教育長過去のエッセィ
2006.9   
 振り返ってみると、この夏、高校生の活躍が目立ちました。

 第30回全国高等学校総合文化祭。高校生諸君や教職員の皆さんが長期にわたって準備活動をすすめ、20の部門で日頃の文化部活動の成果が発揮されました。すべての部門を観ることはできませんでしたが、垣間見たものだけでも全国大会の水準の高さがうかがえました。
 スポーツにおいては「息をのむ」という場面がよくありますが、和太鼓や合唱、マーチングバンドなど文化活動にもそういう瞬間があるということを体感しました。各部門でそれぞれの感動があり、観客を魅了したことと思います。

 一方、近畿で開催された全国高校総体では、洛北高校女子ハンドボールの優勝などの活躍がありました。また、桂高校草花クラブは日本青少年水大賞を受賞し、ストックホルムでは準グランプリの栄誉に輝きました。
 嵯峨野高校の河口真志君は、全国物理コンテストで金賞、化学コンテストでも銅賞を受賞するという快挙を成し遂げました。

 ギリシア語で競技を意味する「アゴーン()」には「競い合い」という意味のほかに「苦痛」「努力」という意味があるそうです。
 得意な分野で努力を重ね、苦しさを乗りこえ、自らを鍛え上げたもの同士が切磋琢磨する。公立・私立の枠をこえて様々な分野で高校生が競い合い、互いに能力を高めていくことは素晴らしいことです。この夏の高校生の活躍ぶりを見ていると、「魅力ある高校づくり」というものが高校生自身の取組みに負うところが大きいことを実感しました。

 これらのほかに、甲子園での久美浜高校野球部4人の生徒による始球式が注目を浴びました。部活動帰りの途上で、老女を救助したことで選ばれたのです。「競い合い」の場面では必ずしも活躍できなかったけれど、彼らの行動は(ごく自然な行為なのですが)賞賛に値します。
 あの猛暑の甲子園で、4人とともに始球式を待っている間の緊張感は格別でしたが、何かしら爽やかな気持ちを味わったことを思い起こしています。

 高校生から多くのことを学んだ夏でした。
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