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令和4年度新入生オリエンテーション講話

 

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 入学式では東宇治高校の教育目標である「みらいを明るくできる人」になってほしいということと、古代ギリシアのソクラテスの残した「ただ生きるのではなく、善く生きる」という言葉を心に留めてほしいということなどをお話しました。

 今日は、ソクラテスのことをもう少し紹介します。彼は、今から2500年ほどまえのギリシアの哲学者です。あるとき、彼は、「ソクラテスほど賢い者はいない」という神様のお告げを聞きました。

 ソクラテスは、「やっぱりそうか」と偉らそぶったりはせず、逆に「自分は自分が一番賢いなどとは思ってもいない」「どうして神様はそんなお告げをしたのか」と疑問に思い、アテネの町で自分より賢いと思われる人たちにいろいろ質問をしたそうです。

 確かに人々から賢いと言われている人たちは、自分の専門的な技術や知識は持っているけれど、「人間として大切なことは何か」については、知っているかのよう振る舞っていることに気がつきました。ソクラテスは、「知らないことを知っているかのように振る舞っている者」よりも、自分のように「知らないことは知らないとわかっている者」のほうが少しだけ賢いのだと神様は教えてくれたのだと考えたのです。これを「無知の知」といいます。

 ほんとうに「賢い人」とは、どういう人のことなのでしょうか。

 高校では、いろいろな授業でたくさんの課題や宿題が出されます。インターネットで検索し、出てきたサイトの内容をコピペして、さも自分が考えたかのように課題レポートを提出したり、問題集の答えを丸写しして、自分が答えを出したかのように宿題を提出する。これは、「賢い」行動でしょうか。

 たとえ全部わからなくても、自分で考え、悩み、調べ、間違っていたとしても自分なりの答えや考えを示すことのできる人のほうが何10倍・何100倍も「賢い」のではないでしょうか。

 皆さんが大事にしなければならないことは、自分を誤魔化さないことです。自分は何を知っていて、何がわからないのかを知っている人は、これから大きく成長していく芽をもっています。自分を成長させていくスタートだと考えてください。その反対に、悩んだり、考えたりすることを避けて、自分を鍛えようとせず、努力しない生き方を選ぶ人は、いつまでも、人間的に成長できず、周りからも信用されなくなります。

 どちらの生き方を皆さんは選びますか。


 私には、皆さんに高校生活で、大切にしてもらいたいことが3つあります。

 1つ目は、授業です。授業中は集中すること。先生方が教えられる内容を理解することに全力を注いでください。そして、授業の予習や復習を習慣づけて、3年間続けてください。

 数えましたら、皆さんが3年生になって卒業式を迎えるまで、あと1055日です。1日1時間こつこつ勉強を3年間つづけてきた人と、何もしなかった人の勉強時間の差は1000時間以上です。高校3年間は、大きな差が出る3年間といわれます。何事も最初が肝心です。高校に入学したての今、しっかりとした学習習慣を毎日の生活の中でつくってください。

 2つめは、言葉です。言葉は、自分の考えを深めたり、ほかの人に自分の考えを伝えたり、相手の気持ちを理解したりするための大切なツールです。時には相手の心を慰めたり、時には深く傷つけたりする両面があります。言葉は自分の心の表れです。言葉の正しい使い方を学んでいってください。

 3つめは、健康です。まずは体が大切です。適度な運動と栄養バランスのとれた食生活を送ってください。食事も家の方が作ってくださるのを食べるだけでなく、自分で食事を作ったりして、自分の力で生きていく基本的な生活力を身につけましょう。自分の健康は自分で守る。健康な毎日を過ごしてください。

 高校は、中学校までの義務教育を終えて、自分の意思で学校を選び、学んでいくところですとよく言われます。では、この義務教育の義務とは誰の義務だと思いますか。

 義務教育の義務は、その子どもを保護する保護者の義務なのです。子供たちは、人間として生きていく必要不可欠な基礎基本の知識や技術・態度を小学校・中学校の義務教育段階を通して学び、次の新たなステップへと進んでいくということです。

 高校の学びは、小学校・中学校までで学んだ基礎・基本を土台にさらに自分の意思で学習を深め、よりよい人間関係を築いていくことが求められます。

 東宇治高校で学ぶ3年間をこうありたい、10年後、20年後の自分はこうありたいという目標を持ってください。そして、その目標を実現するために、今、自分はどう行動するべきかを自分の言葉で表現し、実行していってください。

 この東宇治高校で皆さんには、授業を大切にし、学校行事や部活動など、いろいろなことにチャレンジして人間的に大きく成長してもらいたいです。私たちも皆さんの活躍をしっかり見守っていきます。ともに良い学校にしていきましょう。

 

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