンなエネルギーとして注目されている核融合発電を通して、エネルギー資源問題への関心を高めていました。