京都府教育庁指導部文化財保護課  Cultural Properties Division, Kyoto Prefectural Board of Education
 
文化財建造物の保存修理

 国宝 清水寺本堂ほか8棟 保存修理事業

 

清水寺の概要

清水寺伽藍 遠景

 清水寺は、宝亀9年(778)に大和国の僧賢心(のちに延鎮)が音羽の滝に至って草庵を営み、これに帰依した坂上田村麻呂が延暦17年(798)に仏殿を建立して千手観音像を安置したのをはじまりと伝え、平安時代から観音霊場として広く篤い信仰を集めています。
 境内の建物は、康平6年(1063)の火災で全山を焼失したのを最初に、焼失と再建とを繰り返してきました。現在の建物は、文明元年(1469)の戦火後に再建されたもの[馬駐・仁王門・鐘楼・子安塔]と、寛永6年(1629)の火災後に、徳川家光の命により寛永8年から10年にかけて再建されたもの[本堂・西門・三重塔・経堂・田村堂・朝倉堂・轟門・本坊北総門・鎮守堂(春日社)・釈迦堂・阿弥陀堂・奥院]が基本となります。このうち本堂が国宝に、ほかの15棟が重要文化財に指定されています。
 

本堂の修理

建物の概要

 本堂は斜面上に建ち、正面に懸造の舞台を持つことに大きな特徴があります。また、建物を覆う檜皮葺の屋根は、「照り起り」と呼ばれる優美な曲線を持つ寄棟造の大きな屋根と、周囲の張り出し部分の屋根とを巧みに処理した複雑なものとなっています。このような特徴的な姿や建物内部の空間構成などは、創建以来の伝統を受け継いでいるものと考えられます。
本堂 外観(奥院側から望む)
外観(奥院側から望む)
「清水寺の舞台」を支える束柱と貫
「清水の舞台」を支える束柱と貫

修理の概要

 今回の修理は昭和42年以来、約半世紀ぶりのもので、屋根葺替と破損部分の部分修理を主に行います。工事は可能な範囲から順次進めていて、これまでに檜皮の購入や、舞台の束柱の根継ぎ補修、舞台下の斜面の崩落防止対策などを行いました。平成28年度末からは屋根葺替に着手、このため、しばらくの間、建物は素屋根によって覆われることとなります。
舞台の束柱の根継ぎ補修の様子 
舞台の束柱の根継ぎ補修の様子
昭和修理時(昭和39~42年)の素屋根建設中の様子
出典『国宝清水寺本堂修理工事報告書』(京都府教育庁文化財保護課、昭和42年3月)

修理の状況

平成29年7月

 本堂の素屋根が完成しました。これから屋根葺替の準備を進めていきます。
 ※本堂の参拝や舞台上への立ち入りは、これまでと変わりなく行えます。
完成した素屋根(子安塔から望む)
本堂屋根の様子(南東隅から望む)

平成29年9月

棟の瓦を取り外しました。鬼瓦はすべて建立当初の約380年前のものです。
大棟の鬼瓦
鬼瓦を取り外す様子

平成29年10月

屋根檜皮をめくり終わりました。これから木部の補修、調整を行ないます。
檜皮をめくった本堂屋根の様子



修理の経過

 平成21年度~ 檜皮の購入
 平成22年度  構造診断
 平成23年度  舞台下の発掘調査
 平成25年度  舞台下束柱の根継ぎ補修
        舞台下斜面崩落防止のための鋼管杭の埋設 
 平成25年度~ 舞台下斜面表層の土間叩き補修
        建具の漆塗補修

今後の予定

 平成28年度  素屋根の建設(平成29年1月~7月)
 平成29年度~ 檜皮葺の葺き替え
        厨子の漆塗り等の補修
        漆喰壁の塗り直し
 平成31年度  檜皮葺完了・素屋根の解体(平成32年3月に完了予定)
 平成32年度  舞台の破損部分等の補修
 

その他の建物の修理

 今回の事業は重要文化財8棟の修理をあわせて行うものです。これらの修理は平成20年度から順次進めていて、うち7棟が平成28年度中に完了となる予定です。ここでは、これらの概要について簡単に紹介します。

馬駐

 平成20年8月~平成22年11月 解体修理
 境内入口に建つ馬をとどめ置くための建物です。今回の修理では、破損部分の補修のほか、後世の改造部分の復原、地盤沈下対策として基礎の新設を行いました。
馬駐 外観


本坊北総門

 平成21年1月~平成22年7月 解体修理
 塔頭である成就院の表門で、薬医門と呼ばれる形式の建物です。今回の修理では、破損部分の補修を基本として修理を行いました。
本坊北総門 外観


子安塔

 平成21年2月~平成25年8月 解体修理
 本堂舞台の正面に見える小さな三重塔です。今回の修理では、後世の改造部分の復原、塗装等の塗り直し、暴風対策としての構造補強をあわせて行いました。
子安塔 外観


朝倉堂

 平成22年3月~平成25年8月 半解体修理
 本堂の西隣に建つ堂で、越前朝倉氏にちなんでこう呼ばれています。今回の修理では、後世の改造部分の復原、耐震性向上のための構造補強をあわせて行いました。
朝倉堂 外観


轟門

 平成25年1月~平成28年7月 解体修理
 本堂入口に建つ八脚門という形式の建物です。今回の修理では、破損部分の補修のほか、後世の改造部分の復原、耐震性向上のための構造補強を行いました。
轟門 外観


阿弥陀堂

 平成23年3月~平成29年6月 半解体修理
 本堂の東側山麓に並ぶ堂の一つです。今回の修理では、破損部分の補修のほか、屋根を桟瓦葺から檜皮葺に改めるなど、後世の改造部分の復原を行いました。
阿弥陀堂 修理前の屋根の様子 阿弥陀堂 修理後の屋根の様子
阿弥陀堂 屋根の様子(左:修理前 右:修理後)

奥院

 平成23年3月~平成29年6月 半解体修理
 本堂の東側にあり、本堂同様に舞台を備えた建物です。今回の修理では、後世の改造部分の復原、外側上半部を中心とする彩色等の塗り直しをあわせて行いました。
奥院 修理前の内陣の様子  
奥院 内陣の様子(左:修理前 右:修理後)

釈迦堂

 平成30年度以降(予定) 屋根葺替・部分修理
 本堂の東側山麓に並ぶ堂の一つです。今回の修理では、檜皮葺屋根の葺き替えを行うとともに、漆塗の塗り直しや彩色の補修などを行う予定です。