科学の教室@ “大阪大学いちょう祭で研究室を見学 〜科学の現場を体験!〜
 
 2015年5月2日(土) /大阪大学(吹田キャンパス・豊中キャンパス)・兵庫県立人と自然の博物館)
 
 今年度第1回目の「科学の教室」は、大阪大学のいちょう祭(大学祭)で公開されている理工系研究室の見学。一年生37名、二年生21名、計58名の参加があり、2台のバスで7:00に峰山高校を出発。途中の西紀SAで休憩し9:40頃に大阪大学吹田キャンパスに到着しました。
 吹田キャンパスには工学部、医学部、薬学部、歯学部、人間科学部等の学部と、産業科学研究所、タンパク質研究所、微生物病研究所などいくつもの研究所が広大な緑のキャンパスの中にあります。バスから降りると、二年生は最初から自由行動を、一年生は最初に全員で産業科学研究所を見学しました。2、30分ほどの見学の後は一年生も自由行動。キャンパスの地図と資料を見ながら関心のある研究室などを見学しました。12:00にバスに乗車し豊中キャンパスに向かいました。
 バスは約30分ほど走って豊中キャンパス内の総合図書館前に到着。豊中キャンパスには理学部、基礎工学部と、文学部、法学部、経済学部などの文系の学部があります。またいちょう祭学生企画の会場になっていて、キャンパス内は学生や市民などたくさんの人で賑わっていました。出発時間である14:30までの約2時間の間、各自で自由に研究室などを見学しました。
 
14:30に豊中キャンパスを出発し、兵庫県三田市にある兵庫県立「人と自然の博物館」に行きました。この博物館は「人と自然の共生」をテーマに設立され、数多くの研究員が所属して研究と教育活動を行っています。最初に生態学分野の研究員である三橋先生に、「コウノトリの野生復帰と自然再生」というテーマで講義をしていただきました。京丹後市に飛来するコウノトリの特徴や生息環境、野生復帰のための豊岡市の様々な取り組みについて教えていただきました。講義の後は館内を自由に見学し16:50に出発。大宮織物ホールと峰山駅を経由して峰山高校に18:50に帰着しました。
 
 
 
 
 吹田キャンパスに到着し37名の一年生が見学した産業科学研究所。材料・情報・生体を三本柱にした大規模な研究所です。    研究所内では数多くの研究室や施設が公開されスタンプラリーも行われていました。スタンプを集め景品をもらう峰高生。
     
 
 ソフトナノマテリアル研究分野の研究室。電気を流したり光を当てると試験管内の化合物が綺麗な色で発光しました。    バイオナノテクノロジー研究分野の展示。一本のDNA分子から遺伝情報を読み取る装置の研究の紹介です。
     
 
 モニターに映っているのは細胞。細胞や遺伝子の研究のための機器がずらりと並んでいます。    この部屋でゴム手袋をした峰高生が何かの作業をさせて頂いているところです。
     
 
 精密制御化学研究分野の研究室。生物の遺伝情報を担うDNAの分子模型を組み立てているところです。    産業科学研究所を出て自由行動。それぞれ見学したい建物を目指して出発。吹田キャンパスは緑が多く広々としています。
     
 
 豊中キャンパスの理学部数学科。「まちかね山の数学教室・数楽体験!」。身近な所に潜む数理現象が体験できます。     数学教室でシャボン玉に興じる峰高生。石鹸水の膜の張り方が極小曲面という数学と関係しているそうです。
     
 学内での極低温研究に欠かせない液体ヘリウム(-269℃=4K)を製造する施設。低温下での不思議な現象が体験できます。  理学部宇宙地球科学科。ブラックホールの模型にコインを投入すると円を描きながら中心に吸い込まれます。
 理学部物理学科。原子の質量を測定する質量分析装置の開発をされています。説明は・・・・難しかった。  光を当てると色が変わるフォトクロミックの研究室。一瞬にして発色したり消えたりするインクで紙に書いてます。
 兵庫県立「人と自然の博物館」の展示室。標本展示の前で三橋先生の話を聞いています。中央の白い鳥がコウノトリ。  セミナー室での講義は「コウノトリの野生復帰と自然再生」豊岡市での自然再生の取り組みがよく分かりました。
 博物館の入口でもある「ひとはくサロン」に展示されている巨大な花=ラフレシア。東南アジアに分布する寄生植物です。  「人と自然の博物館」の入口で恒例の全体集合写真。
 
