学力状況の分析概要
1 領域ごとの分析
(1) 国語
【話すこと・聞くこと】
◇「何が話し合われていたか」を問うものであったが、メモをとる指導などに成果が見られるが、話し手の意図を考えながら話の構成や論理の展開、工夫等をとらえる力を育成することがさらに必要である。
【書くこと】
◇説明的な文章の問題文と関連付けた設問に対し、方法や題材等書く道筋を示した上での自分の思いや意見を書く力に成果が見られる。
【読むこと】
◇主人公の思いを情景等から「類推」する力、「言語感覚」の育成、文章の構成や展開を正確にとらえたり、論理的に文章を解釈し活用したりすることに課題が見られる。
【言語事項】
◇語句にかかわる問題は「漢字を書く」問題以外は、比較的高い正答率であり、指導の成果が見られる。
◇一方で、修飾・被修飾の関係を問うものでは、どの言葉を詳しくしているかと考えるのではなく、同じような意味の言葉を被修飾語とした誤答が多く、小学校での課題と同じような傾向が中学校でも現れている。
(2) 数学
【数と式】
◇基本的な内容の定着が見られる。成績良好な生徒においても分配法則等で符号の間違いが見受けられる。
◇乗除先行の理解や割合・百分率の理解が十分でない生徒が得点の平均的な生徒の中にも見られる。
【図形】
◇直感的におうぎ形の半径と弧の長さを比べて誤答となったり、長方形の紙を折った時にできる線対称の軸と角の二等分線が同一であることに気付かない生徒がみられる。
【数量関係】
◇反比例を式で表す問題で、比例定数を比例として求める生徒や比例の式で表す生徒が見受けられる。また、数量関係全般において比例定数を求める際、割る、割られる関係を混同している生徒が見られる。
(3) 英語
【聞くこと】
◇基本的な数字の聞き分けなどが身に付いている。
◇まとまった量の英文を聞いて内容の理解度を問うものについては良好であるが、文と文の関係を把握する、いわゆる「行間を読む」レベルでは、内容のイメージ化という点で若干の課題が見られる。
【読むこと】
◇過去形や進行形の用法理解、be動詞と一般動詞の用法区別に課題が見られる
◇長文問題では、根気強く確認しながら読み進めることが求められる問題で、
複数の情報を論理的に結び付ける点に課題が見られる。
【書くこと】
◇自己表現力についての問題であり、同じスタイルでの出題としている。年を追うごとに自己表現する「情報量」(意味が伝わる文章の数)は着実に増加してきている。正しい英文で自己表現する「正確さ」について課題がある。
2 授業改善のポイント
(1) 国語
【話すこと・聞くこと】
◇情報を的確にとらえ、分析し総合する力を高めるために、話し合いの方法や
そのモデルを示し、意図的・計画的に話し合いの場面を設定することが大切
である。
【書くこと】
◇様々な情報に対して自ら課題を見付け、主体的に書くための「情報収集能力」や「効果的に書く能力」を高めるための具体的な指導が大切である。
【読むこと】
◇文学的な文章では、「言語感覚」を養い、文章を豊かにとらえる力を育成する。説明的な文章では、論理的に読む力を高めると同時に、書かれていることを整理したり、解釈し活用したりする力を育成する。
【言語事項】
◇語句を覚え定着させるとともに、言語として活用する力を高めることが大切
である。
(2) 数学
【数と式】
◇基本的な内容理解について、個に応じた指導の成果が見られる。生徒の興味・関心を高めるため、きめ細かな形成的な評価の継続と「答えがあっているかどうか」の確かめにとどまらず、式や計算の意味理解を深めることが大切である。また、基本的な概念や計算の意味、順序など自らの解法を見直す場面を多く設定する。さらに、自らの考え方を表現させ、多面的な見方や論理的な思考力を伸ばす授業の工夫が必要である。
【図形】
◇数学的活動の計画的実施により、生徒が日常的な事象の中の決まりや法則に気付く。さらに、その気付きに基づいた論理的な思考により内容理解を深める必要がある。
【数量関係】
◇反比例については小学校で学習していないことや比例、反比例の違いの区別が付きにくいことを意識しながら発問や問題の工夫をすることが大切である。
(3) 英語
【聞くこと】
◇自然な口調で話される英語を聞いて、単語レベルの聞き取りにとどまらず、句・節・文など一定のまとまりで理解し、その内容をイメージ化する力の育成が必要である。
【読むこと】
◇疑問文に対する応答、代名詞の用法など言語活動の基盤となる言語事項に習熟する練習は重要である。そのため、言語事項の練習をする際には、既習事項を繰り返し学習できるような言語活動の工夫が必要であり、練習の際には言語の使用場面や文脈を意識させることが重要である。
【書くこと】
◇英語を使って意欲的に自己表現をすることができる多様な機会を設けながら、段階を追って情報量と正確さを高め、目的や生徒の習熟の程度に応じた指導を行う必要がある。