京都府教育庁指導部文化財保護課  Cultural Properties Division, Kyoto Prefectural Board of Education
 
文化財建造物の保存修理

 東福寺常楽庵客殿(普門院)ほか2棟 保存修理事業

 

東福寺常楽庵の概要

 東福寺は臨済宗東福寺派の大本山で、広い境内に並ぶ建物群の姿から、「東福寺の伽藍づら」と称されています。また、紅葉の名所である通天橋や、重森三玲の方丈庭園など見所が多く、広く親しまれている禅宗寺院です。
 摂政九条道家が鎌倉時代に創建し、奈良の東大寺と興福寺になぞらえて東福寺と命名しました。開山に円爾を迎え、当初は天台・真言・禅の三宗兼学寺院として、やがて京都五山に列せられる禅の巨刹として発展します。
 鎌倉の創建伽藍は14世紀に火災で失われましたが、ただちに復興に着手し、応永12年(1405)には国宝の三門が再建します。この復興伽藍は明治になるまで維持されていましたが、明治14年(1881)に火災で仏殿・法堂・方丈・庫裏等を失います。しかし、なおも中世建築が多く残り、その偉容を今に伝えています。

 常楽庵は円爾を祀る開山塔院で、通天橋が架かる洗玉澗(三ノ橋川)を隔てて本山伽藍の北方に位置します。創建は13世紀ですが、現在の諸堂は文政2年(1819)焼失後の再建で、開山堂・昭堂、庫裏等は同6年、客殿(普門院)は同9年の建物です。諸堂は廊下等で結ばれ、庭園をコの字型に囲む配置が特徴的です。また、昭堂の上の楼閣は「伝衣閣」と呼ばれ、京の五閣の一つとして知られています。

常楽庵位置図(太線は国指定文化財)
 

修理事業の概要

 平成30年度から実施している今回の事業では、重要文化財の客殿(普門院)と塔司寮(書院)及び裏門の修理を行います。事業は、令和7年度まで続く予定です。
 現在は、客殿(普門院)の工事を進めています。並行して、裏門の解体や塔司寮(書院)の耐震診断を行い、令和4年度からは塔司寮(書院)の工事を実施する予定です。
 

客殿(普門院)修理の概要

建物の概要

 客殿(普門院)は入母屋造・桟瓦葺の方丈建築で、仏間を中心とした儀礼空間と、座敷飾を備えた接客空間を備えています。内部は各室とも畳敷で、当初は金地彩色画や水墨画を描いた襖絵によって荘厳されていました。

客殿(普門院)修理前外観


修理の概要

 文政の建立から根本的な修理は行われておらず、床下には基礎の不陸や蟻害が見られます。また、瓦葺屋根にはズレや緩みが生じているほか、瓦自体が経年劣化しており、放置すると健全な部分にまで破損が広がる恐れが大きいことから、今回の半解体修理を実施することになりました。
 今年度は素屋根建設、屋根瓦めくり、木部解体工事を実施しています。また、工事と並行して行う調査により、建物が歩んできた歴史を明らかにし、今後の修理方針を検討します。

客殿(普門院)瓦屋根の破損状況


修理の経過と今後の予定

平成30年度 素屋根建設
令和元年度 屋根瓦降ろし
      木部解体
      耐震診断
令和2年度 木部解体・補修・組立
令和3年度 屋根瓦の葺き替え
      素屋根解体
令和4年度 漆喰壁の塗り直し