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【なぜ今探究が必要なん?「自分を外へ開く」ロールモデルとの出会い~vol.2~】

 

こんにちは! お久しぶりです。

地域コーディネーターの能勢です。


前回の記事から、暫く間があいてしまったため、話は大分遡ることになりますが、

できる限り順を追って探究学習のこれまでの取組の記録をお見せするので、ぜひお付き合いください!

(前回の記事)探究の入り口へ。そもそもなぜ「探究」が必用なん?~vol.1~


それでは仕切り直して探究の"そもそも"のお話からいたしましょう。

令和3年度の2年生の探究活動は「自己探究」から幕をあけました。

まず、テーマを設定する前に自己を探る時間を設けること。


「私」が生きたこれまでの16年、17年の道のりを振り返った時、どんな人、もの、ことに心を動かされたのか。

何に出逢い、何を考え、どう行動してきたのか。


人は生きていく中で幾度にも渡り"揺らぐ"体験をします。

その揺らぎは"私"というものを形成していきます。

喜びや感動、怒りや苦しみ......。

人は人との関わり合いの中で、言葉に表せないほどの感情に出会い、向き合って行く中で

少しずつ自分の「価値観」を育てていくのです。


しかしながら、私たちは普段の忙しい生活の中で自分の体験を振り返り、

その場面ごとに感じた感情を言語化し、他者に伝えるといったことはほとんど出来ない状態に置かれています。

おそらく大半の場合、思っていることや考えていることを言語化しない(またはできない)まま日々を

送っているのではないでしょうか。


だからこそ、改めて自分を捉え直す時間が重要だと考えました。

これまでを振り返り、自分の内面を探る。これが第1段階です。


そして第2段階は「己を外へ開くこと」をしていきます。

自分と向き合った後、社会に目を向けたときに例えば自分と似た価値観の持ち主は、

どういった生き方をしているのだろう、自分と全く価値観が異なる人はどうだろう、というように

今までに自分が出会ってこなかった人たちと出会うことを通して、再び揺らいだ自分を編み直してゆくこと。


この「自己の編み直し」―自分を再編集していく作業―は、自意識を育て「私」という個人性を

確固たるものにしていきます。


他者と出会い、社会と繋がるために企画したのが

「探究の種を見付けよう!~ロールモデルとの出会い~」というもの。

地域の幅広い分野でご活躍されている人々に協力を依頼した結果、

何と30人を超える人たちが授業に参加してくださいました。


途上国の支援に力を注ぐ国連職員、音楽を愛しラジオDJまでこなす薬剤師、

環境問題の一つの種になっているマイプロプラスチックをおしゃれな雑貨に加工する環境の守り人、

前向きな言葉を紡ぎ若者を奮い立たせる町の相談員、

人を笑顔にさせその人らしさを引き出すメイクアップアーティスト、三足のわらじを履くデザイナー、

先生を支える教育の新しいあり方を考える心理学研究者......。


こんなにもワクワクすることがあるでしょうか。

全ての人について書き切ることが出来ず残念ですが、

ゲストに招いた大人たちに共通しているのは「探究人」であること。

何か自分なりの信念を持って、社会をより良くするために活動されていること。

そしてずっと学び続けていること。


探究を続けながら、自分らしく輝いて生きている大人たちとじっくり向き合って対話する2時間。

ゲストの「探究人」30人の皆さんには予め、ご自身のキャリアや人生観について記したプロフィー-ルを

書いていただき、生徒たちはそれを元に事前に話しを聞きたい、相談してみたいオトナを2名選びます。

一人は自分と価値観が近いと感じる人、

そしてもう一人は今まで出会ったことがないタイプではあるが、惹かれる、話してみたいと感じる人。

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(講師プロフィールをじっくり読む生徒たち)


2021年5月29日。

企画日当日。いよいよ始まります。

さぁ、「探究人」たちと出会い、自分らしく生きていくためのヒントを得る旅にいってらっしゃい♪


この企画はコロナ感染防止のため、教室を分散し全てオンラインで繋いで実施されました。

生徒たちはそれぞれ自分が選んだ人の部屋へ分かれて、ゲストたちと出会います。

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こうしてあっという間に2時間がたち、企画は無事に終了しました。

終わった後の生徒たちの顔つきがどことなくスッキリしており、

それぞれとても有意義な時間が過ごせたことが伝わってきました。運営側はひとまずほっとしました。

この企画を通して、生徒のみなさんが探究学習が高校の3年間で終わるものでないことに

気づいてくれたのであれば、これほどまでに嬉しいことはありません。

探究は一生ものです。

みなさんがこれから生きていかねばならない世界は混沌としており、常に変化していきます。

それに伴って、今「常識」だとされている価値は簡単に崩れ去り、ライフスタイルも多様になります。

「正しい答え」を教えてくれる人は誰一人いません。


だから、自分の足でしっかり立って自分なりの「正解」を見付けていくこと。

そして常に変化する世の中に対応するために進化し続けること。

他者と出会い、様々な経験を通して自分を編み直し、アップデートすること。

そしてそのたびに感じるあなたの想いを言葉にして伝えていくこと。

この過程こそが、「探究」なんだと私は思います。


今は社会へと繋がっていくための予行練習。

みなさん一人ひとりがどんな未来を築いていくのか、これからがとっても楽しみです。



 
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