城陽支援学校地域支援センター「サポートJOYO」
実践事例紹介2
事 例
応用行動分析を利用したアセスメントと指導
概 要
 中学校 より場面緘黙との引き継ぎを受けた生徒に関して、対人関係や生育歴等を中心にアセスメントを行い、卒業後の進路を見通した指導を行った。
具体的内容
<主訴>
・ 兄や特別支援学級担任とは話ができるが、それ以外の場面では、「うなづく」「首を振る」等の返事がほとんどである。
・ 登下校では走る場面があるのに、それ以外の場面では動作が緩慢で、体育の50m走や持久走では歩く程度の速度しか出せない。

<アセスメント結果> 
・ 表情は豊かで、指導者相手におどけるような表情をしたり、教師のダジャレに吹き出すことがある。
 → コミュニケーションができないわけではない。
・ 指導者の指示に対して、わざと逆のことをしたり、自己流のやり方を通そうとする。
 → 言葉以外の自己主張はしている。
・ 声は小さいが、号令や自己紹介などの定型の言葉、紙に書いたセリフは話すことができる。
 → 全く言葉を発しないわけではない。

<分析>
・ 「WISC3」による分析では、群指数の「言語理解」が、他のどれよりも低い。
 →簡単な言語反応は得意だが、複雑な言語概念化が苦手
・ 中学校の担任からの引き継ぎで、幼少期家庭での体罰と放任があったことがわかる。
 →生育歴での対人関係、言語環境の問題、自己肯定感の低さ
・ 日常の行動パターンを観察した結果、本人にとり無言であることが利益になる様々な場面がみられた。
・ 相手を困らせるためともとれる状況での無言もみられた。

<指導仮説・方略>
・ 文字等、理解できる方法で説明し、伝わったことを確認する。(コミュニケーション環境の検討)
・ 日常の声かけを意識し、放課後に好きな活動をする。(好ましい対人関係の構築、自己肯定感の向上)
・ マイルールで通用していたことを検討し、誤学習、無学習を計画的に修正する。(規範意識の学習)

<結果>   
・ タイマーや記録表を見て振り返ることで、短距離や持久走で「歩く」と「走る」の違いがわかり、好タイムを出すことができた。
・ 以前は指導者の指示の意味がわからないようで、夏服、冬服の切り替えができなかったが、衣替えの意味の説明と事前の告知で、次の年度には改善された。
・ あいさつや報告の練習を繰り返し、必要な場面で最低限のあいさつや報告ができるようになった。
本校の実践を要約したもの です。個人情報の観点から、手直しをしている部分があります。
実際の指導においては十分なアセスメントが必要です。お問い合わせ、相談は「サポートJOYO」までお願いします。 

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