京都府教育庁指導部文化財保護課  Cultural Properties Division, Kyoto Prefectural Board of Education
 
文化財建造物の保存修理

 萬福寺法堂ほか4棟 保存修理事業

 

萬福寺の概要

 黄檗山萬福寺は、臨済宗・曹洞宗と並び三禅宗の一つに数えられる黄檗宗の総本山で、釈迦如来を本尊とし、寛文元年(1661)に中国(明)僧隠元隆琦により創建されました。隠元は中国福建省にある黄檗山萬福寺(古黄檗)の住持でしたが、当時長崎に居た中国僧の度重なる招請に応じて承応3年(1654)に来日すると、後水尾法皇や徳川幕府の崇敬を得て、宇治の地に寺地を賜りました。当寺の山号・寺号は中国の古黄檗に由来するものです。
 境内は、三門から法堂に至る中心軸の左右に、同形同大の堂宇を配置し、それらを廊で繋ぎ囲います。この伽藍配置には、当寺創建期と同時代の中国建築の様式が現れています。また、各堂宇の構造・手法は、それまでの日本建築の様式を骨子として、中国建築の様式を加味しています。日本における黄檗宗寺院の代表的な伽藍として、40棟の建物が重要文化財(附含む)に、また、境内は府指定史跡に指定されています。
 

修理事業の概要

 平成30年度から実施している今回の事業では、重要文化財の法堂ほか4棟の修理を行います。事業は、令和2年度まで続く予定です。
 令和元年度は、法堂及び東方丈、伽藍堂、鐘楼の工事を進めています。

萬福寺 境内配置図
 

建物と修理の概要

法堂及び東方丈

 法堂は、説法を行う建物で、内部にはその舞台となる壇のみを置きます。創建翌年の寛文2年に建立されました。
 修理前は、法堂及び東方丈附属の廊の桟瓦葺屋根が耐用年限に達し、所々に破損が見られました。以上の状況から屋根葺替及び部分修理として工事を実施中で、現在は両堂の屋根に葺かれた瓦を降ろし、屋根の下地である野地を補修するところです。建物に残る痕跡や、寺蔵の古文書及び絵図等資料の調査を行った結果、現在の桟瓦葺屋根が明治期以降の姿であることが明らかとなりました。そこで、建物が持つ文化財的価値をより高めるべく、修理では、建立時の姿であるこけら葺屋根に復原します。

法堂 瓦降ろしの状況

修理の経過と今後の予定

法堂

令和元年度~ 桟瓦葺の取り解き
       木部補修(~2年度)
令和2年度  こけら葺き
       漆喰壁の塗り直し

東方丈

令和元年度  桟瓦葺からこけら葺への葺き替え
       漆喰壁の塗り直し


伽藍堂

 伽藍堂は、伽藍を守護する伽藍神を祀る建物で、内部には華光菩薩像[中国人仏師范道生作、寛文3年(1663)]が安置されています。寛文9年(1669)に建立されました。
 修理着手前は、屋根を支持する部材が破損し、特に背面側の軒先が大きく垂下していました。以上の状況から半解体修理を実施しています。

伽藍堂 小屋組修理の状況

修理の経過と今後の予定

平成29年度  本瓦葺の取り解き
平成30年度~ 木部解体・補修(~2年度)
        耐震診断
令和元年度   本瓦葺(~2年度)
令和2年度   漆喰壁の塗り直し


鐘楼

 鐘楼は、北列に建つ鼓楼とで朝5時と夜9時に大鐘と太鼓を鳴らし、起居動作の始終を知らせます。寛文8年(1668)に建立されました。
 修理着手前は、屋根の荷重と腐朽により、正面側の軒先が大きく垂下していました。以上の状況から半解体修理を行っており、屋根全体の軽量化を図って復旧する予定です。

鐘楼 小屋組修理の状況

修理の経過と今後の予定

平成29年度  素屋根の建設
平成30年度~ 本瓦葺の取り解き
        耐震診断
        木部解体・補修(~2年度)
令和元年度~  本瓦葺(~2年度)
令和2年度   漆喰壁の塗り直し素屋根の解体


西方丈

 法堂向かって左側(北側)に建ちます。方丈とは禅寺における住持の居間にあたる建物で、本山創建の寛文元年(1661)に建立されました。現在は、来客の応接や儀式等に使用されています。
 修理着手前は、本屋のこけら葺屋根及び法堂に続く廊の桟瓦葺屋根が耐用年限に達し、所々に破損が見られました。以上の状況から、屋根葺替及び部分修理を実施しました。今回の修理では、廊の桟瓦葺屋根を、建立時の姿であるこけら葺屋根に復原しました。

西方丈 竣工

修理の経過と今後の予定

平成30年度  こけら葺の葺き替え(廊は桟瓦葺からこけら葺へ葺き替え)
        漆喰壁の塗り直し
令和元年度   土間三和土の補修