京都府総合教育センター 教育相談リーフレット 平成28年5月発行

学校不適応の未然防止のために

~小学校3・4年生(前思春期)という時期とは~

表紙画像  研究の概要については、「学校不適応の未然防止のために」~小学校3・4年生(前思春期)という時期とは~(京都府教育委員会平成28年3月)をご覧ください。

以下の文中の青字の部分をクリックしていただくと、詳細の説明がポップアップします。

教職員の意識調査から見えてきたこと

平成27年度「今を生きる子どものこころ」講座を受講した全校種の教職員315人が回答

 京都府総合教育センターでは、平成27年度から「前思春期に学校不適応の萌芽があるのではないか」という仮説のもと、学校不適応の未然防止のために研究を進めています。


「学校不適応」とは


 本研究では、いじめや不登校、非行、学業不振、友人関係など学校に関わる様々な適応の困難さとしてとらえています。

「前思春期」とは


 本研究では、身体的な成長などから、11歳は思春期の移行期ととらえ、9・10歳、つまり小学校3・4年生を「前思春期」と定義しました。

小学校3・4年生(前思春期)という時期は

★発達における個人差が見え始める。
★子どもの成長の節目となる。
★不登校が顕在化し始める。
と実感している教職員が多いことがわかりました。

学力面で個人差が出始める学年



学力面で個人差が出始める学年は「小3」「小4」に回答が多い傾向が見られました。

子どもが成長する過程で大きく変化する節目の学年



子どもが成長する過程で大きく変化する節目の学年は「小4」に回答が多い傾向が見られました。

欠席が目立ち始めた学年


(不登校児童生徒に直接関わった経験がある全校種の教職員265人が回答)

欠席が目立ち始めた学年は校種が変わる「中1」「高1」の時期に続いて、「小4」に回答が多い傾向が見られました。
上記のグラフの構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。

小学校3・4年生(前思春期)の時期とは…


◎「発達における質的な転換期」です。
自分を客観視できる力が育つなど、自分中心の世界から他者と関係を結ぶ世界へと変化する時期です。特に、同世代との関わりが重要です。

小学校3・4年生の子どもたち ~前思春期の発達的課題~


知的能力の発達の観点から


◆友達関係の中で、自分とは異なる価値観があることを理解するようになります。
◆自分のことばや行動、考えや気持ちを振り返ることができるようになります。
→自分の視点を中心に考えるのではなく、友達の視点を取り入れて、より適切な思考ができたり、様々な気持ちを理解したりすることができるようになります。

関係性の発達の観点から


◆親や教職員との関係より、仲間との秘密を大事にしたくなります。
→同世代の強固な仲間関係の中で、ルールを守ることや互いに協力することを学びます。
◆同性の特定の一人の「大の親友」ができ始めるようになります。
→この一対一の親密関係ができることは、その後の対人関係の安定にもつながります。

自発性の発達の観点から


◆同世代との「遊び」を通して、自発性がはぐくまれていきます。
◆「遊び」は前思春期の子どもの成長全般を下支えしています。
→子どもたちは遊びを通して、自分のこころを表現したり、社会性を獲得したり、また行動や気持ちをコントロールする力をはぐくみます。

学校における社会性の発達の観点から


◆努力を積み上げる姿勢(勤勉性)を養う大切な時期であるとともに、努力してもうまくいかない経験によって感じる劣等感を抱きやすい時期です。
◆「自分はできるんだ」という成就感の積み重ね(有能感)を得ることが大切です。
→この時期に得られる「有能感」は、社会で生きていく上での欠かせないこころの支えになります。

この時期に特に大切にしたい教職員の関わりとは…


◆学校生活のあらゆる場面の中で、同世代との活動や遊びが豊かになるように仕組むこと。
◆子どもたちの活動の側で、その姿を見守り、認め、励ますこと。
→子どもの「有能感」につながります。

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