イ 学校の援助と支援

関係機関との連携
 発見した虐待の事実に対して、まず教師は、虐待の深刻さの度合いを判断することが必要です。

 命にかかわるほどの緊急で深刻な状態なのか、あるいは子どものストレスの状態や表情・態度から将来的に何らかの影響が出るだろうと経験的に予測されるなどです。

 学校内だけでは事実の確認自体が困難で、その深刻さも予想できないような場合には、最寄りの教育相談機関に連絡し、対処の方法を相談することが必要です。


 学校が虐待を発見したとしても、治療援助全般にわたって子どもや親に関われる機関ではありませんから、児童福祉法25条により、速やかに児童相談所か福祉事務所への通告を行うことになります。

 援助の中心は児童相談所にあることを前提として、児童相談所の指示に従って学校での援助を展開していくことになります。


 現状においては児童相談所がすべての虐待の事例を取り扱うということは現実的ではなく、厚生労働省では、児童養護施設、母子生活支援施設、情緒障害児短期治療施設などでの対応、文部科学省では全国子どもプランの推進、教育研究所や教育センターなどでの援助体制の強化など様々な対応が考えられています。

 これは、子どもの虐待事例ヘの援助においては親子双方への援助が必要であり、実際には一つの機関、そして一つの専門職だけで援助することは極めて困難であり、専門機関相互の連携により援助することが現実的であるからでしょう。

 もちろん、このネットワークはあくまでも援助をより有効にするためのものなのであり、虐待の親子に対する援助の責任が多機関に分散されるということではないわけですから、特に深刻度の高い事例では、機関相互のネットワークの核として学校が関係機関と日常的に子どもの様子や生活の状況を報告連絡し合うことが重要であると考えられます。

 
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