 
  参加者の感想
 吹田キャンパスでは、薬学部で本物のネズミの脳を見たり、情報科学研究科で人間の錯覚を利用した五感伝達のための要素技術をデモ体験したりした。行っている研究がどんなことに役立つのか、何のために研究しているのかなどを詳しく聞くことができて良かった。豊中キャンパスでは、基礎工学部でフォトクロミック反応について聞いたり、理学部で科学の体験コーナーに参加したのが楽しかった。化学や数学は苦手な科目だけど、実際におもちゃを使ったり実験したりして新しいことを知るのが楽しかった。(2年・女子)

 太陽電池を有機パネルで作っているところがあった。有機パネルは曲がるので服などにつけることができると思った。セラミックスを紹介しているところでは、陶器のように割れやすいセラミックスを割れにくくする技術やチタニアナノチューブなどの先端技術を見た。DNAを紹介しているところでは、DNAの模型を組み立てる体験をした。分子の組み合わせが難しく、自分の身体がいかに複雑であるのかを改めて感じた。人を支援するロボットを紹介している研究室では、人工筋を使ったロボットを紹介していた。また電気信号による腕の動きをデータ化し、人体に流すことで腕が動くことを利用し、麻痺を治すなどの治療に役立てるという発表もあった。これで身体が不自由な人が減るといいと思う。(1年・男子)

 一番印象に残っているのは吹田キャンパスの量子ビーム科学研究施設ライナック棟で見た電子加速器などです。そこでの先生の説明は少し難しかったけど、僕が出した質問にもしっかりと教えてくれてとても良かったです。(1年・男子)

 どの研究室に行っても学生さんや教授が丁寧に教えてくれて、質問もすごくしやすかったし熱心に答えてくれてうれしかった。向こうからいろんな話をしてくれることが多くて緊張せずに楽しめた。(1年・女子)

 見学した研究室は、基本的にモノ創り・作りに直結しているものだったけれど、どれも自身の将来に参考になるものだった。例えば技術力、つまりロボット的な仕組みを用いて医学的な分野と結び合わせたり、今の自分では理解の及ばないモノから身近なモノまで、かなり幅広い分野で体験できた。まさしく「大学」というものを身近に見ることができたと思う。(1年・男子)

 産業科学研究所は生活の役に立つことを研究していると分かりました。例えば、未来を支える先端材料で社会の基盤となっているセラミックや金属を、これまでにない性質や機能を盛り込んで新しい材料を作り社会に活かそうとしているし、量子ビーム科学研究所では生活には馴染みなく感じるけど、実際には医療や最先端材料開発に役立つ場所であることが分かりました。自分も違う形になるかもしれないけど人の役に立つことをしたいです。(1年・男子)

 日本のコウノトリが絶滅し、外国産のコウノトリで復活させたのは知っていたが、野生のコウノトリ復活には様々な分野の人が携わっていることは知らなかった。地形の起伏や環境の種類が多いから、コウノトリが最後までいたというのはとても納得した。今の環境は人間に適しているが動物に適していないところが多いと思う。例えば小西川にも大きな段があったりコンクリートの部分が多かったりなど。(1年・男子)

 コウノトリがこの辺に棲んでいて数が減ってきているのは知っていたけど、なぜ数が減ったのかとか、コウノトリが生きていくうえで必要な環境とかは知らなかったのでとてもためになった。とても珍しい生物が近くに棲んでいて、割といつでも見られるのはとてもラッキーな事だと思うのでコウノトリが絶滅しないよう、私たちにできることを少しでもこれからやっていけたらいいと思った。(1年・女子)